トゲウオ目
[Wikipedia|▼Menu]

トゲウオ目
リーフィーシードラゴン(Phycodurus eques)
分類

:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:条鰭綱 Actinopterygii
亜綱:新鰭亜綱 Neopterygii
上目:棘鰭上目 Acanthopterygii
:トゲウオ目 Gasterosteiformes

下位分類
本文参照

トゲウオ目(学名:Gasterosteiformes)は、硬骨魚類の分類群の一つ。2亜目11科71属で構成され、イトヨなど278種が所属する。タツノオトシゴヘコアユなど、一般的な魚類とはかけ離れた、独特な体型をもつ種類が多く含まれる。
概要

トゲウオ目の魚類は多くが海水魚であるが、淡水産種が21種、汽水域に進出する仲間も42種含まれている。本目魚類の8割以上はヨウジウオ科に属し、熱帯から温帯域にかけての浅い海を中心に分布する一方、クダヤガラ科など北極海周辺の寒冷な海に住む仲間もいる。トゲウオ科の魚は主に北半球の淡水域に生息し、イトヨなど河川海洋を往復する回遊性の魚類も知られている。体長20cm未満の小型種が多く、食用として漁獲対象になることはほとんどない。魚らしからぬ特異な形態や多様な色彩により、観賞魚として人気のある種類が多い。

本目の仲間は一般に口が小さく、ヨウジウオ亜目ではほとんど筒状に突き出した長いの先端に位置している。明瞭なをもたない種類が多く、体はしばしば厚い骨板に覆われる。この骨板はが変形したものとみられ、鱗板あるいは甲板とも呼ばれる。トゲウオ亜目とヨウジウオ亜目では形態の差異が大きく、それぞれ別の目として扱われることもある。両者に共通する骨格上の特徴として、眼窩蝶形骨・基蝶形骨を欠くこと、後擬鎖骨が退化傾向にあることが挙げられる。

トゲウオ目の魚類は、その繁殖行動に際立った特徴をもつ。ほとんどの種類では雄による子育ての習性が発達しており、腎臓で産生される特殊な分泌物を用いて巣作りを行うもの、タツノオトシゴやヨウジウオのように育児嚢を有し、雄が仔魚を「産出」するものまでさまざまな繁殖形態が知られる。

上記のような多様な繁殖様式は、動物行動学生理学分野の研究対象として古くから注目を集めてきた。オランダの動物行動学者であるニコ・ティンバーゲンは、トゲウオ科に属するイトヨ(Gasterosteus aculeatus)の本能行動を詳細に解き明かした業績が評価され、1973年ノーベル生理学・医学賞を受賞している。
分類

トゲウオ目はトゲウオ亜目とヨウジウオ亜目の2亜目に大きく分けられ、11科71属278種で構成される[1]。かつてヨウジウオ亜目に所属していたインドストムス科は、トゲウオ亜目に移されている。亜目間での形態学および生態学上の違いが大きく、それぞれを別のとして独立させ、ヨウジウオ目(Syngnathiformes)を新たに設置する分類もある。
トゲウオ亜目

トゲウオ亜目 Gasterosteoidei は4科9属14種で構成される。インドストムス科以外の仲間は、上顎を前に突き出すことができる。雄は腎臓から接着剤のような物質を分泌し、巣作りに利用する。後擬鎖骨を欠き、鼻骨頭頂骨を有する。椎骨は伸長しない。
シワイカナゴ科

シワイカナゴ科 Hypoptychidae は1属1種で、シワイカナゴ Hypoptychus dybowskii のみを含む。オホーツク海から日本・朝鮮半島近海にかけて分布し、最大体長は8.5cm。雌が海藻に産み付けた卵を、雄が保護する習性がある。

体は細長く、鱗や骨板をもたない。には棘条がなく、背鰭と臀鰭は体の後方に位置する。腹鰭と、腹鰭を支える骨格を欠く。雄は前上顎骨に歯をもつが、雌にはない。下尾骨は上部と下部に分かれており、トゲウオ亜目の中では本科と、トゲウオ科イトヨ属のみにみられる特徴となっている。

シワイカナゴ属 Hypoptychus

クダヤガラ科チューブスナウト Aulorhynchus flavidus (クダヤガラ科)。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:25 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef