トレードドレス
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トレード・ドレス(: trade dress)とは、一般に、消費者にその製品の出所を表示する、製品あるいはその包装(建物のデザインすらも該当しうる)の視覚的な外観の特徴を指す法律用語である[1]。トレードドレスは知的財産権の一種である。
アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、製品のトレードドレスは一般の商標のように、商標およびトレードドレスを規制する連邦(制定)法であるランハム法により法的に保護される[2]。トレードドレスを保護することにより、他の製品を模倣するよう設計された製品の包装または外見から消費者を保護すること、消費者が別の製品であると誤信して製品を購入することを防止することが意図されている[3]。例えば、子供服の陳列における生地の形、色、および配置(ただし、服それ自体のデザインはトレードドレスとして保護されない)[4]、雑誌の表紙デザイン[5]、メキシカンスタイルのレストランチェーンの外観と装飾(様式)[6]、ワインショップにおける瓶の陳列方法[7]が保護可能なトレードドレスと判断されたことがある。
法的根拠

ランハム法43条(a)により、製品のトレードドレスは米国特許商標局 (USPTO) の公的な登録を受けなくとも保護されうる[8]。43条(a) は次のように規定する。

Any person who, on or in connection with any goods or services, or any container for goods, uses in commerce any word, term, name, symbol, or device, or any combination thereof, or any false designation of origin, false or misleading description of fact, or false or misleading representation of fact, which

(A) is likely to cause confusion, or to cause mistake, or to deceive [...] as to the origin, sponsorship, or approval of his or her goods, services, or commercial activities by another person, or
(B) in commercial advertising or promotion, misrepresents the nature, characteristics, qualities, or geographic origin of his or her or another person’s goods, services, or commercial activities,

shall be liable in a civil action by any person who believes that he or she is likely to be damaged by such an act.[9]

この規定により、(特許のような他の知的所有権を主張するための登録要件、出願要件とは違い)特定のトレードドレス (container for goods) の保有者は公的機関あるいは公的システムにそのトレードドレスを登録しなくても、43条(a) を根拠に侵害者(不法にそのトレードドレスをコピーした人または法人)を訴えることができる。一般的には、「連邦コモン・ロー」によるトレードドレス(および商標)の保護を提供するものとみられている[10]
公的な登録

USPTO はトレードドレスを主登録あるいは補助登録で登録することができる[11]。法的保護のためには、登録は必須ではないが、いくつかの利点がある。主登録をしておけば、登録名義人は、他人がその登録に異議を申し立てることなく登録名義人のトレードドレスを使用あるいは登録することを防止する、全国的な擬制使用および擬制告知を得る[12]。さらに、主登録を受けた登録名義人は、主登録から5年経過すると第三者がその登録に異議を申し立てる多くの手段を排除できる不可争性の地位を得る[13]。補助登録簿へ登録されると、主登録簿へ登録された場合と比べずっと保護範囲が限定されるものの、アメリカ以外の国におけるトレードドレスがアメリカでも保護される[14]
法的要件
機能性

ランハム法の下でのコモン・ローによる保護または主登録簿への登録を得るためには、トレードドレスは「機能的」であってはならない。すなわち、問題となるトレードドレスを構成する形状、デザイン、色、あるいは原材料の構成が消費者の心の中の認識を生み出すことを除けば効用あるいは機能を与えてはならない[15]。例えば、消費者が耐風性がある道路標識用の特徴的なバネの意匠をある特定の会社と結びつけて考えるとしても、バネは猛烈な風に耐える機能を発揮するため、そのバネのデザインはトレードドレスとして保護されない[16]

何が「機能的」であるかは保護しようとする特定の製品あるいはものに依存する[17]。例えば、衣服の赤色の線は機能的ではなかろうが(このため保護可能なトレードドレスの一部となりうる)、停止標識の赤色は、運転手に警告する機能を持たせるから機能的であろう(このため保護可能なトレードドレスの一部とはなりえない)。
識別性

ランハム法の下でのコモン・ローによる保護または主登録簿への登録を得るためには、トレードドレスは「識別力」がなければならない。これは、消費者がある特定のトレードドレスを製品の出所を特定するように知覚することを意味する[6]

製品の包装とは対照的に、製品のデザインにおいて主張されるトレードドレスはもはや「生来的に識別力がある」とはいえない。「セカンダリーミーニング」を獲得することにより識別性を獲得しなければならない[4]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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