トヨタ・ダイナ
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ダイナ(DYNA)は、トヨタ自動車が販売する小型中型トラックである。

新普通免許で運転できる最大積載量1トンクラスの4ナンバーガソリン車から、中型8トン免許(旧普通免許)で運転できる4トン積載クラスまで、幅広いシャシーラインナップを有する。車名「ダイナ」は英語「Dynamic(活力ある、機動力ある)」を短縮した言葉で、トヨタ自動車販売(当時)と関係ディーラーの社員からの公募により決定された。
概要

1956年昭和31年)5月発売のトヨタ・RK52型小型トラック[1]をルーツとする。登場時はトヨエースより積載量が大きく上級に位置していたが、1985年昭和60年)以降は双子車となり、仕様とラインナップが共通化された。

1969年(昭和44年)発売の3代目以降はダイハツ工業との共同開発となり、ダイハツブランドでもデルタとして販売されていた。

後にダイハツは開発から撤退し、1999年平成11年)発売の7代目以降は日野自動車との共同開発となった。2 t積以上の車種の製造も全て日野自動車で行われており、バッジ違いの双子車日野・デュトロとして販売されている。

2021年令和3年)に競合車種であった日産・アトラス ガソリン(OEMであるいすゞ・エルフ100UD・コンドル CARGO 1.15 t - 1.5 t及び三菱ふそう・キャンターガッツも含む)が生産終了した事に伴い、1.0 t - 1.5 t積の小型トラックでは唯一ガソリンエンジンを設定している車種となっている[注釈 1]。ディーゼル車は、現行モデルでは全車型において準中型免許(5トン限定を含む)以上の運転免許が必要であるが、2016年(平成28年)9月改良モデル以前のカーゴの1.25 t - 1.5 t積に関しては、車両総重量が3.5 t未満に収まっていたため、新普通免許での運転が可能であったが、2021年(令和3年)7月に行われた一部改良以降の1.25 t - 1.5 t積のディーゼル車は、新普通免許では運転不可となる。後述の通り、2021年(令和3年)7月以降は1 t積車の製造も日野自動車へ切り替わり、日野・デュトロにも同クラスが新たに設定された。

日野・デュトロには2022年(令和4年)に新普通免許に対応した車両総重量3.5 t未満のBEV、デュトロZ EVが登場したが、トヨタ側は従前からのガソリン車で対応できるため、BEVのOEM供給は行われていない[注釈 2]
前史(1956年 - 1959年)
RK52型

1956年(昭和31年)5月、R型ガソリンエンジンを搭載した1 - 1.5トン積のピックアップトラックである、トヨペット・トラックRK23型(後のスタウト)のシャシを利用し、より荷台の長さを稼ぐことができるセミキャブオーバー型とした「トヨペット・ルートトラックRK52型」を発表。これがダイナのルーツとなる[2]
RK6# - 8#系

1957年(昭和32年)1月、モデルチェンジでRK62型となる。この新しいルートトラックは、曲面一枚ガラスのフロントウインドシールドを持った新しいデザインのキャブをまとい、さらにR型エンジンを48 HPから55 HPへパワーアップし、ライバル達の攻勢に対抗した。簡素で実用一点張りのトヨエースに較べ、バタ臭く高級感あふれるスタイリング関東自動車工業(関東自工、現トヨタ自動車東日本)の協力によるもので、生産も関東自工が担当した。

1958年(昭和33年)4月、2トン積みのRK70型を発表。R型エンジンは55 HPから58 HPとなり、4速マニュアルトランスミッションも2 - 4速がシンクロメッシュとなった。

同年7月、法改正により小型車規格が変わったことにより、ホイールベースを2,530 mmから小型車の上限である2,750 mmとした長尺のRK75型を発表した。

1959年(昭和34年)4月、国産車では初となる「ティルティング・キャブ(チルトキャブ)」を採用したRK85型を発表[3]、さらに変速レバーをフロアからコラムシフトに変更し、3人乗りを実現した。
初代(1959年 - 1963年)

K7# - 16#系
RK70など

1959年(昭和34年)5月、ユーザーのなかで、ボンネット型とセミキャブオーバー型の二つのトヨペット・トラックの区別が分かりづらいとの声が増えてきた。そのため、トヨタ自動車工業、トヨタ自動車販売トヨペット・トラック販売店の社員による愛称募集が行われ、応募総数3,013通の中から、ボンネット型は「強い、頑丈な、勇敢な」などの意味の英語から「スタウト」、セミキャブオーバー型は「力強い、動的な」などの意味を持つ「ダイナミック」から「ダイナ」と名付けられた。双方ともモデル途中での改名である。
2代目(1963年 - 1968年)

K170系
RK170
JK170など

1963年3月モデルチェンジ。同時に「ライトバス」RK170Bも登場する。

このクラス初となる4灯式ヘッドライトを採用、スタウトと共用だったフレームも架装性の高い専用のものに一新される。

1960年9月に登場した「いすゞ・エルフ」ディーゼルは爆発的なヒットとなり、ダイナは新車効果をもってしても販売台数2位を保つのがやっとの状況となっていた。それに一矢報いるため、直列4気筒OHV排気量2,336ccの過流室式ディーゼルエンジンJ型を搭載したJK170型を1964年3月に追加、同年9月には再び首位を奪い返すことに成功している。
3代目(1969年 - 1977年)3代目ダイナ 高床3代目ダイナ ダブルキャブ

U10系
RU10/12D/15
BU10/12D/15
JU10
HU15-H

1969年2月、ダイハツ工業との提携で当時もっとも成功した例となったU10系が登場する。以後、3回(1970年1972年1974年マイナーチェンジを繰り返している。

再びホイールベースを長くとったセミキャブオーバースタイルとなり、またダイハツ・デルタトラックとの共通化が図られるが、デルタではダイハツ製エンジン搭載車が中心となった。ダイナのテーマカラーとして現在まで続く、ターコイズが初めて設定された(画像1点目)。

姉妹各車のテーマカラーは、トヨエースが青、ダイハツ・デルタがオリーブ色ウグイス色)である[注釈 3]

ライバル車のディーゼルエンジンモデルの充実の前に、ドライバビリティー(運転性)や信頼性にやや難のあったJ型に代わり、ダイハツが設計の一部と生産を担当したB型をメインに据えたディーゼルモデル中心のラインナップとなった。このB型エンジンはディーゼルならではの経済性や低回転域の粘りに加え、高回転まで澱みなく吹け上がる性格で、トラックのディーゼルエンジンに付き物の鈍重なイメージを払拭した。B系列は最終的に4.1 Lにまで拡大され、直噴ターボ4バルブLPG仕様1996年 - 2002年)などのバリエーションを増やし、30年以上にわたりトヨタの商用エンジンの屋台骨を支え続けた。

トヨタ、ダイハツ共に、より排気量の大きな自動車直列4気筒ディーゼルエンジンの生産が行われていなかったため[注釈 4]、3トン積みなどの重量車には直列6気筒、OHV、3.6 Lの過流室式H型ディーゼルエンジンを搭載した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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