トゲウオ目
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トゲウオ目
リーフィーシードラゴン(Phycodurus eques)
分類

:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:条鰭綱 Actinopterygii
亜綱:新鰭亜綱 Neopterygii
上目:棘鰭上目 Acanthopterygii
:トゲウオ目 Gasterosteiformes

下位分類
本文参照

トゲウオ目(学名:Gasterosteiformes)は、硬骨魚類の分類群の一つ。2亜目11科71属で構成され、イトヨなど278種が所属する。タツノオトシゴヘコアユなど、一般的な魚類とはかけ離れた、独特な体型をもつ種類が多く含まれる。
目次

1 概要

2 分類

2.1 トゲウオ亜目

2.1.1 シワイカナゴ科

2.1.2 クダヤガラ科

2.1.3 トゲウオ科

2.1.4 インドストムス科


2.2 ヨウジウオ亜目

2.2.1 ウミテング上科

2.2.1.1 ウミテング科


2.2.2 ヨウジウオ上科

2.2.2.1 カミソリウオ科

2.2.2.2 ヨウジウオ科


2.2.3 ヘラヤガラ上科

2.2.3.1 ヘラヤガラ科

2.2.3.2 ヤガラ科


2.2.4 ヘコアユ上科

2.2.4.1 サギフエ科

2.2.4.2 ヘコアユ科




3 出典・脚注

4 関連項目

5 参考文献

6 外部リンク

概要

トゲウオ目の魚類は多くが海水魚であるが、淡水産種が21種、汽水域に進出する仲間も42種含まれている。本目魚類の8割以上はヨウジウオ科に属し、熱帯から温帯域にかけての浅い海を中心に分布する一方、クダヤガラ科など北極海周辺の寒冷な海に住む仲間もいる。トゲウオ科の魚は主に北半球の淡水域に生息し、イトヨなど河川海洋を往復する回遊性の魚類も知られている。体長20cm未満の小型種が多く、食用として漁獲対象になることはほとんどない。魚らしからぬ特異な形態や多様な色彩により、観賞魚として人気のある種類が多い。

本目の仲間は一般に口が小さく、ヨウジウオ亜目ではほとんど筒状に突き出した長いの先端に位置している。明瞭なをもたない種類が多く、体はしばしば厚い骨板に覆われる。この骨板はが変形したものとみられ、鱗板あるいは甲板とも呼ばれる。トゲウオ亜目とヨウジウオ亜目では形態の差異が大きく、それぞれ別の目として扱われることもある。両者に共通する骨格上の特徴として、眼窩蝶形骨・基蝶形骨を欠くこと、後擬鎖骨が退化傾向にあることが挙げられる。

トゲウオ目の魚類は、その繁殖行動に際立った特徴をもつ。ほとんどの種類では雄による子育ての習性が発達しており、腎臓で産生される特殊な分泌物を用いて巣作りを行うもの、タツノオトシゴやヨウジウオのように育児嚢を有し、雄が仔魚を「産出」するものまでさまざまな繁殖形態が知られる。

上記のような多様な繁殖様式は、動物行動学生理学分野の研究対象として古くから注目を集めてきた。オランダの動物行動学者であるニコ・ティンバーゲンは、トゲウオ科に属するイトヨ(Gasterosteus aculeatus)の本能行動を詳細に解き明かした業績が評価され、1973年ノーベル生理学・医学賞を受賞している。
分類

トゲウオ目はトゲウオ亜目とヨウジウオ亜目の2亜目に大きく分けられ、11科71属278種で構成される[1]。かつてヨウジウオ亜目に所属していたインドストムス科は、トゲウオ亜目に移されている。亜目間での形態学および生態学上の違いが大きく、それぞれを別のとして独立させ、ヨウジウオ目(Syngnathiformes)を新たに設置する分類もある。
トゲウオ亜目

トゲウオ亜目 Gasterosteoidei は4科9属14種で構成される。インドストムス科以外の仲間は、上顎を前に突き出すことができる。雄は腎臓から接着剤のような物質を分泌し、巣作りに利用する。後擬鎖骨を欠き、鼻骨頭頂骨を有する。椎骨は伸長しない。
シワイカナゴ科

シワイカナゴ科 Hypoptychidae は1属1種で、シワイカナゴ Hypoptychus dybowskii のみを含む。オホーツク海から日本・朝鮮半島近海にかけて分布し、最大体長は8.5cm。雌が海藻に産み付けた卵を、雄が保護する習性がある。

体は細長く、鱗や骨板をもたない。には棘条がなく、背鰭と臀鰭は体の後方に位置する。腹鰭と、腹鰭を支える骨格を欠く。雄は前上顎骨に歯をもつが、雌にはない。下尾骨は上部と下部に分かれており、トゲウオ亜目の中では本科と、トゲウオ科イトヨ属のみにみられる特徴となっている。

シワイカナゴ属 Hypoptychus

クダヤガラ科 チューブスナウト Aulorhynchus flavidus (クダヤガラ科)。アラスカからカリフォルニアにかけての沿岸域に分布する イトヨ Gasterosteus aculeatus (トゲウオ科)。降海回遊をするもの、一生を淡水域で過ごすものなど生態が多様で、複数種が混同されている可能性がある イバラトミヨ Pungitius pungitius (トゲウオ科)。イトヨと同様に、真の単一種か否か検討が必要とされている

クダヤガラ科 Aulorhynchidae は2属2種からなり、いずれも北部太平洋の沿岸域に生息する。日本近海にはクダヤガラ Aulichthys japonicus が分布するが、利用されることはほとんどない。本種はホヤの体内に産卵する習性がある。

体は棒状に細長く、側線に沿って鱗板が配列する。背鰭は24-26本の独立した短い棘条が並ぶ前半部と、約10本の軟条による後半部からなる。腹鰭は1棘4軟条、尾鰭の鰭条は13本。

クダヤガラ属 Aulichthys

Aulorhynchus 属

トゲウオ科

トゲウオ科 Gasterosteidae は5属8種を含み、トミヨイトヨハリヨなどが所属する。日本を含む北半球に分布し、北極海周辺に生息する種類もある。すべての種が雄による子育てを行う。本科魚類は進化学遺伝学・動物行動学・生理学などの研究対象として、古くから利用された歴史をもつ。

本科には少なくとも8種が所属するが、イトヨやイバラトミヨはそれぞれ単一の種としては説明し難い多様な生活史をもっており、複数種が混同されている可能性が指摘されている[1]

体はやや細長く、明瞭な鱗をもたない。一部の種類では側線に沿って鱗板が並ぶ。背鰭の前半部は3-16本の比較的長い棘条が独立して並び、後半部は6-14本の軟条からなる。腹鰭は1棘1-2軟条、尾鰭の鰭条は12本。

イトヨ属 Gasterosteus

トミヨ属 Pungitius

他3属(Apeltes、Culaea、Spinachia)

インドストムス科

インドストムス科 Indostomidae は1属3種からなり、いずれも東南アジアに住む淡水魚である。本科は1929年ミャンマーのインドージ湖(Indawgyi Lake)から初めて記載された、最大3.3cmの小型魚類である。


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