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数学において、ディリクレの単数定理(Dirichlet's unit theorem)は、ペーター・グスタフ・ディリクレ(Peter Gustav Dirichlet)による代数的整数論の基本的結果である[1]。ディリクレの単数定理は、代数体 K の代数的整数の環 OK の単数群のランク(rank)を決定する。レギュレータ(regulator)(もしくは、単数基準ともいう)は、どれくらい単数の「密度」があるかを決める正の実数である。
目次
1 ディリクレの単数定理
2 レギュレータ(単数基準)
2.1 例
3 高次レギュレータ
4 スタークレギュレータ
5 p-進レギュレータ
6 参照項目
7 脚注
8 参考文献
ディリクレの単数定理は、単数群が有限生成であり、ランク(rank)(乗法的に独立な元の最大数)がr = r1 + r2 ? 1 に等しいことを言っている。ここに r1 は、代数体 K の実埋め込みの数で、r2 は複素埋め込みの共役ペアの数である。この r1 と r2 の特徴付けは、複素数体への K の埋め込みが次数 n = [K : Q] と同じだけあるという考え方を基礎としている。これらの埋め込みは、実数への埋め込みか、または、複素共役のペアとなる埋め込みのいずれかであるので、n = r1 + 2r2 となる。 K が Q 上のガロア拡大であれば、r1 と r2 のいずれかは 0 でなく、両方が同時に 0 ではないことに注意する。 r1 と r2 を決定する他の方法は、 例として、K を二次体とすると、実二次体ではランクは 1 であり、虚二次体ではランクは 0 である。実二次体の理論は本質的には、ペル方程式の理論である。 ランクが 0 の Q と虚二次体を例外として除くと、全ての数体に対するランクは正になる。単数の「サイズ」は一般にレギュレータ(単数基準)と呼ばれる行列式により測られる。原理上は、単数の基底は実効的に計算することができるのであるが、その実際の計算は n が大きいときには非常に煩雑になる。 単数群の捩れ(torsion)は、K の 1 のすべての冪根の集合で、有限巡回群となる。少なくとも 1つの実埋め込みを持つ数体では、捩れは {1,?1} となるはずである。虚二次体のように、単数群の捩れが {1,?1} であるような実埋め込みを持たない数体もある。 総実体は単数の観点からは特別に重要である。L/K を次数が 1 より大きな有限次拡大として、L の単数群と K の単数群が同じランクとすると、K は総実で、L は総虚な二次拡大となる。逆もまた正しい。(例として、K が有理数体、L が虚二次体の場合、双方ともランク 0 である。) ヘルムート・ハッセ(Helmut Hasse)により(後日、クロード・シュヴァレー(Claude Chevalley)により)、単数定理は一般化され、整数環の局所化での単数群のランクを決定するS-単数
ディリクレの単数定理
原始元の定理を使い K = Q(α) と書くと、r1 はα の実数である共役元の数であり、2r2 は虚数である共役元の数である。
体のテンソル積K ?QR を体の積として書くと、これは、R の r1 個のコピーと r2 個の C のコピーの積である。
u1, ..., ur を 1 のべき根をmoduloとした単数群の生成元の集合とする。u が代数的数であれば、u1, ..., ur+1 を R や C への埋め込みとして、Nj をそれぞれ実埋め込み複素埋め込みに対応して 1, 2 とすると、各要素が N j log 。 u i j 。 {\displaystyle N_{j}\log |u_{i}^{j}|} である r × (r + 1) の行列は、どの行の和も 0 であるという性質をもつ(何故ならば、全ての単数はノルムが 1 であり、ノルムの log は、行の要素の和とであるからである)。このことは一つ列を除いて作られる部分行列の行列式の絶対値 R が除いた列にはよらないことを意味する。数値 R は代数体のレギュレータ(regulator)(あるいは、単数基準)と呼ばれる(この値は ui の選択には依存しない)。この値は単数の「密度」を測りものであり、レギュレータが小さいことは単数が豊富にあることを意味する。
レギュレータは次のような幾何学的な解釈を持つ。単数 u を行列の要素 N j log 。 u j 。 {\displaystyle N_{j}\log |u^{j}|} へ写す写像は、Rr+1 の r 次元部分空間の中に像を持ち、要素の和が 0 となる全てのベクトルからなり、ディリクレの単数定理により像はこの空間の中の格子となる。この格子の基本領域の体積は、R√(r+1) である。
次数が 2 以上の代数体のレギュレータは、現在は多くの場合に計算機代数のパッケージがあるが、普通、計算することが非常に難しい。普通は類数公式を使い類数 h にレギュレータをかけた積 hR を計算することは簡単であり、代数体の類数の計算の主な困難はレギュレータを計算することにある。
例Q へ f(x) = x3 + x2 ? 2x ? 1 の根を添加することで得られる三次の円分体の単数群の対数的な空間の基本領域。α は f(x) の根を表すと、基本単数の集合は {ε1, ε2} である。ここに ε1 = α2 + α ? 1 で ε2 = 2 ? α2 である。基本領域の面積はおよそ 0.910114 であるので、K のレギュレータはおよそ 0.525455 である。
虚二次体のレギュレータ、あるいは有理整数体のレギュレータは 1 である。(0×0 行列の行列式は 1 であるとして)
実二次体のレギュレータは、基本単数の log である。例えば、Q(√5) のレギュレータは log((√5 + 1)/2) である。このことは次のようにして分かる。基本単数は (√5 + 1)/2 であり、R への 2つの埋め込みの像は (√5 + 1)/2 と (?√5 + 1)/2 であるので、r × r + 1 の行列は、
[ 1 × log 。 5 + 1 2 。 , 1 × log 。 − 5 + 1 2 。 ] {\displaystyle \left[1\times \log \left|{{\sqrt {5}}+1 \over 2}\right|,\quad 1\times \log \left|{-{\sqrt {5}}+1 \over 2}\right|\ \right]} である。
α を x3 + x2 ? 2x ? 1 の根とすると、巡回三次体
高次レギュレータは、n > 1 に対して、古典的な単数基準が単数群でなした役割をもつ代数的K-群上の函数を構成することである。これは群 K1 である。そのようなレギュレータの理論は、発達してきていて、アルマン・ボレル(Armand Borel)や他の人たちが研究している。そのようなレギュレータは、例えばベイリンソン予想(Beilinson conjectures)で活躍し、議論の中で整数でのあるL-函数の評価していくことが期待されている。[4] スターク予想の定式化により、ハロルド・スターク(Harold Stark)は、現在はスタークレギュレータ(Stark regulator)と呼ばれているものを提唱した。彼は、古典的なレギュレータの類似物として、任意のアルティン表現
スタークレギュレータ