トンボ目
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「トンボ」のその他の用法については「トンボ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

トンボ目(蜻蛉目)
生息年代: 三畳紀?現世 Pre??OSDCPTJKPgN
シオカラトンボ
Orthetrum albistylum speciosum
分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
:昆虫綱 Insecta
:トンボ目(蜻蛉目) Odonata
Fabricius, 1793

亜目


イトトンボ亜目(均翅亜目) Zygoptera

ムカシトンボ亜目(均不均翅亜目) Anisozygoptera

トンボ亜目(不均翅亜目) Anisoptera

トンボ(蜻蛉、蜻?[1]、とんぼ、: dragonfly, damselfly)は細長いと腹を持った昆虫である。蜻蛉目(せいれいもく、トンボ目、学名: Odonata)をなす。
特徴

全世界に約5,000種類、うち日本には200種類近くが分布している。日本最大のオニヤンマから日本最小のハッチョウトンボまで、さまざまな種類が知られている。史上最大の昆虫とされるメガネウラ(化石種)はトンボと形態が似ているが分類上は異なる。

- 幼虫 - 成虫という成長段階を経る不完全変態の昆虫である。幼虫は腹腔中に一種のエラをもち、淡水中で過ごす水生昆虫で、種を問わずヤゴと総称される。
形態シオカラトンボの飛翔の40倍高速度撮影 実時間1.2秒

成虫の頭部は丸く、複眼が大きい。約270°もの視界がある。

胸部は箱形で、よく発達した長い2対のを持つ。これをそれぞれ交互にはばたかせて飛行する。空中で静止(ホバリング)することもできる。宙返りが観察された種もある。留まるときには、翅を上に背中合わせに立てるか、平らに左右に広げ、一般的な昆虫のように後ろに曲げて背中に並べることが出来ない。これは原始的特徴と見られる。には、横方向から見て折れ曲がった構造をしていて凹凸が有り、飛行中に気流の渦ができる。その発見以前のの理論では、そのような状態は失速のように、性能が劣ると考えられていた。翅は1枚だけが消失しても飛ぶことが出来る。

腹部は細長く、後方へのびる。

脚は捕獲するために使用されるが、歩行するのには適していない。トンボは枝先に留まるのに脚を使う他は、少しの移動でも翅を使って飛ぶことが多い。

頭部・胸部(カトリヤンマ Gynacantha japonica のメス)

頭部・胸部・腹部(カトリヤンマ Gynacantha japonica のメス)

複眼

食性

肉食性で、ハエチョウ、あるいは他のトンボなどの飛翔昆虫を空中で捕食する。トンボは、飛翔中の獲物を捕らえるにあたり、獲物に向かって飛ぶのではなく、獲物が進むであろう場所に向かって飛ぶ[2]。獲物を捕える時は6本の脚をかごのように組んで獲物をわしづかみにする。脚には太いが多く生えていて、捕えた獲物を逃さない役割を果たす。口には鋭い大あごが発達しており、獲物をかじって食べる。自分の体重分の採食を30分で行うことができる。

また、南米産のハビロイトトンボは、巣を張っているクモに体当たりし、落ちてきたクモを捕食する習性を持つ。
生活環ハートを形作るイトトンボの交尾 左側がオスギンヤンマ類のヤゴ

ほとんどの種類のオスは縄張りをもち、生息に良い場所を独占する。他のオスが縄張りに侵入すると、激しく攻撃する。ヤンマ類では、より広い行動圏を巡回するように飛び回る行動が知られる。

オスは部の前部に交尾器、先端に尾部付属器をもち、メスを見つけると首を確保して固定する。メスは腹部をオスの交尾器まで伸ばし、交尾をおこなう。

トンボの交尾はクモと並んで特殊なものである。生殖孔は雌雄ともに腹部後端にあるが、オスの腹部後端はメスを確保するのに用いられ、交尾時にはふさがっている。そこで、オスの腹部前端近くに貯精嚢があり、オスはあらかじめ自分の腹部後端をここに接して精子を蓄える。首をオスの腹部後端に固定されたメスは、自分の腹部後端をオスの腹部前端に接して精子を受け取るのである。このとき、全体として一つの輪を作る。

交尾が終わったメスは産卵を行うが、産卵の形態は種類によってさまざまである。

ギンヤンマなど - 雌雄が数匹連結したまま、水草などに産卵。イトトンボの中には潜水して産卵するものもいる。

アキアカネなど - 雌雄が連結したまま、水面を腹部で何度も叩くように産卵。

オオシオカラトンボなど - メスが水草などに産卵するのを、オスがホバリングしながら上空で見守る。

ルリボシヤンマなど - メスが単独で水草の組織内に産卵。ミヤマカワトンボなどは潜水して産卵する。

ナツアカネ - 雌雄が連結したまま、水辺の低空から卵をばらまく。

オニヤンマ - メスが単独で、飛びながら水底のに産卵。

孵化した幼虫は翅がなくてが長く、腹部の太くて短いものもあればイトトンボのように細長いものもある。腹の内部に鰓(気管鰓)をもち、腹部の先端から水を吸って呼吸を行う。素早く移動するときは腹部の先端から水を噴出し、ジェット噴射の要領で移動することもできる。なおイトトンボの仲間の幼虫には、腹部の先端に3枚の外鰓がある。

幼虫はヤゴと呼ばれ、水中で生物を捕食して成長する。幼虫の下ヒトのように変形しており、曲げ伸ばしができる。先端がかぎ状で左右に開き、獲物を捕える時は下顎へ瞬間的に体液を送り込むことによってこれを伸ばしてはさみ取る。小さい頃の獲物はミジンコボウフラだが、大きくなると小魚やオタマジャクシなどになり、えさが少ないと共食いもして、強いものが生き残る。幼虫の期間は、ウスバキトンボのように1か月足らずのものもいれば、オニヤンマなど数年に及ぶものもいる。

終齢幼虫は水辺の植物などに登って羽化し、翅と長い腹部を持った成虫になる。羽化はセミと同じようにたいてい夜間におこなわれる。羽化の様子もセミのそれと似ている。ただし、トンボの成虫は寿命が数か月ほどと長く、成熟に時間がかかるものが多い。羽化後、かなりの距離を移動するものも知られている。アキアカネなどのアカトンボ類は、夏に山地に移動し、秋に低地に戻ってくるものがある。その後、交尾・産卵を行って死ぬ。さらにウスバキトンボのように海を越えて移動するものも知られる。この種の場合、熱帯域に生活域の中心があるが、夏に次第に温帯域に進出し、それぞれの地域で繁殖しつつ移動して行き、最終的にはそれらがすべて死滅する、いわゆる死滅回遊を行う。

寒冷地ではふつう幼虫で越冬するが、オツネントンボの仲間は成虫で越冬する。
人間との関係

中国の影響で[3]、精力剤となるというふれこみで漢方薬として服用された。

幼生期には水中の害虫、成虫期には空中の害虫を捕食するため益虫として扱われる[誰?]。特にに対してはボウフラと成虫の両方を捕食するため大きな天敵となっている。また卵で越冬し、幼生期を水中で過ごし、成虫期を陸上(空中)で過ごすところから水田の環境と合致し、に対する害虫をよく捕食する。

他方、害虫となる例はほとんど無いが、ムカシトンボワサビの、オオアオイトトンボがクワコウゾなどの若枝に産卵するのが栽培農家に害を与える例が知られる。特に後者は一部の枝に産卵が集中するために枝を枯らす場合があり、養蚕農家にとってそれなりに重要である。


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