デジタルマビカ
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デジタルマビカ シリーズの1号機、MVC-FD5

デジタルマビカ(: Digital Mavica)は、ソニーが製造販売していたデジタル・スチル・カメラである[1]
概説

ソニーの石塚茂樹らは、1996年10月にマイクロ・フロッピー・ディスク[注 1]を記録媒体とするデジタル・スチル・カメラを製品化するよう指示された[4]。デジタル・ビデオ・カメラにマイクロ・フロッピー・ディスク・ドライブを組み合わせれば、容易に作ることができる[4]。ならば、他社に先駆けてソニーが作ってしまうべきだというのが、指示の理由であった[4]。石塚茂樹らは、ハンディカムの部品を流用することで、約6か月強の短期間で製品化を実現させた[4]。これを米国で販売すると、マイクロ・フロッピー・ディスクの手軽さと光学10倍のズーム・レンズが評価され、忽ちデジタル・スチル・カメラ市場の4割を占めるヒット商品となり、その後のデジタル・スチル・カメラ市場におけるソニーの地位を築くこととなった。[2][5][6]。しかし、わずかな期間で開発したため、CCDイメージャーはビデオ・カメラ用のインターレース・スキャンであり、フラッシュは調光を持たず、ディスク・ドライブは汎用品で読み書きが遅く大きかった[1][4]。そこで、早速第二世代の開発に取り掛かる。多くの部品が専用に開発された。CCDイメージャーはデジタル・スチル・カメラ用のプログレッシブ・スキャンとなり、フラッシュは調光補正され、ディスク・ドライブは読み書きを倍速とし小型化が図られた[4][7]。商品呼称については、前年に発売していたサイバーショットの一種とする案もあったが、世界初の電子スチル・カメラで、アナログ信号を独自のフロッピー・ディスクに記録したマビカの名を継承し、デジタルマビカとされた[4]。デジタルマビカは、2001年ごろまで市場を支配したが、CCDイメージャーの高画素化により、マイクロ・フロッピー・ディスクの容量に収まらなくなったことや、より大容量の記憶媒体が安価に入手できるようになったことなどから、2002年のFDマビカ第七世代並びに2003年のCDマビカ第四世代を最後に開発は終えることとなった[8][9]
FDマビカ

当初はデジタルマビカと呼称されたが、2000年8月にCDマビカが発売されると、マイクロ・フロッピー・ディスクを記録媒体とするデジタルマビカは、呼称をFDマビカに改めた。
第一世代

主要部品の多くをハンディカムなどの既製部品から流用している[4]。よって、ビデオ・カメラ用に開発された総画素数41万画素で有効画素数38万画素のインターレースCCDイメージャーを採用しているが、フレーム記録を採用することで画質を維持した[10][1]。ファインダーは持たず、61380ドット、TFT駆動の2.5インチ液晶で代用する[10][11]。フラッシュは内蔵されるが、調光補正はしていない[10]。容量1,350mAhのリチウム電池NF-P530により、最長約50分の連続使用と最大約500回の撮影回数が可能だとしている[10][12][13]。米国では使用に不可欠のリチウム電池NP-F530及び充電器BC-V615などが付属するが、日本では別売りとなる[14][15]
MVC-FD5

日本では1997年7月10日に発売され、価格は税込で66,150円だった[3]。米国では同年7月下旬に発売され、希望小売価格は税込で599ドルだった[16]。総画素数41万画素で有効画素数38万画素のCCDイメージャーに単焦点のレンズを搭載した[3]。手動でマクロ撮影ができる。最高品質の画像となる640?480ピクセルのJPEG形式を、1枚のマイクロ・フロッピー・ディスクに20葉弱記録できた[3]。連続使用時間はリチウム電池NP-F530で最長約90分だった[3]。日本の国立科学博物館は2022年9月13日に、重要科学技術史資料(未来技術遺産)としてMVC-FD5を登録した[17]。選定理由は、「デジタル処理のメイン・ツールであったパソコンへのデータ転送において当時の他方式に比べて、作業の容易さやランニングコスト低減を実現した。1枚のDOSフォーマット(2HD 1.44MB)マイクロフロッピーディスク(MFD)に、640?480ドットのJPEG形式で、標準画質の場合で30?40枚、ファイン画質の場合15?20枚の静止画を記録することができた。MFDを軸とした技術の広がりを示すものとして重要である。」というものだった[18]
MVC-FD7

