トヤマエビ
分類
トヤマエビ Pandalus hypsinotus はタラバエビ科に分類されるエビの一種である。
日本海の全域からベーリング海にかけて生息する、寒海深海性のもので、水深100mー200m程度のところに棲む。水深350mまでとしている書物もある。富山湾で最初に漁獲されたことから「トヤマエビ」と名付けられ[2]、漁獲高も多い。
標準和名としては「トヤマエビ」で、標準和名「ボタンエビ」のPandalus nipponensis とは別だが、一般にはボタンエビとも呼ばれることがある。ほか、「タラバエビ」、「キジエビ」と呼ぶ所もある。 体長は17cmほどで、大きい物では25cm以上になるものもある。額角は前部が上にそり、頭胸甲長の1.5倍ある。武田正倫の記述によれば、生きている時は淡紅色で、頭胸甲側面には不規則な斑紋、腹側に赤褐色の横じまがある。ボタンエビにはこの横じまがなく、また頭胸甲の背の部分の曲線は、トヤマエビが急であるのに比べ、ボタンエビは緩やかである[3]。 2年目は体長10cm程度でオスとして成熟するが、他のタラバエビ科のエビと同様に性転換する。 4歳頃までは雄で、4歳半で性転換をして雌に変わり、5歳で1回目の産卵をする。1年間抱卵を続けた後、卵を孵化させて幼生を放つ。その後1年は抱卵せず、満7歳で2回目の産卵をし、1年間の抱卵後、孵化させ、8歳で寿命が尽きる。[4] 10月から翌年5月まで、底引き網、えびかご網 旬は冬季[4]。 2017年11月7日にトランプ米大統領を招いて韓国大統領府が開いた晩餐会で、韓国大統領府はメニューの一つに「独島周辺で漁獲されたとする“独島エビ”」なるものを出したが、富山関係者の間から「“独島エビ”は、明確にトヤマエビであり、竹島周辺では漁獲されず非正規ルートで韓国が入手したもの」だとする抗議の声が上がっている[5]。その後、韓国政府は日本の見解を把握した米国に配慮し、独島の文字は削除に追い込まれた[6]。 韓国国内では、「独島海域で採れた海老は“独島エビ”」としている[7]。 [4] [脚注の使い方]
特徴
捕獲
「独島エビ」問題
地方名
オオエビ(北海道後志・檜山、石川県金石、福井県越前)
ガスエビ(富山県新湊)
キズエビ(富山県滑川)
コエビ(青森県深浦、大型抱卵個体)
サルエビ(石川県宇出津)
シマエビ(山形県)
シロエビ(北海道・兵庫県香住[8])
タラバエビ(山形県・石川県西岸)
モサエビ(鳥取)
トラエビ(北海道)
ボタン・ボタンエビ(北海道後志・檜山・小樽、青森県鯵ヶ沢・小泊、秋田県、山形県、石川県金沢、福井県、京都府)
マタエビ(石川県西海)
脚注
^ “ ⇒Pandalus hypsinotus Brandt, 1851 トヤマエビ”. 2015年2月2日閲覧。
^ “『独島エビ』に富山県関係者が怒り「間違いなくトヤマエビだ」 韓国近海では獲れず非正規ルートで漁獲か
^ 武田正倫著 『原色甲殻類検索図鑑』 北隆館、1982年。
^ a b c 本尾洋 『日本海の幸 ?エビとカニ?』 あしがら印刷出版部、1999年、27頁。
^ “『独島エビ』に富山県関係者が怒り「間違いなくトヤマエビだ」 韓国近海では獲れず非正規ルートで漁獲か
^ “「独島エビ」日本抗議で米指摘、韓国「独島」削除 トランプ氏、元慰安婦と知らず抱擁
^ “ ⇒[??]???? ??? ??? ?? 1? ? ??? ??? ????・・・"[??: ????][??]?? ??? ?? ????? ??? ?? ??? ?? ??・・・"”. ????. 2017年11月8日閲覧。
^ 香住町水産加工協同組合、柴山港水産加工協同組合 『香住のさかな』2002年
参考文献
阿部・末広 『ビジュアル版日本さかなづくし』(講談社・1985年)
『日本大百科全書』(小学館・1985年)
外部リンク
⇒「富山湾を科学する」富山県水産試験場からの報告 NO.5
更新日時:2022年7月30日(土)08:33
取得日時:2022/08/13 13:48