ドクターヘリ
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ドクターヘリとは、医師を乗せて傷病者のもとへ向かう救急医療ヘリコプター[1]。医療機器を装備し、医師のほか看護師が同乗して救急現場に向かい、患者を医療機関に搬送するとともに機内で救命医療を施す。ヘリコプターは固定翼機と違って滑走路がなくても離着陸できるため[2]航空救急において重要な存在である。救急医療用ヘリコプター、航空救急医療活動、ヘリコプター救急医療活動、ヘリコプター救急ともいう。

本項では機体そのものだけでなく、運用についても解説する。
日本[ソースを編集]
概要[ソースを編集]東海大学病院常駐のドクターヘリ

日本では1999年に初めてドクターヘリの試行的事業が行われた[3]2001年4月、川崎医科大学附属病院岡山県倉敷市)を基地病院として本格運用が始まり[1]、徐々に全国へ拡大。2022年4月18日に香川県が運用を始め、全47都道府県で導入された(ただし国土全体をカバーするには至っていない)[1]。日本航空医療学会によると、2010年代後半から2020年度にかけてでは年間2万5000件以上の出動をこなしている[1]。総機数は56機で、認定NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」は要請を躊躇しないために各都道府県が2機以上を配備することが望ましいとの見解を示している[1]が、実態としては 出動後のキャンセル、出動前キャンセル・重複要請による未出動が それぞれ要請の約10%も発生しており地域差も大きい事から、厚生労働省の検討会でも ドクターヘリの増機より、まずは効率的な運用の検討を優先すべきだとされている[4]

経済的条件や地形的・気象的条件、場外離着陸場の確保の制約などから、1990年代に至るまで、離島や僻地、船舶からの急患移送は行われていたものの、ドクターヘリなど機内や事故現場での治療はあまり行われてこなかった。しかし、1990年代から実験が行われ、その有効性が確かめられてからは、各地域での導入が進められている。

2007年[1]、「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」(以下「ドクターヘリ法」)が制定された(平成19年6月27日法律第103号)。ドクターヘリを用いた救急医療が傷病者の救命、後遺症の軽減等に果たす役割の重要性にかんがみ、ドクターヘリを用いた救急医療の全国的な確保を図るための特別の措置を講ずることにより、良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保に寄与し、もって国民の健康の保持及び安心して暮らすことのできる社会の実現に資することを目的としている。「救急医療用ヘリコプター」(ドクターヘリ)とは、救急医療に必要な機器を装備、医薬品を搭載し、救急医療に係る高度の医療を提供している病院の施設として、その敷地内その他の当該病院の医師が直ちに搭乗することのできる場所に配備されている航空機を指す。ドクターヘリを用いた救急医療の確保に関する施策は、医師がドクターヘリに搭乗して速やかに傷病者の現在する場所に行き、ドクターヘリに装備した機器や搭載した医薬品を用いて傷病者に対し当該場所又はドクターヘリの機内において必要な治療を行いつつ、傷病者を速やかに医療機関その他の場所に搬送することのできる態勢を、地域の実情を踏まえつつ全国的に整備することを目標とするものとする。

日本に先んじて導入されたドイツでは73機配備されており、国内どこにでも要請から15分以内に到着できる。ドクターヘリ導入後、交通事故での死亡が.mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1⁄3に激減した。


上記のドイツに比べ、日本では2015年時点で41道府県51機の運用にとどまっていた。普及が進まない最大の問題は、総額で1か所あたり年間約2億1千万円かかる費用の負担(当初は国と自治体が半分ずつ)であり、地方自治体の財政事情で導入を躊躇しているところが多かったが、現在では国が最大9割まで負担するようになったため、自治体の負担は約2000万円となり徐々に普及が進んでいる。

また、基地病院内や病院間の横の連携、十分な数の医師の確保、乗員の養成システム、ヘリポートの不足、運用時間が日中に限られ、夜間離着陸ができないことや、着陸地点がまだ少ないなどといった、解決の待たれる課題が多い。ドクターヘリ事業者らは、「ドクターヘリが真に必要な地方ほどドクターヘリの導入が遅れている」とし、さらなる導入促進のために、運行経費を医療保険から補助するよう求める提言を行っている。これらに対して与党はドクターヘリ全国配備のため国会に新法案を議員立法で提出し2007年通常国会にて可決、成立した。
費用[ソースを編集]

1回の出動で40万円ほどだが、遠方地までの飛行では概ね120万円程度かかる見込みである。なお、アメリカ合衆国では1回の出動で200万から500万円程かかるため、それに比較すれば割安である。
機体[ソースを編集]北海道道東地方に配備されたドクターヘリ
機種[ソースを編集]

代表的な機種は、MD902EC135BK117ベル429AW109SPグランドニューなど。
患者をストレッチャーに乗せたまま輸送することが求められるため、キャビン後部に観音開き式の搬入扉を持つ機体が多い(上記の機体でも、AW109SP以外全てがそうなっている)。

機体だけでなく、運航や保守点検など一連のシステムをパッケージとして販売するメーカーもある[5]
装備[ソースを編集]

医療機器

ストレッチャー[6]

患者モニター(心電図血圧計、脈拍・血中酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターなど)

体外式人工呼吸器

自動体外式除細動器(AED)

輸液ポンプ

シリンジポンプ

携帯型超音波診断装置[7]

運用[ソースを編集]
運航調整委員会
ドクターヘリ事業を円滑かつ効果的に実施するために関係機関との連絡調整を図るため、各都道府県が設置要綱を決め、それに基づいて運航調整委員会が設置されている。その委員会において関係者が話し合い、「ドクターヘリ運航要領」「ランデブーポイント一覧表」が決められる。ドクターヘリ法6条において、出動のための病院に対する傷病者の状態等の連絡に関する基準と出動に係る消防機関等と病院との連絡体制に関する基準について話しあうように決められている。地域の実情に応じ、
傷病者の医療機関その他の場所への搬送に関し、必要に応じて消防機関、海上保安庁その他の関係機関との連携及び協力が適切に図られること

へき地における救急医療の確保に寄与すること

都道府県の区域を超えた連携及び協力の体制が整備されること
を留意して行われるものとする。
ランデブーポイント
救急隊とドクターヘリが合流する緊急離着陸場である。上記の運航調整委員会にて、学校グラウンドや駐車場などに事前に決められており、その一覧から運航管理担当者と消防機関が離着陸地点を決める。ドクターヘリが安全に着陸できるように、ドクターヘリ法7条で関係機関の協力が求められており、例えば砂が舞いやすい土地に離着陸する場合は消防隊が先回りして水をまいたり、一般市民を安全な場所に誘導したりサポートを行っている。ただし、緊急時には、消防機関や警察機関が着陸場所を確保したうえで、災害現場直近に降りることもある。消防機関が着陸場所を着陸可能な状態にしてから、患者の負担にならないよう救急車から少し離れた場所に着陸し、医師と看護師が救急車に向かい、救急車車内で初期治療を開始する。宮崎県では市街地での車両暴走事故の対応にあたるために警察の支援のもとJR宮崎駅前の交差点を封鎖してドクターヘリを着陸させた事例がある。
運航基地と出動基準
拠点となる基地病院の構内や病院の隣接地にヘリポートを設置[注釈 1] して、離陸可能な状態でヘリを常時待機させている。搬送協定を締結した市町村消防署や広域市町村圏消防本部警察からの出動要請を、病院内の救命救急センター(救急救命センター)が受けると出動する。ちなみに搬送費用は無料であり、治療費のほかに往診料が請求される[8]。地元消防機関および警察、役場などその他のドクターヘリ要請機関は、


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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