ディビジョンシリーズ
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ディビジョンシリーズ(: Division Series, DS)は、メジャーリーグベースボールの優勝チーム決定戦のファーストラウンド(一般のトーナメントフォーマットでいう「リーグセミファイナル(準決勝)」に相当)。ポストシーズンゲームの第2ラウンドであり、日本ではプレーオフ地区シリーズと訳される。ナショナルリーグ(National League Division Series, NLDS)とアメリカンリーグ(American League Division Series, ALDS)でそれぞれ開催される。

レギュラーシーズン終了後の10月に、リーグの地区優勝チームのうち成績上位2チーム、及びワイルドカードシリーズを勝ち上がった2チームの各リーグ合計4チームがリーグチャンピオンシップシリーズ、さらにはワールドシリーズ進出を賭けて戦う。
歴史・制度

50日間に及ぶストライキでシーズンが中断された1981年にも一年だけ行われた(後述)が、ここでは2022年より行われている現行制度について説明する。

1969年から1993年まで、ナショナルリーグアメリカンリーグでは、それぞれの所属チームは主に本拠地をどこに置いているかによってリーグ内でさらに東西2地区に分かれてペナントを争っており、各地区で行ったペナントの優勝チームが引き続きリーグでの優勝を決めるためにリーグチャンピオンシップシリーズを行っていた。1994年より東中西3地区制となったことで、リーグチャンピオンシップシリーズに出場するチームを決めるためのシリーズが必要になり、その結果ディビジョンシリーズが開催されることとなった。1994年は232日間に及ぶ長期ストライキのため開催されず、1995年がディビジョンシリーズのスタートとなった。1995-2011年まではプレーオフの1回戦であった。

レギュラーシーズンでの各地区優勝チーム(3チーム)の他に、両リーグ内でそれぞれ地区優勝チームを除くチームのうち最高勝率の3チームがワイルドカードとなり、地区優勝チームのうち成績上位の2チームと、ワイルドカードシリーズを勝ち抜いた2チームが、3戦先勝5試合制のディビジョンシリーズを戦う。勝ち抜いた2チームはリーグチャンピオンシップシリーズに進む。
組み合わせ

地区優勝3チームは成績順にシード1,2,3を与えられ、ワイルドカード3チームは成績順にシード4,5,6を与えられる。シードを決めるため、地区優勝を決めるため、ワイルドカードを選ぶために、勝率が同じチームが存在した場合はタイブレーカーが適用される。シード3と6が、そしてシード4,5がそれぞれワイルドカードシリーズを戦い、シード1,2は免除される。シード4と5の勝者がシード1と、シード3,6の勝者がシード2とディビジョンシリーズを戦う。

シード上位のチームにホームアドバンテージがあり、第1戦、第2戦、第5戦(2012年は第3戦?第5戦)を本拠地で開催する権利を得る。
1995年?1997年の組み合わせ方式

1995年から1997年まではホーム開催権のあるチーム(ホストチーム)があらかじめ決められており、ワイルドカードがホストチームおよび同じ地区のチームとは当たらないように対戦カードが組まれていた。そのため、対戦カードはワイルドカードチームの所属地区により決まっていた(この関係で、勝利数1位チームが勝利数2位チームと、ワイルドカードが勝利数3位チームと、それぞれ対戦することもあった)。開催球場も、第1・2戦がホストチームの本拠地、第3?5戦が他方の本拠地という形式だった。

1997年のアメリカンリーグディビジョンシリーズを例にすると
勝利数1位:ボルチモア・オリオールズ(東地区優勝、98勝)
勝利数2位:シアトル・マリナーズ(西地区優勝、90勝)
勝利数3位:クリーブランド・インディアンス(中地区優勝、86勝)
ワイルドカード:ニューヨーク・ヤンキース(東地区2位、96勝)

現行のルールであれば地区優勝チームの中で勝利数が一番多いオリオールズがワイルドカードのヤンキースと対戦するが、オリオールズとヤンキースが同じ東地区所属で、更にこの年のホストチームが西地区とワイルドカードであったことから、ワイルドカードのヤンキースが地区優勝チームの中で勝利数が一番少ないインディアンスと対戦し、オリオールズは地区優勝チームの中で勝利数が二番目のマリナーズと対戦した。
1998年?2011年の組み合わせ方式

1998年から2011年までは、勝利数1位のチームとワイルドカードが同じ地区に所属している場合は、勝利数1位チームは勝利数3位チームと対戦し、勝利数2位チームとワイルドカードが対戦し、ディビジョンシリーズでは同じ地区に所属している球団同士が対戦しないようなシステムとなっていた。ワイルドカードから見れば、対戦相手は必ず別の地区の地区優勝2チームのうちの勝利数の多いほうとなっていた。なお、地区1位に2球団が並び、両球団ともポストシーズンに進出できる場合は、当該チーム同士の対戦成績で勝ち越しているほうが地区優勝チーム、他方はワイルドカードとなっていた。

2005年のナショナルリーグディビジョンシリーズを例にすると
勝利数1位:セントルイス・カージナルス(中地区優勝、100勝)
勝利数2位:アトランタ・ブレーブス(東地区優勝、90勝)
勝利数3位:サンディエゴ・パドレス(西地区優勝、82勝)
ワイルドカード:ヒューストン・アストロズ(中地区2位、89勝)
本来ならば地区優勝チームの中で勝利数が一番多いカージナルスがワイルドカードのアストロズと対戦するが、カージナルスとアストロズが同じ中地区所属のため、カージナルスは地区優勝チームの中で勝利数が一番少ないパドレスと対戦し、アストロズは地区優勝チームの中で勝利数が二番目のブレーブスと対戦した。ホームアドバンテージはカージナルスとブレーブスに与えられた。
2012年?2021年の組み合わせ

対戦カードは、3地区優勝チームの中で「レギュラーシーズンの勝利数1位チームとワイルドカードゲーム勝者」の対戦と「勝利数2位のチームと勝利数3位のチーム」の対戦となっていた。これは勝利数1位のチームとワイルドカードゲーム勝者が同地区の場合も同様であった。

ワイルドカードは勝利数で地区優勝チームを上回ってもホームアドバンテージは得られず、地区優勝チームとワイルドカードでの対戦では常に地区優勝チームにホームアドバンテージがあった。これはリーグチャンピオンシップシリーズも同様であった。
2022年以後の組み合わせ

2022年度からは、プレーオフ参加チームが12チーム(各リーグにつき6チーム。ワイルドカードへのノミネートが各地区の2位以下の中から勝率3位までに拡大)に拡大し、1位チームのうちの勝率1・2位が当シリーズにシード(それぞれ第1・2シード)、3位チーム(第3シード)はワイルドカードシリーズで、ワイルドカードにノミネートされた3チームのうちで最も勝率の低かったチーム(第6シード)と3戦2勝制で対戦し、そこで勝ち抜けばディビジョンシリーズに駒を進められるようになった。

このため、ディビジョンシリーズの組み合わせも「1位チームの最高勝率チーム対(ワイルドカードノミネートチームのうちで勝率1位(第4シード)対2位(第5シード)のチーム間の対戦の勝者)」、「1位チームの勝率2位チーム対(1位チームの勝率3位チーム対ワイルドカードノミネートチームの勝率3位のチーム間での対戦の勝者)」とで従来通り5戦3勝制を争う。ホームゲームアドバンテージ(第1・2・5戦の主管権利)は、第1・2シードのチームに与えられる。
移動日

第2戦と第3戦の間および、第4戦と第5戦の間には1日移動日を設ける。2006年までは移動日なしで第4戦の翌日に第5戦を行っていたが、ホームアドバンテージが導入されて2試合-2試合-1試合となった1998年以降は、もつれ込んだ場合に長距離の移動も含め、日程的にも非常にきついものとなっていた(最初の3年間は2試合-3試合で、第5戦は第4戦と同じ球場で開催されたため、移動日自体設ける必要が無かった)。そのためか、2007年から第4戦と第5戦の間にも移動日が設けられた。なお2012年はワイルドカードゲームの新設がレギュラーシーズンの日程発表後に決定されたため、ディビジョンシリーズが第5戦までもつれた際の移動日をなくして日程を円滑に進める目的でこの年に限り2試合-3試合に戻された。

例えば2005年のアメリカンリーグディビジョンシリーズロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムニューヨーク・ヤンキースが対戦した時には、10月9日にニューヨークヤンキー・スタジアムで第4戦を行った翌10月10日に、移動日なしで西海岸のアナハイムに移動して、第5戦を行った。勝ったエンゼルスは翌日にはシカゴに移動してシカゴ・ホワイトソックスリーグチャンピオンシップシリーズ第1戦を戦った。

なお2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止対策を理由として、ワイルドカードを含む各リーグのポストシーズンへのノミネートを8チームに拡大し、集中開催とする観点から、従来の試合方式を維持しつつ中立地開催とし、アメリカン・リーグはドジャー・スタジアムペトコ・パーク、ナショナル・リーグはグローブライフ・フィールドミニッツメイド・パークのそれぞれ2会場で開催する。また移動・休養日を挟まずに行われる[1]
勝利チーム(1995年以後)

ワールドシリーズ進出ワイルドカードワイルドカードから


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