トイレット博士
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トイレット博士
ジャンル
ギャグ漫画
漫画
作者とりいかずよし
出版社集英社
掲載誌週刊少年ジャンプ
レーベルジャンプ・コミックス
発表期間1969年 - 1977年
巻数全30巻
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『トイレット博士』(トイレットはかせ)は、とりいかずよしにより1969年に読み切り版を1970年から1977年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)誌上に連載されたギャグ漫画作品。
概要

『少年ジャンプ』の創刊2年目から開始された連載は7年間に及び、同誌を数100万部雑誌にのし上げた立て役者にもなった、大ヒット作品である。とりいかずよしの出世作であり代表作の一つ。「ジャンプ・コミックス」単行本全30巻は、当時としては記録的な長寿連載であり、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(1984年6月に31巻発売。その後2016年10月に全200巻で完結)に抜かれるまで『ジャンプ』史上最長で、累計発行部数も1000万部を記録している[1]。その一方で、過激な表現・暴力表現で物議を醸し、社会現象にもなった。

後発誌であった『少年ジャンプ』は赤塚不二夫を週刊連載という形で起用できず[2]フジオプロアシスタント達との交代掲載という形で起用。そのうちの1作がとりいかずよしの「トイレット博士」であり、たちまち人気を得て毎週連載に昇格した。とりい自身もフジオプロからの独立も果たした。テレビアニメ化の話があったものの、タイトルをゴールデンタイムにふさわしいものに変更するよう要請されたため、話がまとまらなかったという[3]

『少年ジャンプ』のモットーである友情・努力・勝利が初めて作品中で提示された作品と言われる[4]

連載終了後 、1979年に『ヤングジャンプ』創刊号から続編が描かれた。「一丁目のスナミちゃん」である。団員たちが高校生という設定であり、スナミ先生は奥さんに逃げられた状態で登場する。連載は短期間であった。1981年に集英社漫画文庫で単行本化された。

1996年には「ジャンプ コミックス セレクション」傑作集上下巻が発売になり、公式サイトも開設されメタクソバッジの復刻が行われた。ファンクラブのメンバーにだけ郵送された二作品の復活作品が存在している。この復活ファンクラブも現在は休止中。

1997年には本作のCD?ROM EXTRAがIMMEより発売、同年11月19日には、本作のイメージソングとしてシングルCD「うーん恋した時から…」(歌:うんこちゃん)が発売された。

1999年には太田出版から愛蔵版が発売。全作を収録予定だったが、三冊を刊行したところで発売が止まってしまった。しかし復刊ドットコムにより続刊が発行され、現在では全巻を読むことが出来る。トイレット博士では現在では差別的と判断される語句や表現が存在し、旧作を復刻する際にはそのような話を未収録にするか言葉を変更して掲載することが多いが、愛蔵版では表現を変更せずに掲載しているのが特徴である。

同じ『週刊少年ジャンプ』に載っていたギャグ作品とのジョイント企画もあり、元アシスタントでもある柳沢きみおの『女だらけ』や、当時ジャンプ誌上で人気を二分していた吉沢やすみの『ど根性ガエル』、またデビュー間もなく女性を装っていた車田正美の『スケ番あらし』との合体作品がある。
作品史

