デビュタント
[Wikipedia|▼Menu]
2014年2月27日、ウィーン国立歌劇場で行われた舞踏会「ヴィーナー・オーパンバル」の様子。ウクライナ系アメリカ人のデビュタントボール(シカゴのパルマー・ハウス(英語版)にて)

デビュタントとは、西洋文化において初めて正式に社交界にデビューする若い女性とそれを祝う場のことである。語源はフランス語の名詞(男:debutant、女:debutante)であり、直訳すると初心者、初舞台の人、年若い、若々しい、などの意味だが、興行としてのデビュタントはこれの女性名詞の「debutante、debutante」であり、ここではそれについて述べる。それらは通常、プロムやコティヨン(en:Cotillion)などと同様に男女のペアで式典舞踏会に出場するが、その場では女性の方がデビュタントと呼ばれる主役であり、片や男性の方は「エスコート」(escort:護衛)と呼ばれる脇役となる。

欧米ではデビュタントの初舞台となる舞踏会のことを「デビュタントボール」(en:debutante ball)という。これは日本の冠婚葬祭の「冠」である成人式社交ダンス的な要素を含ませたような式典ではあるが[1][2]市役所などが主催する日本の成人式とは異なり、デビュタントボールを運営する協会などがチャリティーイベントとして開催することが多い。それは通常、デビュタントの親族や関係各者による多額の献金と招待客が支払う高額な入場料によって得た利益の一部を医療や福祉関係の基金に寄贈[3]される形態で運用される。また、伝統的なデビュタントボールでは参加資格は厳しく、家柄や学歴だけでなく国籍や人種などの条件により制限を受け、デビュタントとしての出場権を獲得するためには著名な委員会によって推薦されるか、上流階級の確立されたメンバー、通常は母親や他の女性の親戚によって後援されなければならない[4]。そのような厳選された才色兼備な美女たちが白いオペラグローブを合わせた純白のドレスを身にまとい、全身真っ白な美しい様相で音楽にあわせ華麗に踊るデビュタントボールはハイソサエティーエレガンスの象徴であるだけでなく舞台芸術としてのショービジネスにもなっている。なお、ショーの観客としての参加資格はデビュタントのそれと比べて甘く、今日では入場料さえ払えば外国人観光客でも入場できる場も多いが[5]、入場時のドレスコードホワイトタイ相当のものが求められる厳粛な場であることには違いはない。
歴史

デビュタントの起源は、1600年代のイギリスで始まったコンセプトであり[6]、当時のデビュタントボールはパーティーのようなものではなく、君主への正式な紹介である厳正な式典であった[7]。裕福で高貴な家族の若い女性は、新しい大人として社交するために宮廷に出廷し、同時に可能な限り最も有望な夫を見つけようとした[8]

近年ではキリスト教文化圏のイギリスを含む西欧諸国や、アメリカカナダオーストラリアニュージーランドなどのアングロサクソン諸国のWASPに広まり根付いた文化である[9][10]。デビュタントは伝統的に、その対象者は上流階級貴族の家柄の令嬢である[11][12]20歳前後の才色兼備な白人女性に限定[13]され、洗練された美しい容姿やドレスコードの遵守を含む厳格な礼儀作法の習得と披露を期待されるフォーマル性の高いものであった[14][15]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:37 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef