デジタル・デビル・ストーリー
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デジタル・デビル・ストーリー
ジャンル伝奇SF
小説:デジタル・デビル・ストーリー
著者
西谷史
イラスト北爪宏幸
出版社徳間書店
刊行期間1986年 - 1993年
巻数全9巻
OVA:デジタル・デビル物語 女神転生
原作西谷史 「デジタル・デビル・ストーリー 女神転生」
監督西久保瑞穂
脚本西久保瑞穂
キャラクターデザイン北爪宏幸
製作徳間書店、ムービック
発売日1987年3月25日
収録時間45分
テンプレート - ノート

『デジタル・デビル・ストーリー』(Digital Devil Story)は、西谷史による伝奇SF小説。イラストはアニメーター北爪宏幸

コンピュータから召喚された悪魔(デジタル・デビル)と、私怨と好奇心で彼らを呼び出してしまった天才高校生プログラマーの戦いを、日本神話からの転生を絡めて描いている。
概要

天才プログラマー・中島朱実の戦いと白鷺弓子との運命的な愛を描いた『デジタル・デビル・ストーリー』3部作と、それから4年後の物語『新デジタル・デビル・ストーリー』6部作で構成されている。

1986年3月に徳間書店アニメージュ文庫で書き下ろされた第一作『女神転生』は翌年にOVA化。メディアミックス作品として、日本テレネットからパソコンアクションゲームが、ナムコからファミコン3DダンジョンRPGが発売された。その後、ファミコン用RPGは開発元のアトラスによって原作小説とは無関係にさまざまな機種でシリーズ化され、『女神転生シリーズ』として現在も続いている。

全9作の売り上げは80万部を超えたという[1]。アニメージュ文庫が1998年に刊行を終了したため文庫版は絶版となったが、2004年よりアトラスの携帯電話サービス「メガテンα」にて、文庫版を加筆修正したデジタルノベルが配信された。また、2005年から翌年にかけて、シリーズ全作を携帯電話版とは異なる形で大幅に加筆修正した『愛蔵版 デジタル・デビル・ストーリー 女神転生』全3巻がブッキングより復刊されている。

原作者の西谷は、本作の着想の経緯を以下のように明かしている[1]。いわく、西谷は小説家となる以前、パソコンに対して不満やストレスを感じながらも電機メーカーに勤務していたが、あるとき支店から実現不可能な発注を受け、冗談で「オンラインで悪魔でも送りつけてやろうか」という暴言を口走った。それが「パソコンから呼び出される悪魔がネットを介して広まっていく」という物語の発想に繋がり、作品の売り込みをかけた出版社やゲームメーカーからも好感触を得る結果に繋がったという。
シリーズ一覧
アニメージュ文庫版

徳間書店刊。1986年から1993年にかけて、全9冊が発行された。
デジタル・デビル・ストーリー
女神転生
ISBN 4-19-669552-3

魔都の戦士 ISBN 4-19-669558-2

転生の終焉 ISBN 4-19-669576-0

新デジタル・デビル・ストーリー
捕われの女神
ISBN 4-19-669629-5

氷界の女王 ISBN 4-19-669642-2

神魔の惑星 ISBN 4-19-669649-X

怒りの妖帝 ISBN 4-19-669656-2

女神よ永遠に ISBN 4-19-669661-9

転生の絆 ISBN 4-19-900005-4

愛蔵版

ブッキング刊。文庫版に大幅な加筆修正を加えた愛蔵版。2005年から翌年にかけて、全三巻が復刊されている。第一巻の表紙絵は「転生の終焉」の表紙絵を採用、第二巻と第三巻は新たに描き下ろされている。ただし、原画の経年劣化や散逸によって、愛蔵版に収録されなかった挿絵や口絵が多数ある[2]
女神転生 ISBN 4-8354-4183-4 - デジタル・デビル・ストーリー三部作を収録。

女神転生2 ISBN 4-8354-4235-0 - 新デジタル・デビル・ストーリー1 - 3を収録。

女神転生3 ISBN 4-8354-4236-9 - 新デジタル・デビル・ストーリー4 - 6を収録。

ストーリー
デジタル・デビル・ストーリー

1980年代後半(昭和60年代)、インターネットという概念が未だ一般の人々に浸透していなかった時代。

東京・国立市にある私立十聖高校の3年生・中島朱実は、少女と見紛うその美貌から、他の男子生徒の羨望や嫉妬を招きがちであった。プログラマーとしての天賦の才にも恵まれていた彼は、コンピュータ理論と魔術理論の類似性に着目し、ひそかに「悪魔召喚プログラム」の制作に没頭していた。自らプログラムを組みながらも、悪魔を召喚する目的が見つからなかった朱実は、稼動実験を躊躇していた。

そんな4月のある日、朱実の身にプログラム稼動を決意させる出来事が起こってしまった。彼に言い寄って振られた高見沢京子の逆恨みで濡れ衣を着せられ、空手部主将の近藤弘之に暴行されてしまったのだ。深い私怨に衝き動かされた朱実は、ついにプログラムを稼動、人間界に悪魔(デジタル・デビル)を召喚して復讐を果たしてしまうのだった。

