トリリオンゲーム
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トリリオンゲーム
ジャンル
青年漫画ヒューマンドラマ
漫画
原作・原案など稲垣理一郎
作画池上遼一
出版社小学館
掲載誌ビッグコミックスペリオール
レーベルビッグコミックス
発表号2021年1号 -
発表期間2020年12月11日[1] -
巻数既刊9巻(2024年4月30日現在)
ドラマ
原作稲垣理一郎、池上遼一
脚本羽原大介
演出村尾嘉昭、竹村謙太郎、田中健太
音楽木村秀彬
製作TBSスパークルTBSテレビ
放送局TBS系列
放送期間2023年7月14日 - 9月15日
話数全10話
アニメ
原作稲垣理一郎、池上遼一
監督佐藤雄三
シリーズ構成金月龍之介
キャラクターデザイン土屋圭
音楽伊賀拓郎
アニメーション制作マッドハウス
製作アニメ「トリリオンゲーム」
製作委員会
放送局TBSテレビほか
放送期間2024年10月 -
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画テレビドラマアニメ
ポータル漫画テレビドラマアニメ

『トリリオンゲーム』は、原作:稲垣理一郎、作画:池上遼一による日本漫画作品。『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて、2021年1号より連載中[1]。2023年11月時点でコミックスの累計発行部数は160万部を突破している[2]

2023年7月より、TBS系列にてテレビドラマが放送された[3][4]

2023年9月15日、テレビドラマの最終回放送終了直後にテレビアニメ化され、TBSで放送されることが発表された[5]

2024年2月17日、テレビドラマの続編となる劇場版が2025年に公開予定であることが発表された[6][7][8]
概要

稲垣にとっては初となる青年誌連載であり、「ビジネスシーンが舞台の現代劇で、清々しいくらい『金を儲けることが全て』に特化したものを作りたい」と考えた作品である。

稲垣が漫画家として活動を始めた当初は、系列誌の『ビッグコミックスピリッツ』でいくつかの読切を発表したことがあり、池上とは2015年掲載の読切『こぶしざむらい』に続いてタッグを組む。稲垣がネーム(台詞回しやコマ割りなどの下書き)を作り、池上が作画を入れるという役割分担で成立している[9]。制作過程での最終決定権はシナリオとセリフは稲垣が、絵やデザインは作画担当の池上が持つことになっている[注 1]

もともと本作は、稲垣が中学生時代に作っていたシナリオが原型となっており、そのアイデアを現代風に作り替えたものが当作品である。スピリッツの原作賞にも応募したこともあり、最終候補にまで残っていたが受賞に至っていない。その該当作で主人公ハルとガクの原型は出来上がっており、世界長者番付にも乗るという結末も同じ。内容はテレビ局の株式を買収してのし上がるが、その数年後にライブドア事件が実際に起こってしまい、そのままでは漫画原作として使えなくなってしまった。

『スペリオール』2022年14号では「えなこmeetsトリリオンゲーム」と題して、コスプレイヤーえなこによる桐姫・凛々・水樹・ハルのコスプレが披露された[10][11]

次にくるマンガ大賞2021」でノミネートされる[12]。単行本第2巻の帯には千鳥[13]、第3巻は横槍メンゴがそれぞれコメントを寄せている[14]。2022年、「マンガ大賞2022」にて第6位を獲得[15]。2024年には第69回小学館漫画賞を受賞[16]
ストーリー

