トゥガーリン・ズメエヴィチ
[Wikipedia|▼Menu]

トゥガーリン・ズメエヴィチ(トゥガーリン・ズメーエヴィチ[1]、トゥガーリン・ズメエーウィチ[2]とも。: Tugarin Zmeyevich、: Тугарин Змеевич)は、古くからロシアで口承で伝えられてきた物語、ブィリーナに登場する悪役の名前である。ズメエヴィチ (Zmeyevich) の名の通り「の子」または「の子」という意味が含まれている[注釈 1]竜人として表現する場合もある。

その正体(モデル)はトゥゴルカンという実在のハーンだと考えられている[3]ソ連ロシア)の歴史学者ボリス・ルイバコフ(英語版)によれば、このブィリーナには、ポローヴェツ族(クマン人)の族長(ハーン)、トゥゴルカンに対するウラジーミル2世モノマフの勝利が反映されているという[4]
目次

1 『アリョーシャと怪物トゥガーリン』

2 怪物としてのトゥガーリン・ズメエヴィチ伝説

3 脚注

3.1 注釈

3.2 出典


4 参考文献

5 資料

6 関連項目

『アリョーシャと怪物トゥガーリン』 ブィリーナの節回し

トゥガーリン・ズメエヴィチは、「ブィリーナ」や民話では勇者アリョーシャ・ポポーヴィチ(英語版)に退治される。

故郷を出たアリョーシャ・ポポーヴィチは、ウラジーミル公のいるキエフに向かう途中、旅の巡礼に出会う。そして怪物のような姿の「大蛇の子トゥガーリン」の事を巡礼から聞き、成敗を思い立つ。アリョーシャが巡礼の姿でトゥガーリンの前に現れると、トゥガーリンは彼の正体に気付かず、アリョーシャを殺したいので居場所を知らないかと尋ねる。アリョーシャはトゥガーリンの頭を砕いて殺害し、素晴らしい色で染められた彼の着衣と駿馬とを奪い、再びキエフへ向かう[5][6]

別のヴァリアントでは、司祭の家に生まれすくすくと成長したアリョーシャ・ポポーヴィチ(ポポーウィチ)は、親の許しを得てキエフへ向かう。宮殿に着いたアリョーシャは、人間で乱暴者のトゥガーリン・ズメエヴィチが宮殿内で好き放題に振る舞いながらも、ウラジーミル公をはじめ誰一人彼に逆らえない様子を目の当たりにし、成敗を思い立つ[7][8]。アリョーシャが勝負を申し込むと、トゥガーリン・ズメエヴィチは応じ、一騎討ちとなったが、アリョーシャがトゥガーリンの首を刎ねて勝利した[9]。あるいは、決闘によって宮殿内が穢れるのを嫌ったアリョーシャは、トゥガーリン・ズメーエヴィチをいったん荒野に追いやる。翌日の戦いでは、翼のある馬に乗って空を飛び回るトゥガーリンに対し、アリョーシャは雲を呼び雨を吹きつけて彼を地上に落とした。そしてトゥガーリンの首を刎ねるとそれを高々と掲げつつ、ウラジーミル公の元へ戻った[10]

この話はロシアでは有名で『アリョーシャ・ポポーヴィチと蛇のトゥガーリン』というアニメにもなっている[注釈 2]
怪物としてのトゥガーリン・ズメエヴィチ伝説

この節は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2015年5月)

怪物としてのトゥガーリン・ズメエヴィチは竜人として表現される。その姿は黒の鱗を纏い、紙の翼を持ち、空を飛び、火を噴く竜人だという。
脚注
注釈

[ヘルプ]
^ロシア英雄叙事詩 ブィリーナ』pp. 180-189.(「アリョーシャとトゥガーリン」)および『ロシア英雄物語』pp. 116-126(「アリョーシャと怪物トゥガーリン」)では大蛇の子トゥガーリンと呼ばれている。
^ 2004年作品。詳細はロシア語版記事「Алёша Попович и Тугарин Змей」を参照。

出典^ロシアの民話 1』(「アリョーシャ・ポポーヴィチ」)で確認した表記。
^ロシアの神話伝説』(「アリョーシャ・ポポーウィチ」)で確認した表記。
^ロシア英雄物語』p. 264.(作品解説「アリョーシャと怪物トゥガーリン」)
^ (ロシア語) B. A. Rybakov. The World of History. First Centuries of Russian History. Moscow, 1987. p. 196.
^ロシア英雄物語』pp. 116-126.
^ロシア英雄叙事詩 ブィリーナ』pp. 180-189.
^ロシアの神話伝説』pp. 55-59.
^ロシアの民話 1』pp. 27-29.
^ロシアの神話伝説』pp. 59-61.
^ロシアの民話 1』pp. 29-32.

参考文献

「アリョーシャ・ポポーヴィチ」『ロシアの民話』1、ガツァーク, ヴィクトル編、渡辺節子訳、恒文社、1980年7月、27-32頁。全国書誌番号:81016048。NCID BN00951970。

「アリョーシャ・ポポーウィチ」『ロシアの神話伝説』 昇曙夢編、名著普及会〈世界神話伝説大系 32〉、1980年9月、改訂版、55-72頁。ISBN 4895512827


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:16 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef