デジタイズ
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デジタイズ(: digitize)は連続的な値を離散的な値に変換すること。その手法全般を含めてデジタイゼーション (: digitization)ともいう。離散値をデジタル値(: digital value)といい、コンピュータを用いた手法では2値のビット: bit)を使った量子化が主流となっている。発展した情報理論を応用して、既存のオブジェクト画像信号(通常アナログ信号)などの情報をデジタイズすることを電子化 [注 1]、またはデジタル化(: digitalize)という。デジタイズの結果で得られた情報は、元の情報との対比として「デジタル表現」あるいは「デジタル形式」、画像であれば「デジタル画像」などと呼ぶ。

デジタル化された情報はビット量子化された単なる数列であるため、人間が知覚や認識ができるようにデータを画像としてディスプレイで表示させたり、文字列を割り当てて印字したり、電気信号へ変換してスピーカーから発音させたりなどの加工を行う。これをレンダリング: rendering)といい、レンダリングを行う仕組みや装置をレンダラー(: renderer)という。

近年では、非デジタルの情報をデジタイズするだけでなく、情報そのものが作成された時点ですでにデジタル化されている場合が増えた。このような情報やコンテンツをボーン・デジタル (: born-digital)[1]という。書籍出版では文章をワープロ図版デジタイザ: digitizer)などで入力し、紙媒体への印刷を後から行う(デジタルファースト - : digital-first、ペーパーレイター - : paper-later) [2][3]ことも一般化してきている。

総務省の情報通信白書では、企業のデジタルトランスフォーメーションの推進に関連し、デジタル化に含まれる概念に、「既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換すること」をデジタイゼーション (Digitization) 、「組織のビジネスモデル全体を一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供するより良い方法を構築すること」をデジタライゼーション (Digitalization)(英語版) として、2つを分けて用いている[4]

以下ではデジタイズ、電子化の両方について述べる。
概要

アナログ信号は、時間的に連続な連続信号で、その値も連続的に変化する。しかし、デジタル信号はどちらの観点からも離散的であり、デジタイズは本来の信号の近似でしかない。しかし、アナログ信号が通常情報成分だけでなくノイズ成分を含むことを考えれば、デジタイズによって必ず情報が失われるとは言えない。

デジタル信号は整数の数列として表される。デジタイズであれば、一定間隔(サンプリング周波数)でアナログ信号を読み取り、その時点の値を整数化する。このように間隔を設定して読み取ることを標本化と呼び、また読み取った値を8ビットあるいは16ビットのような範囲で表現することを量子化と呼ぶ。標本化の細かさはサンプリング周波数で決まり、分解能解像度としてあらわれる。量子化の細かさは量子化ビット数で決まる。デジタイズの細かさは標本化と量子化の二つの要素によって決定される。なおデジタイズを行う電子回路をアナログ-デジタル変換回路と呼び、デジタイズを信号の変調方式の一種として見た場合は、パルス符号変調と言う。周波数領域では標本化定理により標本化の限界が定まる。

整数列をアナログ信号に戻すことで本来の信号の近似が得られる。この変換を行う電子回路をデジタル-アナログ変換回路と呼ぶ。この近似の正確性は基本的にサンプリング周波数と量子化ビット数によって決定される。
デジタル化、電子化

通常、「デジタイズ」という単語はデジタルデータを作る機械の機能や機械の操作に対して用いられる。これに対して用例を比較する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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