トレーサビリティ_(流通)
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トレーサビリティ(: traceability)は、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態をいう。日本語では追跡可能性(ついせきかのうせい)とも言われる。目次

1 概況

2 システム

2.1 観察可能な情報

2.1.1 リサイクル家電

2.1.2 宅配便


2.2 ICタグ

2.3 ロット管理との関係


3 BSE問題とトレーサビリティ

4 EUの動向

4.1 TraceFishプロジェクト

4.2 法的規制


5 出典

6 関連項目

7 外部リンク

概況

20世紀末頃より、遺伝子組み換え作物の登場や、有機農産物の人気の高まり、食物アレルギーBSE問題偽装表示産地偽装問題などの発生に伴って、食品の安全性や、消費者の選択権に対する関心が高まっており、特に食品分野でのトレーサビリティが注目されている。

日本ではBSE問題から牛肉に、事故米穀問題からコメ米加工品にトレーサビリティが義務化された。しかし、事故麦問題が起きているに対してはまだ義務化されていない。

日本では消費者や量販店のメリットが注目を集めている。

EUでは消費者のためではなく、ある商品が作られて消費者に渡る過程において、学校に行くべき児童が労働に従事していないかどうか、生態系を乱すような乱獲や乱伐を引き起こしていないかといった事を確認することがトレーサビリティの大きな目的として考えられている[1]。日本においては、このようなEU型のトレーサビリティの目的はエシカルの概念が近い。

(→参考:Traceability(英語))。
システム

トレーサビリティとは、対象とする物品(とその部品や原材料)の流通履歴を確認できることである。

トレーサビリティには、トレースバックと、トレースフォワードがある。前者は物品の流通履歴の時系列にさかのぼって記録をたどる方向で、後者は時間経過に沿っていく方向である。

対象とする物品に対して関心を示した人間(代表例は
消費者)が、その物品の履歴をさかのぼって、物品の生産履歴を見ることは、トレーサビリティ(トレースバック)によってもたらされる。

対象とする物品に問題が発見された時、その物品が販売された特定顧客に対してピンポイントで商品の回収を行うことは、トレーサビリティ(トレースフォワード)によってもたらされる。

トレーサビリティは、対象となる物品を、観測しうる物理量によって定量的に記述された記録によって構築される。物理量とは、時刻重量名称、物品に添付意された記号バーコードなど)等々によって記述される。


物理量の計測結果が一定でなかったり、添付された記号などが故意・過失によって紛失等することは、物流におけるトレーサビリティの避けて通れない点である。したがって、トレーサビリティを構築する人間のモラルが、トレーサビリティの信頼の根源である。
観察可能な情報

日本語で単に「トレーサビリティ」という場合には、一般に工業製品や食料品など、市場を流通する様々な商品に関連して、これら物品が遣り取りされ、最終的に販売されるところまでなどを指す傾向が強い。この場合では、農業漁業といった食品産業における第一次産業製造業など第二次産業から商業活動など第三次産業までにおけるトレーサビリティに限定されている。また、物理量の記述の蓄積がトレーサビリティの構築の必要要件であるため、無形財を対象としたトレーサビリティは不可能である。

たとえば食品として流通する大根を考えた場合、この大根に関する観測可能な現象は、時間的な範囲では種子の選定から大根の成長、取り入れと出荷、消費もしくは廃棄されるまでであるが、対象範囲の空間は畑から消費した個人やごみ箱(さらには公的焼却炉など)までなる。厳密には、種苗企業やそれ以前の採種段階などの種の流通経路も含まれる。この情報に誰が関心を持つかによっても違ってくるが、情報を提供する手段や経路の選択も必要で、例えば農業協同組合などが統括している場合においては、生産者側であれば問い合わせにデータシートの形で提供することも可能であろうし、流通業者であればオンラインシステムで接続してデータベースの形で利用させ、末端の消費者であればインターネット上のウェブサイトなどより情報提供を行うことが想定できる。
リサイクル家電

リサイクルの進展に伴い、家電製品自動車などのリサイクル資源の処理についてもトレーサビリティが求められており、日本では消費者がリサイクル費用を負担する家電製品(2005年〈平成17年〉時点ではテレビ冷蔵庫洗濯機エアコン)では、処理について確認することが可能となっている。
宅配便

なお、宅配便等のサービスでは、発送元から到着先までが一対一であるため、追跡性が極めて高い。全ての貨物情報がオンライン処理されている現代にあっては、発送側や到着先が、荷物の受付伝票に記載された番号によって、今何処の集荷場を通過しているかを、インターネットの運送業者のウェブサイト上において、リアルタイムで確認する事が可能となっている。特にこれらは通信販売業者等が、商品発送の際に、顧客に伝票番号を通知・顧客側で荷物の到着過程を確認できるといった利用法にも用いられ、宅配便を使った円滑な商取引に活用されている。
ICタグ

日本では、完全なトレーサビリティ実現の手段として、ICタグ経済産業省を中心とした官民合同で研究開発段階にある。また食品(特に牛肉鶏卵等)は、農林水産省がトレーサビリティ普及に向けた活動を行っている。実際の普及までのハードルには、主にコスト面での課題に因る所が大きいが、ICタグを利用したトレーサビリティに関しては、社会的に浸透すれば一つ数円台にまで価格は低下すると見られている。
ロット管理との関係

日本では、様々な下請工場を経て生産される工業製品の多くは、古くは管理番号と台帳・近年ではバーコードを印刷したシールを通箱に添付して要所要所でチェックする事で、ロット毎の品質管理を行う様式が発達している。これらは、様々な粗製品や半製品仕掛品)の品質不良が判明した場合、いち早く該当する部品を使用した製品の所在を明らかにすることが可能で、日本製品の品質向上に大きく貢献しており、世界的にも同様の製造手法が導入されている。

しかし、様々な部品が集約されて一つの製品となる工業製品とは逆に、末端に行くほど細分化されて流通する食料品の場合は、パック詰め状態にまで追跡すると、人的にも設備的にも膨大なコストを発生させる事から、なかなか進まない問題があった。一方では、年々高まる消費者の食品に対する関心により、生産者側から一方的に供給されるスタイルから、消費者が生産者によって購入するかどうかを選ぶスタイルも生まれて来た。特に海外からの輸入食料では、ポストハーベスト農薬等による、食の安全性という問題もあり、食品の流通にまで消費者が関心を寄せる傾向は1980年代より急速に高まっており、更に各種食品問題によってトレーサビリティの重要度は、多方面で認識され始めている。


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