デシベル
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この項目では、単位について説明しています。

KDEのコミュニケーションフレームワークについては「Decibel」をご覧ください。

ヨコハマタイヤの商品「ASPEC dB」については「横浜ゴム#過去のブランド」をご覧ください。

2022年公開の映画については「デシベル (映画)」をご覧ください。

ベル
bel

デシベル単位で目盛りが降られた騒音計
記号B
種類SI併用単位
レベル表現
定義ある量 X と基準値 X0 の比の常用対数を取ったときの値
語源アレクサンダー・グラハム・ベル
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デシベル (英語: decibel 記号: dB)は、ある物理量を基準となる量との比の常用対数によって表した計量単位である[1]の強さ、音圧レベル、電力比や電気機器の利得等の物理量レベル表現を用いて表すときに使用される単位である。

国際単位系(SI)においては、非SI単位であるが、ベルネーパと並んでSI併用単位となっている。日本の計量法においては、SI単位のない量についての非SI単位と位置づけられていて、電磁波の減衰量、音圧レベル、振動加速度レベルの3つの物象の状態の量に対応する法定計量単位である[2]

なおSIにおいてレベル表現として表される量には次元が与えられておらず、無次元量である。電気工学振動音響工学などの分野で頻用される。
定義

計量法における定義は次のようになっている[3]

電磁波の減衰量についてのデシベル:減衰前の電磁波の電力の減衰後の電磁波の電力に対する比の常用対数の十倍

音圧レベルについてのデシベル:音圧実効値(パスカルで表した大気中における圧力の瞬時値と静圧との差の二乗の一周期平均の平方根をいう。以下同じ。)の十万分の二に対する比の常用対数の二十倍又は音圧実効値に経済産業省令で定める聴感補正を行って得られた値の十万分の二に対する比の常用対数の二十倍

振動加速度レベルについてのデシベル:振動加速度実効値(メートル毎秒毎秒で表した加速度の瞬時値の二乗の一周期平均の平方根をいう。以下同じ。)の十万分の一に対する比の常用対数の二十倍又は振動加速度実効値に経済産業省令で定める感覚補正を行って得られた値の十万分の一に対する比の常用対数の二十倍

概説

都合上、まず「ベル」について解説する。

「ベル」の語源は、アレクサンダー・グラハム・ベルが電話における電力の伝送減衰を表わすのに最初に用いたことに由来する[4]
ベル

物理量のレベル表現とは、基準となる物理量に対するその物理量の比を対数で表した量である。底が 10 の常用対数で表す単位がベル(bel、記号: B)、底がネイピア数自然対数で表す単位がネーパ (neper 記号: Np)である。

基準量を A0 としたとき、物理量 A のレベル表現が LA であるとき A A 0 = 10 L A / B , L A / B = log 10 ⁡ A A 0 {\displaystyle {\begin{aligned}{\frac {A}{A_{0}}}&=10^{L_{A}/{\text{B}}},\\L_{A}/{\text{B}}&=\log _{10}{\frac {A}{A_{0}}}\end{aligned}}}

の関係がある。

ベルは十進法における桁の差を表したものと言える。例えば、A が A0 の1000倍、すなわちちょうど3桁大きい場合

L A / B = log 10 ⁡ 1000 A 0 A 0 = log 10 ⁡ 1000 = 3 {\displaystyle L_{A}/{\text{B}}=\log _{10}{\frac {1000\,A_{0}}{A_{0}}}=\log _{10}1000=3}

となり LA = 3 B である。

例えばゲインが1段で100倍のアンプを2段重ねると、全体のゲインは 100 × 100 で10000倍になる。これをベルであらわすと、1段は2ベル (= log10 100)である。それが 2 + 2 = 4 で、全体で4ベルすなわち10000倍となる。このように、対数で表現することで、倍率と倍率の組み合わせで乗算になる計算を、加算で済ませることができる、という利便性がある。

さらに1000倍×1000倍といった値を扱う分野では1/100万 (=10−6)から100万 (=106)のように幅広い桁数の値を扱うことになるが、ベルの値であれば?6から+6と扱い易い値でとりあつかうことができる。
デシベル

比を常用対数で表すベルは便利で明快だが、実用上よく使われる 1/10 倍から 10 倍の範囲が −1 B から +1 B となる。つまり多くの場合 −0.x B とか +0.x B となり、少々使い勝手が悪い。そこで値が 10 倍になるよう単位の方を 1/10 倍にしたデシベルが通常使われる。デシベルはベルに 10?1 を意味する SI接頭語デシ(記号: d)を付けたものである。

基準量 A0 に対する A のレベル表現 LA をデシベルによって表すと

L A / dB = 10 log 10 ⁡ A A 0 ≈ log 1.259 ⁡ A A 0 {\displaystyle L_{A}/{\text{dB}}=10\log _{10}{\frac {A}{A_{0}}}\approx \log _{1.259}{\frac {A}{A_{0}}}}

となる。その定義から、 0 dB で 1 倍、 10 dB で 10 倍、 20 dB で 100 倍である。 1 dB は約 1.259 倍である。また「10 dB で 1 桁違う」ことから「1 dB で 0.1 桁違う」とも言える。

デシベルによる表現は、音の強さ(音圧レベル)や、電力の比較、減衰などをエネルギー比で表すのに使用される。音のレベルをdb(デシベル)で示すメーターを、「ピーク・メーター(Peak Meter)」と言う(「たった1人のフルバンド YMOとシンセサイザーの秘密」松武秀樹、勁文社、1981年、p219)。


レベル表現は二つの量の相対的な関係を表現するものだが、絶対的な値を表現するために各分野で基準値である 0 dB に相当する量が定義されている。詳細は「#絶対量としてのデシベル」を参照

電磁波の減衰量、音圧レベル、振動加速度レベルについては、計量法において「取引又は証明」に用いるべき単位としてデシベルを定めている。後 2 者は、それぞれ、音圧 (Pa) および振動の加速度 (m/s2) の基準値に基づいて定義された絶対デシベルである。電磁波の減衰量は比をデシベルで表現したもの(相対デシベル)である。
電力利得と電圧利得

デシベルは増幅器や減衰器の利得(ゲイン)を表す場合にも用いられる。工学の分野でデシベルを用いて表現する場合、対数をとる対象はパワーに相当する次元の物理量の比とするのが一般的である。

すなわち、デシベルで表す電力利得 LP は、入力電力を Pin 、出力電力を Pout とすると、

L P = 10 log 10 ⁡ ( P out P in ) dB {\displaystyle L_{P}=10\log _{10}\left({\frac {P_{\text{out}}}{P_{\text{in}}}}\right){\text{dB}}}

である。

一方、電圧や音圧などの交流信号の振幅からデシベルで表す利得LVを求める場合、パワーは振幅の2乗に比例すると仮定し、

L V = 10 log 10 ⁡ ( V out 2 V in 2 ) = 10 log 10 ⁡ ( V out V in ) 2 = 20 log 10 ⁡ ( V out V in ) dB {\displaystyle L_{V}=10\log _{10}\left({\frac {{V_{\text{out}}}^{2}}{{V_{\text{in}}}^{2}}}\right)=10\log _{10}\left({\frac {V_{\text{out}}}{V_{\text{in}}}}\right)^{2}=20\log _{10}\left({\frac {V_{\text{out}}}{V_{\text{in}}}}\right){\text{dB}}}


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