トルエン
別称フェニルメタン
メチルベンゼン
略称PhMe
BnH
識別情報
CAS登録番号108-88-3
?94.97 °C
沸点
110.63 °C
水への溶解度0.47 g/L (20?25 °C)
粘度0.590 cP at 20 °C
構造
双極子モーメント0.36 D
危険性
安全データシート(外部リンク)ICSC 0078
⇒ScienceLab.com
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード危険(DANGER)
主な危険性高い可燃性 ( F )
経口摂取での危険性高い
呼吸器への危険性高い
眼への危険性高い
皮膚への危険性高い
NFPA 704320
RフレーズR11, R38, R48/20, R63, R65, R67
Sフレーズ(S2), S36/37, S29, S46, S62
引火点4 °C / 39.2 °F
発火点不明
関連する物質
関連する芳香族炭化水素ベンゼン
キシレン
ナフタレン
関連物質メチルシクロヘキサン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
トルエン(英: toluene)は、芳香族炭化水素に属する有機化合物で、ベンゼンの水素原子の1つをメチル基で置換した構造を持つ。無色透明の液体で、水には極めて難溶だが、アルコール類、油類などには極めて可溶なので、溶媒として広く用いられる。
常温で揮発性があり、引火性を有する。消防法による危険物(危険物#第4類第1石油類)に指定されており、指定数量の20 %以上の貯蔵には消防署への届出が必要である。人体に対しては麻酔作用がある他、毒性が強く、日本では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。管理濃度は、20ppmである。 トルエンの名は、南アメリカに分布する Myroxylon balsamum トルエンは通常の芳香族炭化水素と同様に芳香族求電子置換反応の基質となる。メチル基の存在により、ベンゼンの約25倍の反応性を持っている。 特徴的な臭気を持ち、無色。沸点は約111度、融点は約?95度であり、通常では液体である。水を1としたときの比重は0.87[1]。 トルエンは穏やかなスルホン化によりp-トルエンスルホン酸を生成する。また酸化鉄(III)の存在下、塩素により塩素化反応を起こし、オルト・パラアイソマーのクロロトルエンを生成する。ニトロ化ではオルト・パラアイソマーのニトロトルエンを生成するが、加熱することでジニトロトルエン、最終的には爆発性のトリニトロトルエン (TNT) を生成する。ハロゲン化反応はフリーラジカル条件下でも進行し、そのときハロゲンはメチル基に入る。例えばトルエン中にNBSとAIBNを加え加熱すると、臭化ベンジルが生成する。 トルエンのメチル基も他の反応試剤により酸化反応が進行する。トルエンは酸化により反応中間体であるベンジルカチオンを生じさせ、続く水との反応によりベンジルアルコールを生成することができる。生じたベンジルアルコールはさらに酸化されベンズアルデヒドさらには安息香酸となる。またトルエンは過マンガン酸カリウムにより安息香酸を生成するが、その一方でクロム酸化によりベンズアルデヒドを生成する。 トルエンの触媒的水素化はその芳香族性のため進行しにくいが、高圧の水素添加によりメチルシクロヘキサンを生成する。 トルエンは原油中にも少量存在するが、通常は粗製ガソリンであるナフサのエチレンプラントでの熱分解、石炭からのコークス製造で生成する粗軽油やコールタールのクラッキングにより製造する[2]。エチレンプラントで副生する分解ガソリンや、粗軽油・コールタールのクラッキングによる生成物はベンゼン・トルエン・キシレン等の混合物であるため分留によりそれぞれを分離精製する。その精製プラントは代表的な産品の頭文字を取り、BTXプラントと呼ばれる。 純トルエンの2016年度日本国内生産量は1 984 735 t、工業消費量は1 006 165 tである[3]。 トルエンは溶媒として一般的に用いられ、ペンキ、塗料用シンナー、多くの化学物質、ゴム、印刷用インク、接着剤、マニキュア、皮なめし、殺菌剤等、様々なものを溶解することができる。フラーレンの指示薬としても用いることが可能である。ポリウレタンの原料であるトルエンジイソシアナートをはじめ、フェノール、トリニトロトルエン等の有機化合物の原料である。また内燃ガソリンエンジンのオクタン価向上剤としても用いることができる。
歴史
化学的性質
製造
用途
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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