デジタライゼーション
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デジタルトランスフォーメーション(: digital transformation[1])は、デジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス文化顧客体験を新たに創造(あるいは既存のそれを改良)して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たすプロセスである[2]。デジタル変革やDXともいう[3][4]
定義など
エリック・ストルターマンの用法・定義

「デジタルトランスフォーメーション digital transformation」という言葉は、2004年にウメオ大学エリック・ストルターマンが論文 Information Technology and the Good Life.の中で提唱した。ストルターマンは「情報技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義し、下記の特徴を提示している[5]

デジタルトランスフォーメーションにより、情報技術と現実が徐々に融合して結びついていく変化が起こる。

デジタルオブジェクトが物理的現実の基本的な素材になる。例えば、設計されたオブジェクトが、人間が自分の環境や行動の変化についてネットワークを介して知らせる能力を持つ。

固有の課題として、今日の情報システム研究者が、より本質的な情報技術研究のためのアプローチ、方法、技術を開発する必要がある。

なお、ストルターマンの提唱する概念を示した論文は「本論文は、よりよい生活のために技術を批判的に調べることができる研究の出発点として、適切な研究ポジションを確立する試みである」とあることから、研究へのアプローチ法・方法論を述べた内容となっている。

2022年、ストルターマンは、日本の組織、文化、DXの進捗を鑑み、社会、公共、民間の3つの観点で、デジタルトランスフォーメーションの定義を自身のブログ等で再提示した[6]。新しい定義は、株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所と協働の上、策定および翻訳されている[7]
IDC Japan社による定義

2016年にIT専門調査会社のIDC Japanは、デジタルトランスフォーメーションを定義している[8]。企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンス(経験、体験)の変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

また、ITプラットフォームの概念を用いて説明している。

第1プラットフォーム:メインフレーム/端末システム

第2プラットフォーム:クライアント/サーバーシステム

第3プラットフォーム:クラウドビッグデータ/アナリティクス・ソーシャル技術・モビリティー

そして、これに投資することは2017年以降5年間のIT市場における成長の大部分を占め、ITサプライヤーの優先事項になると予測している。なお、この定義は経済産業省のDX推進のためのガイドライン[9]でも引用されている。
ガートナー社による定義

ガートナー社は「デジタルビジネス」という概念を用いる。

ガートナー社によれば、企業内のIT利用は三段階ある。
業務プロセスの変革

ビジネスと企業、人を結び付けて統合する

仮想と物理の世界を融合して人・モノ・ビジネスが直接つながり、顧客との関係が瞬時に変化していく状態が当たり前となる

ガートナーはこの第3段階の状態をデジタルビジネスと呼び、「仮想世界と物理的世界が融合され、モノのインターネット(IoT)を通じてプロセスや業界の動きを変革する新しいビジネスデザイン」と定義している[10]

また、このデジタルビジネスへの改革プロセスを「デジタルビジネストランスフォーメーション」と定義している[11]
経済産業省による定義

日本の経済産業省は、「デジタルガバナンス・コード2.0」において、DXを以下のように定義している[4]。企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
広義の解釈と類語

ビジネス用語して用いられるデジタルフォーメーションは多義的であり、さまざまな類語と混同される。下記には広義のデジタルトランスフォーメーションの解釈として内包される概念と類語を記載する。なお狭義のデジタルトランスフォーメーションは文脈によってはこれらの類語すべてと区別される。
デジタルシフト

デジタルシフトとは、「デジタル化が進むグローバル社会においてあらゆる企業活動(経営、マーケティング、人材採用・教育、生産活動、財務活動など。およびビジネスモデルそのもの)において本質的なデジタル対応をすること」と定義される。デジタルトランスフォーメーションと比較するとデジタルシフトはより狭義であり、個々のサービスや業務におけるデジタル化を指す。対してデジタルトランスフォーメーションはデジタル技術による社会全体や企業全体のビジネスモデルの改革・変革を指すことが多い[12][13][14]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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