ドイツの国鉄
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ドイツ鉄道株式会社
Deutsche Bahn AG

種類AG(株式会社)
略称DB
本社所在地 ドイツ
ベルリン
設立1994年1月1日
業種運輸業
事業内容輸送・物流
売上高405.76億ユーロ(2016年)
営業利益47.97億ユーロ(2016年)
純利益7.16億ユーロ(2016年)
従業員数30万6000人以上(2016年)
そのうちドイツ国内の勤務者は18万7000人以上
主要株主ドイツ連邦共和国政府100%
主要子会社アリーヴァ
DBシェンカー
DBレギオ AG
DBステーション・サービス AG
外部リンクwww.bahn.de
特記事項:インターモーダル輸送パートナーとしてスターアライアンス加盟
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ベルリンポツダム広場にあるドイツ鉄道本社(.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯52度30分34.8秒 東経13度22分30.7秒 / 北緯52.509667度 東経13.375194度 / 52.509667; 13.375194)

ドイツ鉄道株式会社(ドイツてつどう、ドイツ語: Deutsche Bahn AG ドイチェ・バーン、略称:DB デーベー)は、ドイツの首都ベルリンに本社を置くドイツで最大の鉄道会社。ドイツ全土に鉄道網を持ち、ドイツでは最も重要な交通手段のひとつ。ヨーロッパ有数の技術・輸送力を持つ鉄道会社であり、世界的にも影響力のある鉄道企業のひとつである。

DBは旧:西ドイツ国鉄(DB, Deutsche Bundesbahn:ドイツ連邦鉄道)と旧:東ドイツ国鉄(DR, Deutsche Reichsbahn:ドイツ国有鉄道)が1994年はじめに統合、民営化された際に誕生したDBグループの中核会社である。またDBグループの意味でも用いる。ただし、民営化後も依然として国家の所有となっており、実際には株式会社化されたのみである。株式の売却による実質的な民営化は今後の課題となっている。

DBによれば、ドイツの郵便・物流会社であるドイツポスト/DHLに次ぐ世界第2位の運送会社であるとされ、ヨーロッパ最大の鉄道運営会社およびインフラ所有者であるという。DBは、2015年において収益が世界最大の鉄道会社である[1]。2019年には、旅客部門は約 48 億人の乗客を運び、物流部門は鉄道貨物輸送で約2億3,200 万トンの商品を輸送した[2]
部門
旅客輸送

DB personenverkehr部門は旅客輸送を担う。以下3つの部門に分かれる。

アリーヴァ - イギリス内で鉄道・バスを運行する企業、2010年に買収で取得。

DB Fernverkehr - ドイツにおいて長距離旅客列車を担う。

DBレギオ - ドイツにおいて短中距離の旅客列車を担う。

なお旅客輸送には「Die Bahn(The railの様な意味)」という愛称を用いていたが、2007年末より定冠詞を外した「Bahn」に変更されている。
貨物輸送

DBシェンカー - 貨物フォワーダーを担う。

DB Cargo - ドイツ国内で鉄道貨物輸送を担う。かつてはDBシェンカー・レールであったが分離された。

インフラ

インフラストラクチャ部門は、以下3つの部門に分かれる。

DB Netz (鉄道インフラ)

DB Station&Service (駅とサービス)

DB Energie (エネルギー)

特徴

駅や車両内の案内は数字や記号(アイコン)で表現されており、難解な文章を解読する必要はあまりない。さらに地域によっては、フランス語や英語など他国語の案内も併記されている。またその表示方法は全路線で統一されている。駅では時刻表の入手はもちろんのこと、自動券売機で出発地と目的地を入力する(または窓口で申し出る)ことにより経路案内も無料で入手できる。
料金制度自動券売機。左側は近距離専用、右側はタッチパネルのある一般用。一般用でも近距離切符は購入可能だが、専用ボタンのある近距離用販売機を使ったほうが早い。自動券売機の切符の例。Sparpreis 50、BahnCard 25の併用。デュッセルドルフ市内のゾーン切符付き。二か所に車内検札時のスタンプが押されている。

Sバーンなど都市近郊の列車ではゾーン制運賃になっており、中央駅を中心にしておよそ同心円状に複数のゾーンを設定し、あるゾーンの中で移動するといくら、あるいはいくつのゾーンをまたいで移動するといくら、という価格設定になっている。ゾーン制の切符はドイツ鉄道ではない事業者が運営する地域交通(地下鉄や路面電車、バスなど)とも共通である。切符は発券ないし改札してから2時間程度有効で、最初の乗車駅と最終の下車駅との間の経路を逆行や逸脱しない限り、有効時間内の途中下車は原則として自由。ただし、詳細は都市によって異なる。ベルリンなどでは片道のみが有効。つまり、A駅からB駅に行く際、途中の駅での乗り降りは自由であるが、B駅からA駅に戻る場合は2時間以内でも新たに切符を買わなくてはならない。切符は発券と同時に有効の場合と、発券後に改札した時点から有効の場合とがある。改札は駅のホームまたは車内にある自動改札機に切符を挿入して、日時などを印字することで行なう。改札を受けていないと車内検札の際に不正乗車と見なされ、高額の罰金を徴収されることがある。

