この項目では、北欧の妖精について説明しています。その他の用法については「トロール (曖昧さ回避)」をご覧ください。
森のトロール (テオドール・キッテルセン, 1906).ノルウェー国旗の盾を持つバイキング姿のトロール(マグネット製)
トロールまたはトロル(丁: trold、典: troll)とは、北欧の国、特にノルウェーの伝承に登場する妖精[1]の一種である。 北欧ではトロルド、トロールド、トラウ、トゥローと呼ばれる。当初は悪意に満ちた毛むくじゃらの巨人として描かれ、それがやがて小さい身長として描かれている。変身能力があるのでどんな姿でも変身できる。 どのような存在であるかについては様々な描写があり、一定しない。ただし、鼻や耳が大きく醜いものとして描かれることが多い。別格のトロールたちには二つまたは三つの頭がある[2]。 ノルド語の「Troll」は、怪物や妖精を指す一般名詞で、『巫女の予言』ではスコルについて「トロッルの姿」をしていると表現され、『エッダ』の詩語法67章にひかれる『老ブラギの歌』でも「トロッルは天の輪を呑みこむ」とある。また民話におけるトロールは、『エッダ』での「ヨトゥン」と互換性のある語として使われることから巨人とされる[3]。 魔術は「トロッルの審判」と呼ばれ、魔女、魔術師は、トロッル的な属性を備えているとされるが、神話の時代に魔術を使うとされた女性の巨人ギューグの末裔で女性のトロール「トロールコナ」は、一応腕力も持つとされるほか、魔術を使うとされる[4]。 一般的なトロールについてのイメージは、巨大な体躯、かつ怪力で、深い傷を負っても体組織が再生出来、切られた腕を繋ぎ治せる。醜悪な容姿を持ち、あまり知能は高くない。凶暴、もしくは粗暴で大雑把、というものである。 彼らと他種族との間にできる混血児は、ハールヴトロールと呼ばれ、『ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ』に登場するアルングリムArngrimr(英語版記事) 『幻獣大全』によれば、トロールが非ゲルマン系のフィンランドにもいる点とその生息域について、ヨトゥンのモデルと思われるサプメラシュ(サーミ人)の生活圏、いわゆるラップランドと重なる点が指摘される[3]。またサプメラシュの中では、トロールの亜種と考えられる、怪力で人を食う人型の怪物スターッル(Stallu)が言い伝えられている。こちらも各地へ伝播しフィンランド語でスターロ(Staalo)、スウェーデン語でスタッロ(Stallo(英語版記事)
概要
地域別の伝承
基本的に丘や塚に住むため「丘の民(Haugfolk)」とも呼ばれる彼らは、地下に金銀財宝を蓄え、類縁である大地の精を繰り鉱石や宝石を集める、太陽光あるいはライムギで出来たパンを食べると死ぬ、十字架またはその印には触れられない、ビールの醸造は得意[7]、人間を食べる[8]、人間の子供を攫い、自種族の子供を置く「取り替え子」を行うと言った共通した特徴がある[9]。
キャロル・ローズによれば、各地によって若干違うトロール伝承がある。 女のトロルは美しく長い赤毛をしているとされた[10]。 ペテル・クリスティン・アスビョルンセンとヨルゲン・モー
ノルウェー
ノルウェーの人の中では、日常生活でふっと物が無くなった際には「トロールのいたずら」と言われる。
また、ほとんどの御土産物屋にトロールの人形が販売されており高い人気を博している。陶器製、マグネット製、紙製、キーホルダー製など実に様々なものがあり、トロールの姿も男性、女性、子供、老人、中にはヴァイキング姿、サッカー姿、サーファー姿、スキーヤー姿など実に様々なものがあり、中にはアンティークコレクションとして評価の高いものも数多く存在する。 デンマークではTroldと呼ばれ、白く長いあごひげの老人として、赤い帽子、革エプロン姿で描かれる。 エブレトフトのトロルは背中にこぶがあり大きな鉤鼻、灰色ジャケット、とがった赤い帽子を着ている。グドマンストルップのトロルは背が高く黒く長い服を着ている[10]。 また、よく「ヒキガエル」の姿をしているとされる、スコーブ・トロルデ(木のトロール)、ベルクフォルク、ビュルク・トロルデと呼ばれる小さなトロールが知られている[11]。。 トロルは丘陵地、長塚、土墳などの下に共同体を作り暮らすためスウェーデンではベルグフォルク(丘の人々)と呼ばれた。
デンマーク
スカンジナビア半島