デジタル
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、主にコンピュータ工学的な内容について説明しています。その他の用法については「デジタル (曖昧さ回避)」をご覧ください。

デジタル(: digital, 英語発音: [?di??tl])は、以下のような意味の単語。
を "段階的に区切って" 数字で表すこと[1]や、情報を "離散的な[2][3]: discrete value[2]つまり 飛び飛び の値[4])のあつまりとして表現し 段階的な [5][3]物理量に対応させて記憶伝送する方式[3]や、データを "有限数値 で表現する方法[6](を表現するための形容詞)であり、たとえば 0と1だけを有限個使って情報を伝えることである[2]対義語アナログという形容詞であり[7][6][8][3]、そちらは情報を連続した(物理)量で表現する方式である[6][3][9]

特に二進数で表現されたデータで構成されているもの[8]

「指を使って行った?[8]」という意味の形容詞。

なお日本産業規格 (JIS X 0001, JIS X 0005) では「ディジタル」という表記が採用されており、そちらの表記も使われることがある[注釈 1]。なお広辞苑第三版(1983年)及び第四版(1991年)はデジタルがディジタルを参照させるようになっており、逆になったのは1998年の第五版であった(→#片仮名表記)。当記事の表記としては「デジタル」のほうを採用して以下の説明を行う[注釈 2]
概要

英語のdigitalは形容詞で、語源ラテン語の「digitus」(ディジトゥス、「」の意)であり、それがラテン語の中で「digitalis」(ディジタリス)という形に変化し、それが15世紀なかばに英語に入り「digital」となり「10より小さい数を指に関連付ける(指に関連づけて数える)」という意味になり、1650年代に「指に関連づける(指に関連づけて数える)」という意味になった[10]。「digital」が「『(10より小さい)数』を使っている?」という意味の形容詞として使われるようになったのは1938年以降のことであり、特に、1945年以降に現れた、(それまでのアナログコンピュータと対比されるような)digit(※)方式 の(十進以外、典型的には二進方式の)コンピュータのことを形容するために使われ始めた[10](※)英語の「digit」には「十進法以外、特に二進法で表現された要素」という意味がある[11]

今日ではデジタル方式と呼ばれている装置は、1940年代前半では、まだ研究が始まって日が浅く、アナログ方式と対比しつつも「パルス(式)」という表現で形容されていた。だがエンジニアのジョージ・スティビッツが「パルス(式)」ではこの装置の動作プロセスが適切に表現されていないと感じ、「デジタル」と表現したほうがよいと(1942年4月に開催された科学研究開発局(OSRD)の部門会議に出席した後に)指摘した。こうして、「デジタル」という用語・表現が非アナログ方式のコンピュータを指すために使われるようになっていった。(なおスティビッツは電気機械式リレーをスイッチ素子として使ったブール論理デジタル回路の開発を1930年代から1940年代にかけて行った人物であり、「デジタルコンピュータの父」と呼ばれることもある人物である。)

コンピュータがデジタル方式だということは、コンピュータのCPU内(の核心部分。演算装置レジスタ類)での数の表現が二進方式になっていることを意味しており[注釈 3]、1か0という値をとるビットが有限個(※)並んだもの(ビット列)で数が表現されている。(※)あくまで有限個である。よくある個数は8/16/32/64のいずれかである。[注釈 4]

二進数のそれぞれの桁はビットと呼ばれ 0 または 1 の数字で表される。「コンピュータの数値表現」も参照

デジタルコンピュータでなぜ二進法が採用されるのかという理由について、情報処理技術者の教科書に次のように説明されている。ビット列の各ビットを反転することで《1の補数》が得られ、それに1を足すと《2の補数》が得られる[12]。ある数と、(その数の)2の補数との加算を行うと、紙の上の計算では最上位の桁から桁上がりが起きるが、有限の桁しかない加算器では最上位の桁の桁上がりが無視される仕組みになっているので演算結果が0になる、という注目すべき性質がある[12]。デジタルコンピュータのCPUの演算器では、もとの数の2の補数は「0 - もとの数 = - もとの数」を意味することになる[12]。この性質を利用してCPU内の演算では減算 A-Bを 「A+ (-B)」と書き換えることができ、さらに「A+ (Bの2の補数)」と書き換えることができる。つまり負数に2の補数を使うことで、減算という作業を加算と同様に処理できることになり、演算回路を単純なもので済ますことができる[12]

二進数方式でCPUが動いているデジタルコンピュータは(最初から二進数で入力し、演算し、二進数を出力することもできるが)十進法の数を扱う場合は、一旦、その十進数を二進数へと変換する基数変換を行っている[12]。これらの基数変換は例えば、キーボードから数値を入力する際や、人間のために計算結果を十進で表示する際に行われる。

有限の長さのビット列を扱う場合、算術演算の結果がそのビット列の長さに収まらないことがある(算術オーバーフロー)。



特徴
ノイズの影響を受けにくい

アナログ方式と比べて、デジタルデータはノイズの影響を受けにくい、という特徴がある[13][14]

デジタルデータの伝送や記録・再生などを行う場合、デジタル量もアナログ量と同様に電圧電流などの電気信号に置き換えて取り扱われるが、外乱が生じて信号にノイズが混入した場合、アナログ処理では特別な処理を行わない限り信号に混じったノイズを取り除くことが困難であるが、これに対し、デジタル処理では、数値は飛び飛びで離散しており、中間値をもたないので、ノイズによって生じた誤差が一定量以下ならばそれを無視することで、元のデータが保たれる。この数値は、六進数十進数のような「素因数が複数」の記数法でも適用でき、データが整数表現の場合、1がノイズによって0.8(10)(=4/5)や0.4(6)(=2/3)や1.2(十進数だと6/5、六進数だと4/3)に変化しても1と扱う回路を用意しておけば良い。

実際の記録・伝送などでは上述の範囲を越えるノイズが混入する場合がある(例えば、1が0.4(10)(=2/5)や0.2(6)(=1/3)、または1.6(10)(=8/5)や1.4(6)(=5/3)に変化すると、異なる値0または2となる)が、デジタルコンピュータでは、そのような場合でも誤りを検出する手法が発明されており、データを予め誤り訂正符号などを使って冗長化しておくと、それを使い逆算して補正したり、補正出来ない場合は無視したり、誤りの発生を検出して再送を要求したりすることができ、信頼性の高い伝送や再生を行うことができる。
誤差

なお「デジタルコンピュータなら、いつでも計算が正確」と思うのは幻想でしかない[15][16][注釈 5]。特に浮動小数点方式で演算する場合は誤差が生じるということには注意を払う必要があり、数値が表現可能な数値範囲を超えてしまう可能性にも十分に用心する必要がある[16]。分かりやすい出来事を紹介すると、たとえば1991年、アメリカ軍のパトリオットミサイルは時間計算の誤差が原因で誤作動して死者が出てしまったし[16]、欧州宇宙機構のアリアン5型ロケットなどは1996年の打ち上げ時にわずか40秒で爆発し、このロケットのために費やした10年の歳月および70億ドルの開発費および搭載した5億ドル相当の装置が失われてしまった[16]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:36 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef