デフレ手当
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この項目では、2009年(平成21年)の施策について説明しています。2020年(令和2年)の施策については「特別定額給付金」をご覧ください。

定額給付金(ていがくきゅうふきん)とは、緊急経済対策の一施策で、2009年(平成21年)3月4日に施行された給付形式の定額減税政策である[1][2]。日本に住民票がある個人・外国人登録制度外国人(「短期滞在」者は除く)を対象に行われた。同経済対策に含まれた他の施策と伴に、平成20年(2008年)度第2次補正予算[注釈 1]を裏づけとし、財源措置を定める関連法と共に施行に至った[3]日本国政府による施策だが、給付事業そのものは地方公共団体が自らの判断で行う「自治事務」と位置づけられた[4][5]

内閣総理大臣麻生太郎が2008年10月30日の記者会見で総額2兆円規模の景気対策として発表した[6][7]。市町村によって実施の時期は異なったが、2009年5月28日までに全ての市町村で給付が開始された[8]。自民党が連立を組む公明党の要求に配慮した側面があった施策であり、一人当たり1万2000円(18歳以下と65歳以上は2万円)で財源の約2兆円は国が全額負担した[9]
背景

政権福田康夫内閣 (改造)が、急騰する資源価格問題[2]への対策として思案していた定額減税[10][11]を下地にしたとされている。麻生内閣では、その減税政策を素案に、給付式減税など内容を見直し変更が行われたのちに、リーマン・ショック後の緊急経済対策に盛り込まれた[1][2]。初期の素案時期は、資源価格高騰による物価高が進んでいた時期で、その事が背景にあった[2]自民党連立政権を組む公明党からの強い要請があった事が、要因の一つとも報道された[11][12]

同様の施策の例として、小渕内閣が平成10年に「緊急経済対策」として交付した地域振興券がある[5]
給付対象者

第2次補正予算の案が閣議決定された2008年12月20日付けで、総務省から都道府県指定都市に、定額給付金給付事業に関する通知[13]が出された。年齢などの基準日は2009年2月1日と定められた[13][14]

日本に住所がある者と日本に適法に在留する外国人(「短期滞在」者を除く)が給付対象である。外国人でも不法滞在者は除外され、日本人でも在外邦人は対象外。日本国籍の有無や納税義務の有無とは無関係な条件となっている。

対象者の条件の詳細は次のとおり[15]

住民基本台帳に記録されている者(日本国内で生活していたが、基準日より前に記録が消除されたために、いずれの市区町村の住民基本台帳にも記録されていない者は、申請受付期間内に新たに記録されれば対象者となる[16])。

外国人登録原票に登録されている者のうち、特別永住者[17]、または「出入国管理及び難民認定法[18]に定める在留資格を有して在留する者(出生等により在留資格を有することなく在留することができる者を含む)。

ただし、「短期滞在」の在留資格で在留する者(観光、スポーツ、見学、研修、講習または会合・会議への参加、業務連絡、その他これに類似する活動の「短期滞在」の資格で在留する外国人[19])は対象外。

当時は外国人住民について住民基本台帳制度は行われていなかった。[注釈 2]
給付対象者についての論争

行政府の決定までには高所得者に対しても支給されることへ鳩山由紀夫民主党代表などから批判がでた。しかし、所得制限をすると確認のため市町村の窓口に何万もの人が殺到する恐れがあることや、個々に所得をチェックするのに非常に多くの時間が掛かることなどから、迅速に給付する定額給付金の目的からすると支給への大きな障害になると指摘され、全国市長会や多数の地方自治体など各方面からも、個々の所得把握には事務処理や時間的問題が出てくるといった反論がなされた[21]

高所得者を除外する議論もあったが結果的には除外されなかった[5]

生活保護受給者も支給対象であった。また、収入認定の対象とならなかった。[22]

児童相談所一時保護所児童養護施設児童自立支援施設少年鑑別所少年院少年刑務所刑務所拘置所代用刑事施設に収容されている被疑者、被告人、入所者、死刑囚、受刑者、被収容者も支給対象であった。

中卒や高校中退のひきこもりニートの若者にも支給され、貴重な収入源であると言われていた。

住民基本台帳への登録がないホームレスネットカフェ難民無戸籍者などには支給されないことが問題視された[23][24]

暴力団員など反社会的組織の人間にも対象の日本国民なら支給されることが懸念された[25]

夫からのDV被害により妻が夫と別居している場合でも、受給権者である夫にのみ定額給付金が一括支給される。これについて、大阪府内在住の夫と別居中の主婦が、夫を含めた家族3人分の定額給付金の仮差押を求め大阪家裁に仮差押を請求。同家裁は請求を退けたが、抗告審の大阪高裁は、2009年6月25日付で、「差押が禁じられているという根拠は無い」として、夫の居住地の大阪市に対し、受給権者である夫に給付金を支給しないよう命じる判決を出した。他、自治体によっては、DV被害者や児童養護施設に入所する児童虐待の被害者に対し、給付金相当額を独自に支給する動きが見られるが加害者である受給権者に対して、被害者の分が一括支給され、二重支給のおそれがあると懸念された。総務省は、民事不介入を一貫した[26]。2009年に実施された定額給付金は民事執行法、国税徴収法、破産法の差押禁止財産の対象ではなかった。
給付額

給付対象者1人につき12,000円。ただし、基準日において65歳以上の者及び18歳以下の者(1990年2月2日生まれの者も含む[15][注釈 3])については8,000円加算され、20,000円である。


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