トリアージ
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第一次大戦にてフランス軍が設置したトリアージセンター救護訓練 トリアージ訓練
(2007年9月2日撮影)

トリアージ(英語: triage、フランス語: triage)は、多くの傷病者が発生している状況において、傷病の緊急度や重症度に応じた優先度を決めること[1][2][3]。中国や台湾など漢字圏では、検傷分類と言われる[2]

救急事故現場において、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定などにおいて用いられる。識別救急とも呼ぶ。

トリアージは病院の救命救急部門(ER)受付や[4]救急通報電話サービスでも行われている[5]

語源としては、「選別」を意味するフランス語のトリアージュ(: triage[注 1][注 2])とする説が有力である[6]
種別
救急搬送サービス東京消防庁で実際に使用されているトリアージ・タッグ熊本赤十字病院の 災害トリアージセット

「トリアージ」は災害医療等で、大事故、大規模災害など多数の傷病者が発生した際の救命の順序を決めるため、標準化が図られて分類されている。最大効率を得るため、一般的に直接治療に関与しない専任の医療従事者が行うとされており、可能な限り何回も繰り返して行うことが奨励されている。その判断基準は使用者・資格・対象と使用者の人数バランス・緊急度・対象場所の面積など、各要因によって異なってくる。
例えば玉突き衝突事故等の、一般的に複数個の救急隊が出場する事案では、隊と隊の間の意思疎通・情報共有のためにもトリアージ・タッグが使用される。

医療体制・設備を考慮しつつ、傷病者の重症度と緊急度によって分別し、治療や搬送先の順位を決定すること[6]である。
助かる見込みのない患者あるいは軽傷の患者よりも、処置を施すことで命を救える患者を優先するというものである[7]。日本では、阪神・淡路大震災以後知られるようになった[7]
平時では最大限の労力をもって救命処置された結果、救命し社会復帰し得るような傷病者も、人材・資材が相対的に著しく不足する状況では全く処置されず結果的に死亡する場合もあることが特徴である。
避難所トリアージ

大規模地震で大量の避難者が出て避難所が大幅に不足する場合に、避難所の利用者に優先順位を付け、自宅を失った人、高齢者、障害者などを優先して受け入れる「避難所トリアージ」といった概念もある[8][9]
院内トリアージメキシコのERセンターのトリアージ表示。

二次トリアージ(院内トリアージ)とは病院の救急救命室において、トリアージナース(ERナース)、訓練を受けたパラメディック、軍事医療従事者によってなされる[10][4]

日本では診療報酬として、院内トリアージ実施料が設定されている。
判定基準防災訓練用説明パネル
災害現場用(埼玉県)

改定外傷スコア(英語版)(TRTS)、外傷深刻度スコア(英語版)(ISS)などが存在する。

大まかに以下の要件で判定される。

総傷病者数

医療機関の許容量

搬送能力

重症度・予後

現場での応急処置

治療に要するまでの時間

START法START法による診断フローチャート。

救助者に対し傷病者の数が特に多い場合に対し、判定基準を出来るだけ客観的かつ簡素にした物がSTART法[注 3]である。これは、救急救命室で用いられる外傷初期診療ガイドライン日本版にて、プライマリー・サーベイで用いられるABCDEアプローチに基づいたものとなっており、具体的には以下のようになる。
歩けるか?


歩ける→緑→状態の悪化がないか絶えず観察

歩けない→下へ
口頭の答えを鵜呑みにせず介添えはせずに本人に起立させ歩行出来るかどうか確認することが重要。
A:呼吸をしているか?


気道確保をしても、呼吸がない→黒

気道確保がなければ呼吸できない→赤

気道確保がなくとも呼吸できる→下へ

B:呼吸数はどうか?


頻呼吸(30回/分以上)もしくは徐呼吸(10回/分未満)→赤

10?29回/分→下へ
なお、災害医療においては、所要時間短縮のため、6秒間で呼吸数を計る。
C:循環状態はどうか?
現在では循環を爪床圧迫法から橈骨動脈触知に変更したSTART変法が主として用いられている。[11]

橈骨動脈を触知できない→赤

橈骨動脈を触知できる→下へ
ショック状態が疑われる場合(脈が弱く速い、皮膚が冷たく湿っているなど)は赤を選択する。爪床圧迫法、CRT(毛細血管再充満時間[12]の場合。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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