トヨタ・ハイブリッド・システム
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この項目では、トヨタ自動車のハイブリッドシステムについて説明しています。その他の「THS」については「THS」をご覧ください。
トヨタ・プリウスPHV(ZVW52型)のハイブリッドシステム

トヨタ・ハイブリッド・システム (TOYOTA Hybrid System) とは、トヨタ自動車が開発したハイブリッドカーの機構。略称は「THS」。1997年に登場した世界初の量産ハイブリッドカーシステムである。
概要「トヨタ・プリウス」および「無段変速機#電力・機械併用式無段階変速機」も参照

発電用(MG1)と駆動・回生ブレーキ用(MG2)の2つのモーターを採用するスプリット式ハイブリッド(シリーズパラレル式ハイブリッド、ストロングハイブリッド)の代表格として、世界のハイブリッド戦線の第一線で活躍している。トヨタ子会社のアイシン(旧アイシン・エイ・ダブリュ)が共同開発パートナー及び製造を担う。

一般的にこのシステムでのトランスミッションは「電気式無段変速機(E-CVT)」などと表記されるが、厳密にはトランスミッションは存在せず、代わりに遊星ギアによる動力分割機構の高度な制御により、エネルギーを駆動や充電に振り分けている。これによりエンジンを駆動に使いつつ同時に発電にも用いることを可能としている。また高効率・低出力なアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)エンジンとは非常に相性が良いため、現在トヨタの全てのTHS搭載車がこれを採用している。

マイルドハイブリッドi-DCDに代表される一般的なハイブリッドのパラレル式と比較すると、システムの判断で自在にエンジンを回したり止めたり(EV走行)することができる上、エンジンが回っている間は同時にバッテリーへの充電もできるため、安定的かつ圧倒的な低燃費を可能としている。一方でパドルシフトを含め有段変速にすることが容易ではなく、車マニアからは退屈と言われることが多い。また、従来は大きなスペースを必要としたため四輪駆動とも相性は良くなく、2020年登場の4代目ヤリス(日本では初代)まで小さめの車種に四輪駆動版の『E-Four』が搭載されることは無かった。また複雑さゆえにコスト・価格が高いため、その普及率とは裏腹にトヨタのハイブリッド車の販売比率はパラレル式をメインとするメーカーより低い[1][2]

バッテリーは従来はプライムアースEVエナジー社製ニッケル水素電池一辺倒であった。これはリチウムイオン電池と比べると充放電効率やエネルギー密度では劣るが、比較的安価で気温の変化にも左右されづらい点で優れていた[3]。第4世代目以降は一転してリチウムイオン電池への移行が進んでいるが、並行してバイポーラ式で効率を高めたニッケル水素電池も初採用するなど、試行錯誤しながら車種の特性などによって使い分けられている。

モーターは第2世代目まで大トルク・低回転傾向であったが、小型化・軽量化を図るため、第3世代目以降は一転して小トルク・高回転型へとシフトしている。プリウスで比較すると、第1世代のモーターは最大30 kw/5,600回転で5.1 Lの容積を必要としたが、2020年現在の第4世代は53 kw/17,000回転で2.2 Lと半分以下の大きさで1.7倍の出力を得ている[4]。2022年登場の第5世代はさらに15%軽量化の上[5]、プリウスの1.8Lモデルで70kW(回転数は非公表)に達している。

2017年に10代目カムリに搭載されて以来、ダイナミックフォースエンジンと組み合わせたハイブリッドシステムを採用し、パワーと燃費の両立を図る車種が増加しているが、エンジンを従来型から換装せずに、モーターやECUのみ大幅に改良しているパターンも存在する。(例:4代目ノアヴォクシーセンチュリーSUV)

THS搭載車は2002年3月に世界累計販売台数10万台[6]、2007年5月に100万台[7]、2017年1月に1,000万台を突破した[8]
系譜
前史初代プリウス

トヨタのハイブリッド研究は、1975年(昭和50年)に発電にガスタービンエンジンを利用したターボ・エレクトリック方式を採用したセンチュリーコンセプトカーに遡る。同時期に発生したオイルショックの影響などもあって電気駆動の研究が進み、1992年(平成4年)にはEV開発部が誕生。タウンエースクラウンマジェスタRAV4などをベースにした電気自動車 (EV) や、シリーズ式ハイブリッドのコースターなどが公道モデルとして開発され、THSの礎を築いた[9]
第1世代

1997年(平成9年)に、世界初のスプリット式(動力分割式)ハイブリッドシステムを搭載した初代プリウスが登場。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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