その他の名称については「トムとジェリー (曖昧さ回避)」をご覧ください。
トムとジェリー
Tom & Jerry
ロゴ(1985年)
創作者ウィリアム・ハンナ
ジョセフ・バーベラ
初作品上には上がある
所有者ターナー・エンターテインメント
『トムとジェリー』(英語: Tom and Jerry)は、1940年にウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラによって創作された、アメリカ合衆国のアニメーションシリーズ。
ネコのトムとネズミのジェリーが巻き起こすドタバタ劇を描いたカートゥーン、ギャグアニメである。映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)が発表した短編アニメーション映画のシリーズを皮切りに、これまでに166本の短編作品、2本の長編映画、8作のテレビシリーズ、18本のOVAが製作されている(2023年現在)。
略称は「トムジェリ」(ワーナー・ブラザースウェブサイトより)、「TJ」など。
概要 トムとジェリーをあしらったアルバニア共和国の郵便切手
体が大きく短気だが、お調子者でおっちょこちょいでどこか憎めない部分のあるネコ・トムと、体は小さいが狡賢く、追い掛けてくるトムをこともなげにかわすネズミ・ジェリーの戦いを、ドタバタ劇としてナンセンスとユーモアたっぷりに描いている。
1940年の『上には上がある』以降、作者のウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラによって1958年までに114本の短編アニメ映画が公開された。この作品群が成功を収め、頻繁にテレビ放送されるなど根強い人気を持つシリーズとなったことで、1961年から現在まで新作が作られるロングラン作品となった。
アカデミー短編アニメ賞を7回受賞し、これまでに最も受賞したシリーズ作品である[1]。その回数はディズニー作品以上である。
トムとジェリーは会話をすることがほとんどなく、笑いや叫びなど言葉にならない声やジェスチャー、他の登場キャラクターの会話などで物語は進行する(一部の例外作を除く)。
トムとジェリーをはじめとした人間以外のキャラクターによる、現実では大怪我や死に値する過度な暴力(殴打、毒や爆発物の使用、斬首、指詰め、感電、転落、火傷、凍傷、他多数)をコメディに変えるという作風であるが、流血描写は描かれていない。
日本では、1964年にTBS系列でテレビ放送されて以来、幾度も繰り返し再放送されている。また、ソフト販売や様々なメディア展開が行われアメリカ文化の象徴とも評されるなど、現在に至るまで幅広い年齢層から愛され続けている[2][3]。
登場キャラクター
主人公
トム(Tom Cat)
品種不明のイエネコでブルーグレーの鉢割れである。フルネームは“Thomas Cat”(トーマス・キャット)だが、ほとんどの作品でTom Cat(トム・キャット[注釈 1])と表記。ジェリーを捕まえることに情熱を注ぎ日々奮闘するが、負けることの方が断然多い。おっちょこちょいでどこか憎めない一面もあり、時にはジェリーと協力する事もある。ミルクが好物の他、惚れっぽく美女にも弱い。詳細は「トム (トムとジェリー)」を参照
ジェリー(Jerry Mouse)
イエネズミ。フルネームは“Jerome A. Mouse”(ジェロム・A・マウス)。体は小さいが頭脳明晰で、トムとの喧嘩でも高い勝率を誇る。トムを散々な目に遭わせるが時には協力する事もある。チーズといたずらが大好きで、トムのいる付近に住居を作り棲み着いていることが多い。詳細は「ジェリー (トムとジェリー)」を参照
脇役(メイン)
タフィー/ニブルス(Tuffy/Nibbles)
ジェリーの従兄弟・甥っ子、または孤児として登場する灰色の幼いネズミ。おむつを着用している。近年は「タフィー」という名前で登場する機会が多いが、媒体によっては「ニブルス」の場合もある。マイペースで怖いもの知らず。突飛な行動でトムはおろか保護者役のジェリーをも振り回す。幼くしてジェリー顔負けの大食いで剣術の扱いにも長ける。詳細は「タフィー (トムとジェリー)」を参照
スパイク(ブルおじさん)(Spike Bulldog)
灰色の毛皮をもつ雄のブルドッグ。トムのいる家で飼われる番犬としての登場が多く、トムとジェリーの喧嘩によく巻き込まれ騒動になる。作品によっては「キラー」や「ブッチ[注釈 2]」という名前で登場することもあった。トムが恐れている存在で、様々な事情からトムをよく目の仇にする。ジェリーとは友好関係にある場合が多が、そのジェリーによって散々な目に遭うこともある。ごくまれにトムと共同戦線を張ることがある。初登場の『共同作戦』ではトムはおろか、ジェリーにも吠え付く凶暴さだったが、登場回数を重ねていく毎に性格が丸くなっていった。途中で子供のタイクを授かっており、父親としての優しい一面が描かれることもある。ただし、彼の妻が登場したことは無い。猛犬らしく腕っ節は強い。実力からして向かうところ敵なしのようで、唯一完敗したのは「アリの群れ」であった。トムに棒切れなどを投げられると、飼い犬としての習性に逆らえず無条件で取りに行ってしまうこともある。骨が大好物。詳細は「スパイクとタイク (キャラクター)」を参照
タイク(Tyke Bulldog)
スパイクの息子。『ここまでおいで』で初登場した。スパイクは「自慢の息子」と称するなど溺愛している。タイクに危害を加えるトムがスパイクにとって怒りの発端となるケースが多く、一方でトムをスパイクに制裁させようと工作するジェリーにとっても好都合の「武器」として扱われることが多い。体は小さく、か弱さと甘えん坊な性格が残るが、いざという時は父譲りの強力な噛みつきでトムをやり込める。後にスパイクとタイクは「スパイクとタイク」というスピンオフ作品で主役を務めた。詳細は「スパイクとタイク (キャラクター)」を参照
ブッチ・キャット(Butch Cat)
黒(時に赤毛)の野良ネコ。普段は路地裏などで生ゴミを漁りながら貧しくも呑気に暮らしている。悪友のトムとはメス猫を巡って争う恋敵同士でもあるが、一緒に遊ぶこともある。自信家で喧嘩も強くテニスが得意。詳細は「ブッチ (トムとジェリー)」を参照
お手伝いさん(Mammy Two Shoes)
“メード”表記もある[注釈 3]。トムの飼い主として登場する大柄で気の強い黒人の女性。足や手しか登場せず、顔は見せない[注釈 4]。ペチコートを何十枚も履いている。トムとジェリーの追い掛けっこに巻き込まれては散々な目にあっているほか、ネズミが大嫌いで時々ジェリーにからかわれている。イタズラしたトム(ジェリーによる濡れ衣を含む)には容赦がなく、腕力や体力はかなり強い。トムをぞんざいに扱う事が多いが、トムが良い行いをしたり自分を助けてくれた時には素直に感謝する。お手伝いさんという呼称ではあるが、家でパーティーの準備をしたり『トラになったトム』では自分の寝室を持っているなど、家主のように登場することもある。第1作『上には上がある』から頻繁に登場していたが、全米黒人地位向上協会による「ステレオタイプな黒人描写」との批判から、1952年公開の『人造ネコ』を最後に登場しなくなった[4]。