日本人で21世紀初の世界長者番付トップ10に名を連ねた、二人の青年ハルとガク。自分の素朴なイメージと掛け離れた現在に困惑するガクは、タワーマンション最上階で高価な家具に囲まれ、豪華なパーティーへの出席、ビジネスジェットでの移動……という華やかな生活の中で、なぜ自分たちがこうなったのかを回想していく。
スタートアップ編
プロローグ
中学時代最後の春、
カツアゲに遭遇したガクは偶然通りかかったハルに助けられる。半グレたちを容赦なく殴り続けたハルが、監視カメラに録画されてしまったため、ガクは購入したばかりのPCを使って監視カメラのシステムにハッキングして侵入し、動画を削除してみせる。ガクの手腕を見たハルは感心し、以来二人は友人となる。月日は流れ、大学生になり就職活動をするガクだったが、生来のコミュ障のために全ての企業に面接で落とされてしまう。本命であった超巨大企業ドラゴンバンクにも落とされたガクは、アルバイトでドラゴンバンク本社の窓拭きをしていたところ、合格して入社式に出席しているはずのハルが突然現れ、「一兆ドル稼ぐため、一緒に起業しよう」と提案してくる。こうして、世界一のワガママ男・ハルの野望にガクは巻き込まれていくことになる。(第1巻 第3話まで)
セキュリティ・チャンピオンシップ編
起業するための資金を確保するため、ハルは投資家たちに5千万円の出資を希望するが断られ続け、ドラゴンバンクの社長令嬢・黒龍キリカ (桐姫)に出資を申し込み、2人に興味を持った彼女から「1億円の出資・51パーセントの株式」を提示される。ハルは世界中のハッカーたちが腕を競う「セキュリティ・チャンピオンシップ」に出場する際に、『桐姫が1億円51%を提示!別の出資条件も急募 ??(略)』というチーム名にすることで、キリカよりも好条件の出資を取り付けようとする。ハルが飲み会で知り合った100人から、ビデオチャットでアドバイスをもらうことで予選を突破。キリカの怒りを買った2人は、決勝でキリカの秘書・長瀬率いるドラゴンバンク精鋭チームを始めとする全チームから、集中攻撃を受けてしまう。しかし、ハルが事前に仕掛けておいた偽物のWi-Fiルーターにより、全チームのパスワードを盗み取ったことで形勢逆転し、みごと優勝(後にレギュレーション違反で失格)。その破天荒な2人に興味を持ったベンチャーキャピタルの祁答院 一輝から、株式比率15パーセントで3千万円で出資を勝ち取る。(第2巻 第10話まで)
AIネットショップ編
『株式会社トリリオンゲーム』を起業して入社面接を実施したハルは、インターン中の生真面目な女子大生・高橋 凜々を代表取締役に抜擢。実は人力でセレクトする「ハッタリAI」を武器にしたネットショップ『ヨリヌキ』を立ち上げた3人は、システムを花屋チェーン会社に売却するため、ハルとガクは歌舞伎町のホストクラブに入店する。ユーザーの求めるバージョンアップを重ねて、ホストやキャバクラの客にPRした結果、契約条件だった月商2千万円をわずか1か月で達成して、1億円の契約金を得る。だが、巨大資本ドラゴンバンクの丸パクリの競合サイトと、メディア攻勢によって売上は激減し、ハルはメディア帝国を作ると決意する。(第3巻 第18話まで)
メディア帝国編
ソシャゲ&タレント事務所編
短期間で大きな売上を稼げるソーシャルゲームに活路を見出したハルは、「ハートのあるゲームを作りたい」という桜のゲーム会社を買収。ドラゴンバンクの人気ゲーム「ドラ娘」を作ったという『世界の堀本』によるソシャゲ製作をすると発表し、トリリオンゲームは投資家たちから20億円の出資を受ける。だが、『世界の堀本』は現実には存在しない、ハルがでっち上げた架空の人物であった。ベンチャーキャピタルの祁答院が、過去に芸能事務所『ゴッドプロモーション』のチーフマネージャーをしており、人気タレントのひき逃げを庇って前科者となっていたことを知ったハルは、半ば脅迫まがいに大株主たちを篭絡して『ゴッドプロモーション』の買収を行い、祁答院を社長に据えることに成功する。ドラ娘の本当の制作者を探すため、ガクはドラゴンバンクの中枢サーバーにハッキングを敢行するが断念。すぐにガクの仕業と見抜いたキリカからの尋問紛いの遊園地デートを経て、実際のプロデューサー蛇島を引き抜くことに成功する。蛇島のアドバイスの下で、桜たちが過去に作ったゲームを改修して人気ゲームに生まれ変わらせる。一方、ハルは芸能界のドン・皇と組み、新作ゲームのCMやプロモーションに起用させる。(第5巻 第39話まで)
トリリオンTV編
トリリオンゲームの株主3名(ハル・ガク・祁答院)は、ドラゴンバンクの社長 黒龍一真の自宅に招待される。内容は株式交換によるドラゴンバンク傘下の完全子会社化と、ハルとキリカを結婚させて婿入りさせる提案だった。その提案を断って黒龍一真の怒りを買ったハルは、「ドラゴンバンクの買収」を宣言。その資金稼ぎおよび世論形成のため、ネットテレビ事業の立ち上げに入る。一方、ドラゴンバンクはアメリカのネットテレビ会社「D-REX」社を買収。その日本法人『D-REXジャパン』の社長に就任したキリカは、業界の知識を持つ日影のアドバイスを受けながら、地上波テレビ局の株式を次々と取得して、各テレビ局に番組を差し出させることに成功。着々と加入者数を増やし、日本国内で独り勝ちの地位を獲得しつつあった。一方、トリリオンゲームは祁答院・皇との協力を経て『トリリオンTV』を立ち上げる。ハルは首都圏地上波テレビ局のうち、唯一キリカが歯牙にもかけなかった局「東京瓦テレビ」のアナウンサー白虎あかりと、そのプロデューサー功刀を取り込み、共同で報道番組のスタートにこぎつけた。両陣営は、会員集めや起用するタレント、撮影スタジオ確保などあらゆる点で競争を繰り広げていく。ある夜、ハルはキリカを呼び出し、「お互い足りないところを補うため」プロポーズを行う。キリカはハルとの家族生活を連想するが、結婚は棚上げとしてビジネスでは組み、『T-REX連合』として再出発することになる
[17]。(第8巻 第57話まで)
情報帝国編
株式公開編
ハルはキリカからの誘いで携帯キャリア事業の新会社設立に乗ることを決めるが、その準備資金として『1兆円』と設定された。技術はガク、人脈はキリカと役割分担が決まる中で、資金調達担当となったハルはトリリオンゲーム社の
新規株式公開(IPO)の取り組みを開始した。ハルはIPOの主幹事候補として、「その場しのぎの吹かし」で仕事を取ってくる営業マン・『パイレーツ証券』の宝田と組む。宝田のサポートもあり、投資家への事前説明をハルの大活躍で切り抜け、わずか1年でのスピード上場まで目前となった。そんな中、黒龍一真はキリカの手引きにより「トリリオンゲーム社を敵対的買収する準備」を密かに進めていた。それを察知したハルは、買収防衛策として公開価格を吊り上げるため、中東系のファンドリーダーであるアハマド王子に新株を買ってもらうべく、資金協力を取り付ける。帰国後、トリリオンゲーム社はプライム東証一部の株式上場を果たす。公開価格も黒龍一真が見積っていた倍近くの株価となり、時価総額の吊り上げにも成功して敵対的買収も退け、ハルは予告通り1兆円を集めた。(第9巻 第67話まで)
スマホキャリア編
資金集めに成功後、桐姫は電波帯域を分けてもらうため、大日本ガイア通信の社長・五鬼継と交渉を行う[18]。それとほぼ同時期にハルとガクはミスリル工業の鉱社長を訪ね、ミスリルフォンの商品提供及びトリリオンモバイルに出資してもらう商談が成立していた。鉱より五鬼継の名前を聞いたハルとガクは、桐姫と共に首相官邸で商談する。五鬼継は電波帯域の件を快諾するが、トリリオンゲーム社にアンテナを全国くまなく建てさせて資金を溶かし、メディア事業を乗っ取る算段があった。ミスリルフォンからの出資話や銀行からの資金調達の手段も五鬼継によって塞がれる中、ハルは衛星通信の企業であるギャラクシーモバイル社と契約にこぎつける[19]。加えてハルは密かにNPO非営利団体『HAL』を名乗り、大学の登山サークルにトリリオンモバイルの端末を提供。そのサークルが起こした事故により既存の電波がつながらない山間部でも、トリリオンモバイルなら衛星通信によりつながることを証明。ハルは業界2位のアルテミスモバイル社長である月光に、五鬼継を倒そうと持ち掛けていく。(第9巻 第71話まで)
登場人物ハルが、ガクのために20万円で購入したアーロンチェア。この画像のものは、ランバーサポートタイプ。

