トバ湖
ランドサットによる画像
トバ湖の位置
所在地 インドネシア 北スマトラ州
位置北緯2度41分04秒 東経98度52分32秒 / 北緯2.6845度 東経98.8756度 / 2.6845; 98.8756
トバ湖(トバこ、インドネシア語: Danau Toba)は、インドネシアのスマトラ島北部にある世界最大のカルデラ湖である。長さ100km、幅は約30km、最大水深530mで、面積は1,000km2に及ぶ。湖中にあるサモシール島は湖面からの比高が450mある火山性のドーム(再生ドーム)である[1]。 トバ湖のすぐ南西側を湖に並行してスマトラ断層が走っているが、この断層は右記のランドサットの画像でも確認できる。湖の西側に、二つの緑の丘に挟まれて斜めに一直線に走る谷間がスマトラ断層である。この地域は活断層地帯であるとともに、日本の東北や北海道と同様な「プレートの沈み込みに起因する火山地帯」でもある。スマトラ断層はトバ湖周辺で南側が膨れた形で湾曲しているが、この湾曲部に複数の横ずれ断層が並行するプルアパート部が存在すると推定されている。プルアパート部は並行する断層間に巨大な空間を作ることができ、ここに非常に大量のマグマを安定して(頻繁に噴火することなく)蓄積することができる。トバ湖はこの特殊な構造により、噴火間隔は長いが一旦噴火すると他のカルデラ火山に比べて大規模な噴火を起こす火山であると考えられている[2]。 トバカルデラは、過去非常に長い間の休止期間をはさんで3回の超巨大噴火(破局噴火)によって形成されたと考えられている。まず84万年前にカルデラ南東部から噴火が起きた。これは日本最大だった阿蘇山の9万年前の噴火を超えるマグマ噴出量が500km3に達する噴火だった。次に50万年前にカルデラ北西部で噴火、マグマ噴出量は60km3であった。最新の噴火が74,000年前に起き、マグマ噴出量2,800 DRE km3に達する超巨大噴火となった[3]。
目次
1 地質
1.1 3度のトバカルデラの噴火
2 民族
3 写真
4 脚注
5 関連項目
地質
3度のトバカルデラの噴火
大量のマグマが噴出した結果地盤が沈下し、トバ湖を形成するカルデラができた。その後、他の多くの大型カルデラと同様にマグマの上昇があり、サモシール島(トバ湖内で最大の島)ができた。トバ湖は世界最大のカルデラ湖である[7]。
現在のトバ湖は上記3つの噴火に基づくカルデラから形成されている。 トバカルデラの地形図
スペースシャトル標高データ使用。
1949年に、オランダの地球科学者レイナウト・ファン・ベンメレンは、トバ湖が火砕流堆積物の層によって囲まれたカルデラだと報告した。後の調査により、噴火による火砕流は周囲2万平方kmを覆い、中国南部で数cm、インド大陸でも15cmの厚さの火山灰層が報告されている[8]。また、海洋学者によって、東インド洋やベンガル湾でトバ湖にあるものと同じ火山灰が検出された。
この噴火と同時期に、ヒトDNAの多様性が著しく減少する「ボトルネック(遺伝子多様性減少)」が見られることから、この噴火で当時の人類の大半が死滅したという説もある(トバ・カタストロフ理論)。
この噴火の後、トバカルデラでは歴史に残るような大きな噴火はないが、何度か大きな地震が起こっている。1987年には南岸で地震が起こっている。また、スマトラ西沖に断層があり、何度か大きな地震を引き起こしている。その中には2004年のスマトラ島沖地震や2005年のスマトラ島西沖地震も含まれている。特に後者は震源地がトバ湖から320kmと近い位置で起きていた。 トバ湖の周りにはバタック人(Batak)が生活している。
民族