長距離の切符は行き先を指定して購入する。長距離切符は経由駅が指定でき、経路中での途中下車も48時間以内まで可能である。列車の料金はICEIC、ローカル線で異なる。切符は窓口か自動券売機で買う。インターネットでも全列車の切符のクレジットカードによる予約・購入できるほか、国外他社線も直通列車の一部について購入が可能である。

自動券売機はタッチパネル式であり、どんな駅にも少なくとも1台は置かれている。ただし、タッチパネル方式の長距離路線用のものと、押ボタン方式の近距離路線用の2種類があり、同じ交通連合内のゾーンに含まれる近距離の場合は、ドイツ鉄道のローカル線を利用する場合でも、近距離用の券売機でしか購入できない。また、前者ではクレジットカードでも決済できるが、後者では現金のみである。さらに、地方の無人駅などでは近距離用の販売機しか置いていないことがあるため、長距離、特に後述のBahnCardを利用した割引切符の購入や、路線検索などができない。

長距離用の自動券売機は割引切符なども購入できるうえ、窓口で購入すると手数料が加算される割引切符も追加料金がかからない。改札は車内で車掌が行なう。

指定席券は別になっており、一律4.90ユーロ。指定席車両、自由席車両の区別はなく、座席ごとに予約の有無が表示される。予約のある座席には予約されている区間を示した掲示がされる。ICEなど優等列車のボックス席の場合は予約区間は入口の電光板に表示されている。一部の全車指定席列車を除けば予約は必須ではなく、予約のない区間は自由に座ってよい。一等の正規料金切符では、無料で座席指定が可能。

アウトバーンとの競争があるため、割引制度が充実している。半額以下で利用できる場合も少なくない。たとえばハンブルクからミュンヘンまで(約800km)はICEの正規料金で159.4ユーロであるが、最も安い割引切符だと30ユーロ以下にまで下がる。

主な割引制度を下記にあげる。価格は2024年現在のもの。
BahnCard 25, 50, 100
BahnCard 25だと一律25%割引、50だと正規料金が50%割引(割引料金は25%割引)になる。100は乗り放題。年会費は25が62.9ユーロ、50が244ユーロ、100が4550ユーロ。駅の窓口やオンラインで誰でも購入できる。外国人や外国に住所がある場合も利用可能。BahnCard100は証明写真が必要。
Sparpreis, Supersparpreis
飛行機の「特割」のような制度で、残席の多い列車に適用される。早朝や夜の列車に設定されることが多い。予約した列車のみ有効。Sparpreisは前日まで払い戻し可能だが、ドイツ鉄道で利用可能なクーポンとして返金される上に手数料が必要である。SuperSparpreis は払い戻し不可。BahnCardとの併用が可能。
Quer-durchs-Land-Ticket
日本の青春18きっぷのように普通列車と快速列車が一日乗り放題になる切符。かつてのSchones-Wochenende-Ticketの後継であるが、人数によって料金が変動する。特急に相当する優等列車であるICE, IC, ECの利用はできない。46(1人用)から82(5人用)ユーロ。一日限りで利用できる。BahnCardとは併用できない。
Deutschlandticket(ドイツ語版)
普通列車と快速列車が一ヶ月単位で乗り放題になる切符。インフレ対策として2023年から導入された。導入時の価格は一ヶ月当たり49ユーロであるが、ドイツ連邦政府からの補助金で支えられたチケット価格であるため将来的に値上がりする予定である。サブスクリプションとして発売され、前月10日までにキャンセルしないと自動継続となるなど、住民向けチケットとしての特徴が強い。また列車遅延時においても返金対象外となる。
路線

軌間はごく一部の特殊な路線を除き、大部分が1435mmの標準軌である。列車のほとんどは機関車客車から構成されている動力集中方式であるが、大都市圏ではフレキシブルな運用を可能とするため、電車が主力になっている。また旧東独地域や山岳地帯・閑散路線を中心に非電化区間では気動車も使用されている。

電化率は約50%で、ベルリンハンブルクSバーンなどの例外を除き、大部分が交流15kV16 2/3Hzでの電化である。複線化率は約50%で、主要幹線はほぼ複線化されており、都市近郊では複々線となっていることもある。

日本の約9割の面積を持つ国土に、約36,000kmの路線網を持ち、鉄道密度が世界でも高い国の一つであるが、他の交通機関との競争により、赤字ローカル線の廃線が相次いでいる。第二次世界大戦前は約60,000kmあったが、敗戦による領土喪失や、戦後の東西分割による路線分断、さらに不採算路線の廃線により、現在のような姿になった。

ドイツの鉄道網は、第二次世界大戦前は、首都ベルリンを中心に、ドイツの主要都市を放射状に結ぶ幹線と、都市間などを相互に結ぶ路線網で構成されていた。また、フランスおよびロシアを仮想敵とした国防上の問題から、南北より東西を結ぶ路線が重視されていた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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