便宜上、内容にて大きく分けて3部構成になっている。
第1部
単行本1 - 5巻。初出は『週刊少年ジャンプ』1969年23号の「赤塚ギャグ笑待席」である。この連載は
赤塚不二夫がかなりの売れっ子であったため、『ジャンプ』編集部は週刊連載を依頼する事が出来ず、結局赤塚が一週おきに執筆して、穴埋め分は当時とりいが所属していたフジオプロ作家が持ち回りで掲載する形となったものである。とりいは古谷三敏長谷邦夫と交互に作品を発表。このとりいの持ち番に掲載されたのが本作であった。この連載が終了した後も、とりいは『ジャンプ』誌上で数回本作を読み切りの形で発表。月1回から月2 - 3回と発表頻度が増え、そのまま自動的に連載漫画となった。定期連載となってからは一度も休載していない。序盤の徹底したスカトロジー表現は、恩師・赤塚の「お前は顔が汚いからウンコ漫画を描け」という指示を受けてのものだったと、太田出版『愛蔵版トイレット博士』第1巻あとがき・解説に記されている。とりいは「赤塚先生はお金のタブーを破った。永井豪は性のタブーを破ったので、僕に残されたものはうんこのタブーだと考えた」とも語っている。主役は一応トイレット博士だが、タメやん、うんこちゃん、ダラビチ博士などの人気サブキャラクターが続々登場した。
第2部
単行本6 - 11巻。一郎太が登場し、主役に。うんこネタだけではアイデアが枯渇して苦しくなってしまい、方向転換で人情ギャグにした。しかし、この方向転換が逆にアンケートの結果を飛躍的に伸ばし、とりい自身の執筆も楽になったが、その一方で主人公トイレット博士の登場回数が無くなってしまった。この事は、『ジャンプ』連載漫画のひとつの特徴として語り草となり、連載後期の作中でも何度もネタにされている。とりいも「トイレット博士はあまりにも不運な主人公であった」と、単行本ならびに愛蔵版にてコメントしている。
第3部
単行本12巻 - 30巻。一郎太が中学に入学する。スナミ先生が次第に主役の座へ。13巻でスナミ先生が三日月をまじえてメタクソ団を結成し一郎太が加わる。単行本のサブタイトルの語尾が、これまで「ケツホース」による「ケツかる」から、「マタンキ鳥」による「マタンキ」にかわる。大半がメタクソ団を中心としたストーリーとなる。少年ジャンプのアンケートでも常に上位を保ち、表紙にもメタクソ団が何度も登場する。少年ジャンプの懸賞でマタンキバッチが景品として出される。8月の終戦記念日近くでは、スナミ先生やワイワイ校長の戦争中のエピソードが掲載される。この際はギャグは基本的に抑えられ、悲しい人間のドラマが描かれる。最終回が連載313回という当時の少年漫画での最高連載回数を誇り、一郎太、三日月、ピッピら中学生団員達の卒業により、メタクソ団の解散となる。スナミ先生は寂しさのあまり、二郎太、四日月、チンチン坊、ペッペという前の団員とそっくりのメンバーを探し、さらにワイワイ校長を加えた新メタクソ団を結成するとともに、一郎太たちと永遠の友情を誓い合ったところで連載が終了する。週刊少年ジャンプで「トイレット博士」がほとんど登場せず、実質題名のみとなった後は、『別冊少年ジャンプ』や『少年ジャンプ増刊号』の季刊誌にて、トイレット博士が登場する作品が掲載されていた。従ってこの時期のジャンプ・コミックス単行本には、『週刊少年ジャンプ』本誌に載っていた本編に季刊誌掲載分を挟んで収録されている。なお、一部のジャンプ・コミックス単行本では、週刊少年ジャンプ連載とは異なった順で収録されており、前後関係に違和感がみられる。
主な登場人物
第1部
トイレット博士
主人公。人糞を研究する科学者にして医師。頭の禿げた中年男性。研究は特殊だが性格は真面目。実際に主役となった回は数える程しかない。「ジャンプマルチワールド」では「目立たない主人公No1」とレッテルをはられ、初期はダラビチ博士やうんこちゃんに、後半はスナミ先生や一郎太達に出番を奪われ、全くと言っていいほど登場しなくなくなり、最終回にもトイレット博士は登場しない。チョイ役で出ても悲惨な目にあうことが多い。
トイレット博士の助手
名前は不明。口癖は「だど」や「もう」。仕事に対してやや遊び半分なところがあるが、助手としての役割は果たしている。意外と忍耐力があるらしく、ウンコの我慢大会では便器メーカーの社長令嬢と優勝を争った(この大会をきっかけに社長令嬢と結婚)。実際に登場していたのは初期のみ。
バキュームエンジェル・うんこちゃん
人糞を愛する謎の美少女。初期は吸クソ鬼という呼称もあった。途中から
食糞を控えるようにしだしたからか、徐々に出番が無くなっていった。
ダラビチ博士
初期の実質的な主役。本来は悪徳な科学者でありニセ医師。語尾は「?ダラ」。トイレット博士の幼馴染み。名前は「オサム」。トイレット博士をライバル視し、金と名声に異常な執着があり、次から次へと騒動を起こすトラブル&ギャグメーカー。ガン患者に「お金を寄付する」など、悪に徹しきれない人情家の部分や、母親思いの面もある。ニセ医者として逮捕されて以降、改心して騒動を起こしながらも人のために尽くそうとする。
ダラビチ博士の助手
名前は不明。小心者だがあくどい所がある。数日間も食事をしていない事がざらにある等、常にひもじい思いをしている様子。トイレット博士の助手と同様、出番は初期のみ。
タメやん
バキュームカーの運転手。人情に厚く、彼が主人公の回も多い。語尾は「やんけ」。使用しているバキュームカーのホースは生きており、ホース絡みの話も幾つか存在する。
第2部以降
スナミ(先生)
本名はスナミ・オサム。一郎太達が通う学校(大山小学校→大山第一中学校)の
教諭。後に教務主任になったと自慢するシーンがある。年齢は焼け跡世代で明確にはなっていない(「花子の下着」で太平洋戦争末期に国民学校の生徒だったこと、地元が空襲を受けた際に自分を爆撃から庇った同級生の花子を失ったと話す描写がある)。「?だっチ」と語尾に付けるのが口癖。メタクソ団を結成し、メンバーに同志の証である「メタクソバッジ」(大きさはメダル大で金属製。縦書きで「MK」の文字が入る)を配る。シャツの文字は「マ」。教師としてはあまりに下品かつ低俗な言動の為、一郎太を始め生徒から基本的に馬鹿にされているが、ここぞという時は男を見せる。もっともその行動もやはり下品である事が多い。名前と見た目のモデルは担当編集者・角南攻(名前の読みも同じ)で、作中に登場する妻子も実在の彼の家族をモデルにしている。大の中日ドラゴンズファン(作者であるとりい本人とモデルである角南の趣味を反映している)。後にサイボーグ教師になったりタコ型宇宙人になったりしたが、再び人間に戻り、メタクソ団を再結成する。最終回ではかつてのメタクソ団メンバーによく似た面子+校長を迎え新生メタクソ団を結成し、卒業する一郎太達を送りだした。
一郎太
第2部以降、事実上主役になる少年。メタクソ団メンバー。シャツの文字は「タ」。初登場時は『サダオ』という名前で出てきた。メタクソ団の実質的なNo.2。坊主頭に十円禿、たらこ唇が特徴。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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