この項目では、ギリシア神話の登場人物について説明しています。その他の用法については「デュカリオン」をご覧ください。
デウカリオーンとピュラー
デウカリオーン(古希: Δευκαλ?ων、Deukali?n, ラテン語: Deucalion)は、ギリシア神話の登場人物である。長母音を省略してデウカリオン、もしくはデュカリオンとも表記される。プロメーテウスとクリュメネー[1]、プロノエー[2][注釈 1]、ヘーシオネー[3][4]、あるいはパンドーラーとの息子で[5]、プティーアーの王[6]。デウカリオーンの妻ピュラーは、プロメーテウスの兄弟エピメーテウスとパンドーラーの娘である[1][6]。
「デウカリオーンの洪水」で知られる。世界中の神話や伝説に共通して見られる大規模な大洪水伝説は、紀元前3000年ごろのメソポタミアで起こった大洪水の記録であるとする説が有力である。デウカリオーンの大洪水神話は、この記録と、ギリシアで起こった大洪水の伝承とが重なったものと考えられている。
また、ギリシア神話には本項で述べるデウカリオーン以外に、クレータ島の王ミーノースの子でイードメネウスの父となったデウカリオーンが、別人として登場する。 ゼウスが洪水を起こした原因は、次のようなものである。ペラスゴス ゼウスはこれらのことで人間に嫌気がさし、絶滅させてしまおうと、地上に大洪水を起こした。南風とともに豪雨が起こり、恐ろしい速さで海の水かさが増した。沿岸や平野にあるすべての都市が流され、世界はわずかな山の頂以外は水浸しとなった。しかし、デウカリオーンは父プロメーテウスから警告を受けていたので、いち早く方舟を作って食料を積み込み、妻ピュラーとともに乗り込んでいた。 9日間水上を漂い、ようやく水が引くと、方舟はパルナッソス山に漂着した。これにはエトナ山、アトス山、オトリュス山という説もある。デウカリオーンはゼウスに生贄を捧げると、ピュラーとともにケーピーソス河のほとりにあるテミスの神殿で祈りを捧げた。ゼウスはこれに応えてヘルメースを遣わし、デウカリオーンの願いを聞き届けるよう命じた。一説にはテミス自身が姿を現したともいう。デウカリオーンが人間を新しく蘇らせ給えと願うと、「おまえたちの顔を布で包み、母親の骨を後ろに投げるがよい」とお告げがあった。ピュラーはこの言葉に対し、そんな親不孝なことは出来ないと嘆いた。しかし、デウカリオーンは「母親」とは大地母神のことで「骨」とは河岸の石のことだと解釈し、二人は石を拾って背後に投げた。デウカリオーンが投げた石から人間の男が誕生し、ピュラーが投げた石からは人間の女が誕生した。こうして再び地上には人間があふれるようになった。 洪水で助かったのは、デウカリオーンとピュラーだけではなかったともいう。ゼウスの息子メガロスは寝ているところを鶴の鳴き声で起こされ、ゲラニア山の頂まで導かれた。ペーリオンのケラムボスはニュンペーたちによってカブトムシに姿を変えられ、パルナッソス山の頂まで飛んで難を逃れた。ポセイドーンの息子パルナッソスが創建したパルナッソスの住民も狼の吠える声に目を覚まし、パルナッソス山の頂に逃れた。彼らの一部はアルカディアに移ってリュカーオーンの行為を繰り返す者もいたため、結局のところ洪水はあまり効果がなかったという者もいる。 デウカリオーンとピュラーの間には、ヘレーン、アムピクテュオーン、プロートゲネイア[1][6]、メランティアが生まれた。[1]ヘレーンの父はゼウスとも言われる[1][6]。長子ヘレーンはギリシア人の名祖[7]、アンピクテュオーンは大洪水以降のアッティカの初代王で、葡萄酒を水で割った最初の人間といわれる。プロートゲネイアは後にゼウスとの間にアエトリオスとオープス ウーラノス ガイア オーケアノス テーテュース
神話
リュカーオーンと息子たち
大洪水
他の生存者
デウカリオーンの子孫
系図
イーアペトス クリュメネー
プロメーテウス エピメーテウス パンドーラー
デウカリオーン
ヘレーン オルセーイス アムピクテュオーン プロートゲネイア ゼウス
ドーロス クスートス クレウーサ アイオロス エナレテー