それから二ヵ月後。朱実のクラスに白鷺弓子という少女が転入してきた。弓子は朱実に強い既視感覚を覚えるが、彼は全く取り合おうとしない。それが二人の前世からの深い因縁によるものであり、これから先の運命を大きく変えていく前兆でもあることなど、弓子はもちろん、朱実自身全く知る由もないことだった。

その日の放課後、朱実は古文担当の小原教諭をCAIルーム(コンピュータ学習室)に呼びつけた。好奇心と二人の関係を確かめずにはおれない衝動に抗いきれず、CAIルームに忍び込んだ弓子の目前で繰り広げられる、禍々しい悪魔降臨の儀式……。コンピュータによって召喚された悪魔「ロキ」は、復讐を果たす対価として、女の生贄を要求していたのだった。

夏休みが始まる直前、不幸にも次の生贄に弓子が選ばれてしまった。先日の一件以来、彼女のことが気になりだしていた朱実は、躊躇しながらも、ロキの求めるままに生贄の儀式を行ってしまう。
新デジタル・デビル・ストーリー

魔王ルシファーとイザナミ神の戦いから3年後。日本を含むほとんどの国家は既に魔族の支配下に置かれていた。魔族に抵抗した大和の神々は敗北し、降伏を拒んだイザナミ神は処刑されて諏訪下社でさらし者となっている。ある冬の夜、ヒキガエルの姿をした大和の神・タニグクは、今は死したイザナミ神を反魂の術によって蘇らせようと試みる。

それから1年後の4月。十聖高校2年生の北明日香は、クラスメイトの木戸礼子を治安警察から救ったことがきっかけで、魔族に抵抗する秘密組織「十字軍」と関わりを持つようになった。そして彼らの話から、魔族による世界支配の実態と、中学時代に憧れを抱いた白鷺弓子が大和の神によって転生復活し、魔族に囚われている現状を知らされる。弓子が中島朱実の恋人であることを知りながらも、彼女への想いが未だに捨てきれない明日香は、弓子を救い出すため、礼子や十字軍のメンバーたちと共に魔都と化した新宿特別区に潜入する。
登場人物
デジタル・デビル・ストーリー
中島 朱実(なかじま あけみ)
- 水島裕(OVA)旧シリーズの主人公。十聖高校3年生。プログラマーとしての天賦の才に恵まれた美少年。日本創造神・イザナギ神の転生した姿でもある。逆恨みでいわれのない暴行を受けたことがきっかけとなり、自ら組み上げた「悪魔召喚プログラム」を稼動、人間界に悪魔ロキを召喚して復讐を果たしてしまう。悪魔召喚に成功してしばらくは悪魔の力を借りて集団催眠で学校を支配し、そうとは知らぬまま前世の妻でもある弓子を生贄として捧げようとするが、実体化したロキとの死闘の最中にイザナギ神としての記憶を取り戻し、悪魔を倒すことを決意する。自らが招いた事態の責任を取るため、そして何よりも最愛の人である弓子を守るために悪魔たちと戦うが、やがて自ら犯した罪の重さに耐えきれずに心を蝕まれていく。セトとの戦いから一ヵ月半後、自分と弓子を侮辱した暴徒を殺害したために警察に逮捕される。再審のない一度きりの裁判の結果、以前にも悪魔を召喚して同級生を殺したことと合わせて死刑を求刑され、翌日に求刑通りの判決を受ける。執行日に公開処刑場にて逃走を図ったものの、夢魔に惑わされて正気を失い、居合わせた群集を無差別に斬殺。ついには弓子にも斬りかかったため、彼女を守ろうとしたイザナミ神によってやむなく殺害されてしまう。霊魂のみの存在になった後も、愛する弓子のことを常に案じ続け、事あるごとに弓子や彼女を慕う明日香に助力していた。崇徳上皇との戦いの後、「幾千年かかろうと必ず生きて君のもとにたどりついてみせる」と弓子に告げ、転生の環に身を投じる。
白鷺 弓子(しらさぎ ゆみこ)
声 - 島津冴子(OVA)札幌から十聖高校に転入してきた長い黒髪の少女。清楚な美人ではあるが、朱実や小原教諭のように一際目立つ存在ではない。イザナギ神の妻、イザナミ神の転生で、シリーズ全編にわたるキーパーソン。朱実とは深い因縁と絆によって結ばれており、彼と相思相愛の仲になる。一度はロキによって殺害されるが、前世の夫でもある朱実とイザナミ神の助力によって再び命を取り戻した。イザナミ神の形質と強大な理力(念動力と発火能力)を受け継ぎ、高濃度の生体マグネタイトを保有する特殊体質[3]ゆえに、それを人間界に留まる縁とする魔族から狙われる身となってしまう。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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