トリオ・ソナタ
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旋律楽器は、ヴァイオリン2挺が多く用いられる他、リコーダー、フルート、オーボエなどの旋律楽器を各種組み合わせたものも多い。ヴィオラ・ダ・ガンバのような中低音楽器を用いた例も見られる。バッハの 《音楽の捧げもの》 の有名なトリオ・ソナタではヴァイオリンとフルートが用いられている。
またバッハは、オルガンのために6つのトリオ・ソナタを作曲し(BWV 525-530)、3つの声部を右手、左手、ペダルに割り振り、一つの楽器にまとめて演奏させている(近年では、この作品を通常のトリオ・ソナタの編成に編曲して演奏することも人気がある)。
コレッリの作品1?作品4の48曲のトリオソナタは、殆どが2挺のヴァイオリンと通奏低音のために書かれている。これらはトリオソナタの教科書的な存在で、ヨーロッパ各国の作曲家に多大な影響を与えた。
ブクステフーデの 《6つのトリオ・ソナタ》 作品1と 《7つのトリオ・ソナタ》 作品2は、この二つだけが作曲者の生前に出版された。
パッヘルベルの 《音楽の歓び Musikalische Ergotzung》 は、スコルダトゥーラされた2つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ集(6曲)である。
ヴィヴァルディの《トリオ・ソナタ集》作品1は完全にコレッリのスタイルを踏襲している
ゼレンカの 《ソナタ集》 ZWV181は、オーボエとファゴット、通奏低音のための曲集で、オーボエが2本使われカルテット・ソナタになることもある。ファゴットに超絶技巧が要求されるなど、難度が高い作品集である。
テレマンは種々の楽器編成による多数のトリオ・ソナタを残しているが、そのなかでも室内楽曲集 「音楽の練習帳」 には旋律楽器+チェンバロ+通奏低音という編成の作品が4曲含まれている。
バッハのトリオ・ソナタは 《音楽の捧げもの》 以外に4曲あるが(BWV 1036-1039)、偽作の疑いもある。このうち2本のフルートが旋律楽器として使われているBWV1039は、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第1番BWV1027とほぼ同じ曲である。バッハは典型的なトリオ・ソナタよりも、旋律楽器とチェンバロ(右手と左手を独立した声部として扱う)で三声部をなす形式を好んで用いた。むしろ、バッハの息子たちの方が、伝統的な通奏低音付のトリオ・ソナタやソロ・ソナタ(1つの旋律楽器+通奏低音)を多数作曲している。
トリオ・ソナタを書いた主な作曲家生誕年順
ディートリヒ・ブクステフーデ (1637-1707)
ヨハン・パッヘルベル (1653-1706)
アルカンジェロ・コレッリ (1653-1713) - 作品1(教会ソナタ)12曲、作品2(室内ソナタ)12曲、作品3(教会ソナタ)12曲 、作品4(室内ソナタ)12曲
ヘンリー・パーセル (1659-1695)
アントニオ・ロッティ (1667-1740)
ヨハン・クリストフ・ペープシュ (1667-1752)
アントニオ・カルダーラ (c1670-1736)
トマゾ・アルビノーニ (1671-1751)
ジャック・オトテール (1674-1763)
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741)
ヤン・ディスマス・ゼレンカ (1679-1745) - ZWV181 6曲(ヘ長調、ト短調、変ロ長調、ト短調、ヘ長調、ハ短調、1721年頃)
ジャン=バティスト・ルイエ(ロンドンのルイエ) (1680-1730)
ゲオルク・フィリップ・テレマン (1681-1767)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル (1685-1756)
ウィレム・デ・フェッシュ (1687-1761)
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュ (1688-1758)
ジュゼッペ・タルティーニ (1692-1770)
ユーハン・ヘルミク・ルーマン (1694-1758)
ジャン=マリー・ルクレール (1697-1764)
ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ (1697-1773)
ウィリアム・ボイス (1711-1779)
クリストフ・ヴィリバルト・グルック (1714-1787)
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ (1714-1788)
カール・フリードリヒ・アーベル (1723-1787)
ドメニコ・ガロ (1739-c1768) - 12曲(第1番 ト長調、第2番 変ロ長調、第3番 ハ短調、第4番 ト短調、第5番 ハ長調、第6番 ニ長調、第7番 ト短調、第8番 変ホ長調、第9番 イ長調、第10番 ヘ長調、第11番 ニ短調、第12番 ホ長調=以上12曲は従来ペルゴレージの作とされていた)
ルイジ・ボッケリーニ (1743-1805)
参考文献
『クラシック音楽作品名辞典』 (1995年、三省堂)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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