プッシュバック(英: pushback)とは、航空機に特殊車両を接続して、その動力により後方へ押し出して移動させることをいう。 空港で旅客の乗降などのために駐機している航空機がエプロンから離れて滑走路に向かう際、機体の大きさや空港建物のレイアウトの都合により、機体を後退させて移動する必要が生じる場合ある。しかし、航空機自身の動力で後退することができない場合はプッシュバックが行われる。 飛行機には、ジェットエンジンを逆噴射させたり、プロペラのピッチを反転をさせたりして、自力で後退するパワーバックが可能なものもある。しかしパワーバックは後進のため前進するよりエンジン出力を上げる必要があり、騒音問題や周囲の航空機や建物、設備などに強風が当たることで損害を与える可能性があることから、一部の例を除いて空港内でのパワーバックは禁じられている。また、強風によって巻き上げられた砂や塵をエンジンが吸い込むことでエンジンにダメージを与える可能性があるため、逆噴射を利用した後退を運用上認めていない航空機も多い。
目次
1 概要
2 車両
2.1 トーバー・トラクター
2.2 トーバーレス・トラクター
3 プッシュバックを必要としない例
4 脚注
5 関連項目
概要
プッシュバックで用いられる特殊車両は、日本では「トーイングトラクター」もしくは「トーイングカー」と呼ばれ、英語では英: pushback truckあるいは英: tugと呼ばれる。これらは空港内で機体を牽引して移動させる場合など、プッシュバック以外においても用いられる。大型機の牽引に用いられるものは、長さ約 7メートル、幅約 2.8メートル、自重は 40 - 50トン程、エンジン排気量は14,000 - 15,000 cc 程である。また、この作業を行うためには牽引免許の他に航空機機種毎に後進時の旋回半径や切り返し挙動に差があるため、機種毎の社内資格が必要となる。また通常のトレーラーとは車両感覚が異なるため、航空会社では練習用として牽引した感覚が航空機に近くなるように鉄骨のフレームに車輪を付けた模擬飛行機『ダミーシップ』を用意している[1]。
航空機と車両を接続する方法によってトーバーと呼ばれる部品を使用するタイプと、トーバーを不用としたタイプに分類することができる。
2010年代になって航空機の空港での運用時におけるエンジン運転の二酸化炭素の排出や騒音が問題視されるようになり、特にヨーロッパを中心にプッシュバックから滑走路までのタキシング時にエンジンを始動させないで走行出来るように電気自走タキシングシステム[2]やトーバーレス・トラクターを進化させたハイブリッド電気牽引車[3]の開発研究が進み、WheelTugのような後付けシステムも登場している。 トーバー(英: Tow bar、トウバーとも)という棒を、航空機の前脚と車両の間に接続する方式でトーバー自体は手動で機体と連結し、外す必要があり時間がかかり、航空機との連結点と車両との連結点との両方が屈折する。構造上日本国内では基本的に、最高速度は時速15キロメートルと決められている[4]。大きな荷重が加わった際、破断することでトラクターと航空機の双方をダメージから守る、シェアピン
トーバー・トラクター
車両自体はトーバーを接続できればよいため専用車両を導入せず、ピックアップトラックにトーバーを追加した多目的車両や農業用の小型トラクターなどを流用することで機材コストを抑える組織もある。
GPU付トーイングトラクター(AIR DOのコマツ WT250E)