声の項はテレビアニメ版の声優。
主人公
天王寺 陽(てんのうじ はる)
声 -
大塚剛央[20]主人公の1人。通称はハル。長髪、「チャラい」見た目、「ワルいことにブレーキがない」男。口癖に「クハハ」という笑い声を発する。『世界一のワガママ』を自称し、『1兆(トリリオン[注 2]ドルを稼ぐ』という一攫千金の野望達成のために一見無鉄砲に行動する。天才的なコミュニケーション能力と体力、知力を持ち併せ、交渉・喧嘩・戦術など何でも簡単に勝てるように思われているが、勝つためなら手段を選ばない用意周到さと簡単に諦めない根性も持ち合わせている。ドラゴンバンクでの面接時に、キリカが突然に話してきたフランス語・中国語にも対応するなど、語学力にも通じている。本人はコミュ力については『投資』であり、『仲良くすることは傷つくリスクを負うこと』『人と人は怖くて当然』と発言しており、『(黒龍一真のような絶対に敵対する相手とは仲良くなれないため)全勝は出来ない』とも語っている。技術については何も知らない分、ガクの技術力を高く買っており、二人で立ち上げた株式会社「トリリオンゲーム」内では渉外、営業、事業決定、そしてガクのサポート役と義理堅い面も見せている。一度はドラゴンバンクの内定を取るも、本物の技術者であるガクを取らなかったことを理由に内定式中に辞めてガクと共に起業する道を選ぶ。なお、ハルのプライベートについては本編中でほとんど明かされておらず、大富豪になった後のガクの生活でも登場していない。
平 学(たいら まなぶ)
声 - 石毛翔弥[20]主人公の1人。通称はガク。物語は彼の回想という形で進行する。ハルとはカツアゲから助けられて以来の縁であり、計画開始の際に彼が買ってくれた20万円の高級デスクチェア『アーロンチェア』を大事にしている。IT関連の知識に長けた技術者(ギーク)で、独学ながらハッキングの腕前も高い。稲垣の目安では「100人中ナンバー2程度の実力」と定義しており、就職活動時の本命だったドラゴンバンクの面接前には同社のサーバーセキュリティの特徴を把握している。トリリオンゲーム内では開発担当で、作業をする際は袖にバンドをするルーチンがある。ハルとは正反対に引っ込み思案、弱気でコミュ障であり、怖気づくと「あばば」という口癖を発する。そのために就職活動は全て面接で落とされてしまった。足るを知る常識人で、常にハルの突飛な行動に振り回される。ただし、彼の性格を知っているだけにハルが何かを思いつくと、凛々と共に顔芸を披露するというコメディリリーフの役割も持つ。なお、後述のゲーム『プチプチランド』が売れるまでハルと共に無給だった(凜々ら社員には入社時より給料が支払われていた)が、後に上場を果たし、設立されたトリリオンモバイル社では「CTO」(最高技術責任者)の肩書を持つ。単行本各巻のオープニングは必ず「大富豪編」のシーンから入り、「株式会社トリリオンゲーム」での奮闘を回想する形で本編に入る。大富豪になった後も金銭感覚・性格・独身・服装はほぼ変わっておらず(500万円の指輪で「高い」と発言)、登場毎に水樹にいじられている。
トリリオンゲームの関係者
高橋 凜々(たかはし りんりん)
声 -
田中有紀[21]ハルとガクが立ち上げた会社に初めて内定した大学生。在学中のインターン生の立場であるにもかかわらず、ハルの策略で「代表取締役社長」の座に座らされる。「堅物」と呼ばれるほどしっかりした性格が災いして就職活動で全滅状態だったが、細かいところまで調査できる緻密さは2人にはない点として逆に評価された。入社前は花屋でバイトしており、桐姫がハルとガクにお祝いで送った花は彼女がアレンジしていた。その知識を活かし、蜜園フラワーに事業売却までの間「ヨリヌキ」のハッタリAI役を務める。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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