日本では1997年8月1日に発売され、価格は税込で92,400JPYだった[3]。米国では同年8月下旬に発売され、希望小売価格は税込で799.00USDだった[16]。総画素数41万画素で有効画素数38万画素のCCDイメージャーにマクロ撮影にも対応した光学10倍ズーム・レンズを搭載した[3][1]。最高品質の画像となる640?480ピクセルのJPEG形式を1枚のマイクロ・フロッピー・ディスクに20葉弱記録できた[3]。連続使用時間と撮影可能回数は、リチウム電池NP-F530で最長約90分と最大約500回だった[3]。マクロ撮影にも対応したオート・フォーカス、簡易なマニュアル・フォーカス、プログラムAE及びピクチャ・エフェクト機能が搭載されている[13]。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}

MVC-FD5

MVC-FD7

第二世代

主要部品の多くをデジタルマビカのために開発した専用部品に改めた[4]。新たに開発した「2倍速」のディスク・ドライブを搭載し、書き込み及び読み出し時間を大きく短縮した[7]。使用電力低消費化とリチウム電池NP-F530の上位互換で容量を1,500mAhとしたNP-F550が発売されたことから、駆動時間の延長並びに撮影回数が増加した[7]。フラッシュは調光補正式となった[7]。米国では使用に不可欠のリチウム電池NP-F330及び充電器BC-V615などが付属するが、日本では別売りとなる[19][20][21]
MVC-FD51

日本では1998年7月1日に発売され、価格はオープン価格としたが税込で6万JPY台と見込まれた[22]。総画素数41万画素で有効画素数38万画素のインターレースCCDイメージャーに単焦点のレンズを搭載し、手動でマクロ撮影ができ、最高品質の画像となる640?480ピクセルのJPEG形式を1枚のマイクロ・フロッピー・ディスクに20葉弱記録できる点は、MVC-FD5と変わらない[3][22]。連続使用時間と撮影可能回数は、リチウム電池NP-F530で最長約120分と最大約880回、同NP-F550で最長約150分と最大約1,100回である[23]。「2倍速」ディスク・ドライブによりMVC-FD5で約10秒かかった書き込みを約7秒に短縮した[22]。新たにピクチャ・エフェクト機能が搭載された[22]
MVC-FD71

日本では1998年7月1日に発売され、価格はオープン価格としたが税込で7万JPY台と見込まれた[22]。デジタル・スチル・カメラ用に新開発された総画素数35万画素で有効画素数33万画素のプログレッシブCCDイメージャーに光学10倍ズーム・レンズを搭載した[22]。JPEG形式に加えBMP形式での保存が可能となったため、最高品質の画像となる640?480ピクセルのBMP形式を1枚のマイクロ・フロッピー・ディスクに1葉記録できた[24]。連続使用時間と撮影可能回数は、リチウム電池NP-F530で最長約130分と最大約1,750回、同NP-F550で最長約150分と最大約2,000回としている[24]。レンズ部、ディスク・ドライブを小型化することで、体積及び重量を2割削減した[21]。「2倍速」ディスク・ドライブに加え、画像処理用RISCの採用により、MVC-FD7で約10秒かかったJPEG書類の書き込みを約4秒に短縮した[21]。液晶画面は、外光を取り入れることで明るさを倍増させる「ソーラータイプ」の、84,260ドット、TFT駆動の2.5インチ液晶を採用した[25][21]。画像を記録したマイクロ・フロッピー・ディスクを複製できる「ディスクコピーモード」並びにオートフラッシュ機能が付加された[21]

MVC-FD71

第三世代

総画素数85万画素で有効画素数80万画素のプログレッシブCCDイメージャーを搭載し、最大1024?768ピクセルの静止画を記録できる[26][27]。フォーカスは、オート及びマニュアルが選択でき、マクロ撮影にも対応する[28][29]。MPEG1形式の音声付き動画を、1枚のマイクロ・フロッピー・ディスクあたり320?240ピクセルで最大約15秒、160?112ピクセルで最大約60秒記録できる[26]。「2倍速」ディスク・ドライブに加え、画像処理用DSPの採用により、最短約4秒で書き込むことができた[27]。液晶画面は、外光を取り入れることで明るさを倍増させる「ソーラータイプ」の、84,260ドット、TFT駆動の2.5インチ液晶を採用した。フラッシュの使用にかかわらず、連続使用時間と撮影可能回数は、リチウム電池NP-F530で最長約90分と最大約1,100回、同NP-F550で最長約120分と最大約1,500回である[28]
MVC-FD81

日本では1998年10月10日に発売され、価格は税込で104,790JPYだった[26]。米国では同年10月下旬に発売され、希望小売価格は税込で899.00USDだった[30]


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