トランスラピッド(独: Transrapid)はドイツで開発された磁気浮上式鉄道(常電導リニア)の名称。トランスラピッドの開発・販売を行っている企業名にもなっている。目次 強磁性体の永久磁石と通常の電磁石を用いている。液体ヘリウム冷却が必要[1]な超伝導電磁石を用いた超電導リニアと比較して、低コストでの導入、運用が可能である。また、超電導リニアと違い、停止時も浮上していることから常時車輪を必要としない。 浮上量は車両側コイルと軌道側の間で、約1cm程度である。このため、軌道の敷設や保守に際して高精度が要求される。また、地震や地盤の変動が避けられない地域においては車両と軌道の接触事故の懸念があり、そのような国土を持つ日本の旧国鉄・現JRでは敢えて難度の高い超電導を利用して浮上量約10cmを確保できる方式の研究開発に取り組んだ、という経緯がある。 ドイツ国内においては主要な都市間において既に従来のICEによる高速鉄道網が整備されつつありトランスラピッドの必要性、優位性は年々減りつつある。その為、高速鉄道のインフラストラクチャの整備が進んでいない新興国への輸出に活路を見出そうとしたが、中国が採用しただけで売り込みは苦戦し、結局開発は2011年に終了した[2]。 ガイド下部に設置された、ステータ(鉄心コイル)と車両側の電磁石同士の磁気吸引力を利用して浮上する電磁吸引支持方式で、HSSTと同様の方式となっている。しかし磁気浮上による車体支持と推進時の車体案内が分離されている点で異なる。 電磁吸引方式は停止中でも約8mm程度の磁気浮上をさせる特徴を持ち、走行中においてもこの磁気浮上間隔を保つ。そのため、この磁気浮上を保つためには、センサでガイド側ステータと車体側の電磁石とのギャップを常に計測し、電磁石の電流制御(チョッパ制御)を行わなければならない。 前述のように車体浮上と案内は分離しており、推進浮上とは別に軌道案内のためのガイド用電磁石が設置されている。浮上と同様に軌道と車両との横方向のギャップをセンサにより測定して、これが一定になるようにガイド用の電磁石の磁力を制御している。 リニア同期モータ(リニアシンクロナスモータ)式による推進で、基本原理は超電導リニアと同じである。車両側の電磁石は浮上用電磁石と共通になっており、地上側のコイルの極性切り替えにより推進力を得る地上一次式である。推進力は、車両側の電磁石により進行方向に対して生じた磁界と地上側のコイルに流れる電流との積に比例する。また車両速度は、地上側コイルに供給される交流電流の周波数に比例する。 磁気浮上式鉄道の特徴の一つでもあるが、トランスラピッドは加速性能が極めて高く300 km/hまでの加速に必要な距離が5km(動力集中式のICEは30km 動力分散式のICE3では加速性能は大幅に改善されている)と短い。 トランスラピッドの通常の走行でのエネルギー消費は1区間で推進、浮上、車両制御に50-100 kWである。空気抵抗係数 P = c w ⋅ A F r o n t ⋅ v 3 ⋅ ( Density of surrounding air ) / 2 {\displaystyle P=c_{w}\cdot A_{\rm {Front}}\cdot v^{3}\cdot ({\mbox{Density of surrounding air}})/2} P = 0 . 26 ⋅ 16 m 2 ⋅ ( 111 m / s ) 3 ⋅ 1 . 24 k g / m 3 / 2 P = 3 . 53 ⋅ 10 6 k g ⋅ m 2 / s 3 = 3 . 53 ⋅ 10 6 N ⋅ m / s = 3 . 53 M W {\displaystyle {\begin{matrix}P&=&0{.}26\cdot 16\,\mathrm {m} ^{2}\cdot (111\,\mathrm {m} /\mathrm {s} )^{3}\cdot 1{.}24\,\mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{3}/2\\P&=&3{.}53\cdot 10^{6}\,\mathrm {kg} \cdot \mathrm {m} ^{2}/\mathrm {s} ^{3}=3{.}53\cdot 10^{6}\,\mathrm {N} \cdot \mathrm {m} /\mathrm {s} =3{.}53\,\mathrm {MW} \end{matrix}}}
1 トランスラピッドの特徴
2 基本原理
2.1 浮上
2.2 案内
2.3 推進
2.4 エネルギー条件
2.5 市場、生態系への影響
2.6 費用の比較
2.6.1 軌道の建設費
2.6.2 車両取得費用
2.6.3 運行費用
3 車両技術
3.1 ブレーキ
3.2 集電
3.3 その他
4 地上設備
4.1 軌道
4.2 位置検知
4.3 環境・人体への影響
5 開発組織
6 実験車両
6.1 TR-05
6.2 TR-06
6.3 TR-07
6.4 TR-08
6.5 TR-09
7 歴史
8 火災
9 事故
10 上海トランスラピッド
11 他の実用化計画
11.1 中華人民共和国
11.2 ドイツ
11.3 ヨーロッパ
11.4 アメリカ合衆国
11.5 イラン
11.6 その他の計画
12 脚注
13 外部リンク
トランスラピッドの特徴
基本原理 トランスラピッドの構造
浮上
案内
推進
エネルギー条件
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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