ディジタル・イクイップメント・コーポレーション
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ディジタル・イクイップメント・コーポレーション
Digital Equipment Corporation

略称DEC
本社所在地 アメリカ合衆国
マサチューセッツ州メイナード
設立1957年
業種電気機器
事業内容PDP, VAX, Alpha, DECnet, VT100, StrongARM, Digital Linear Tape
従業員数140,000人以上(1987年時点)
関係する人物ケン・オルセン
ゴードン・ベル
特記事項:1998年コンパックへ吸収合併。2002年ヒューレット・パッカードがコンパックを吸収合併。
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1957年から1992年まで本社が置かれていた Clock Tower Place(かつてのウール工場)

ディジタル・イクイップメント・コーポレーション (Digital Equipment Corporation) は、かつてアメリカ合衆国を代表したコンピュータ企業の一つ。1957年ケン・オルセンによってマサチューセッツ州メイナードに設立された。略称「DEC(デック)[注 1]」。欧米では「Digital」と略称されることも多い。

DECのPDPシリーズVAXシリーズは、1970年代1980年代の科学技術分野において最も一般的なミニコンピュータだった。DECの本社1957年から1992年まで、マサチューセッツ州メイナードにあるかつてウール工場であった Clock Tower Place に置かれていた。

1998年コンパックに買収された。そのコンパックがさらに2001年ヒューレット・パッカード (HP) に買収されたことから、DECの製品群はHPのブランド名で販売されている。かつてのDECの一部事業(特にコンパイラ関連)やマサチューセッツ州ハドソンの工場はインテルに売却された。詳細は「#終焉」の節を参照。

ロゴマーク青色や会社規模から、IBMの愛称"Big Blue"に対して、"Small Blue"の愛称で呼ばれた。後にロゴマークは青色からバーガンディへ変更された。

なお、社名に「Digital」を用いるデジタルリサーチウェスタン・デジタルとは無関係である。
概要

当初は小型コンピュータ市場に集中したため、DECは強力なライバルのいない市場で成長することができた。1960年代にはPDPシリーズ、特に世界初の成功したミニコンピュータと言われるPDP-8が人気となった。1970年に発売したPDP-11はそれまでの小型機に取って代わり、DECはコンピュータ業界での地位を確立。PDP-11の後継として設計されたVAX-11は、32ビットミニコンピュータの先駆けとなり「スーパーミニコンピュータ」とも呼ばれた。これらは様々な場面でSystem/370などのメインフレームとも競合した。VAXシリーズもベストセラーとなり、同社が1980年代に世界第2位のコンピュータ企業となる原動力となった。最盛期にはマサチューセッツ州で州政府に次ぐ第2位の雇用者となっている。

1980年代後半にパーソナルコンピュータ市場が成長し、1990年代には強力な32ビットシステムがいくつも登場するようになると、DECのシェアは素早く侵食され始めた。DECの生き残りをかけた最後の大きな挑戦が、64ビットRISCプロセッサアーキテクチャDEC Alpha」であった。当初、VAXシリーズをAlphaで再実装しようとしたが、同時に高性能ワークステーションにも採用された。Alphaは良い性能を発揮したが、DECの業績を上向かせることはできなかった。

1998年6月、コンパックがDECを買収。当時のコンピュータ業界では最大となる買収であった。当時のコンパックは企業市場を中心に据える戦略をとっており、他にも大企業をいくつか買収している。その中でもDECはコンパックの弱点だったアメリカ国外で強かった。しかしコンパックは買収した企業群をその後どうするかについて明確なビジョンを持っていなかったため、財政的に苦境に立たされることになる。結局2002年5月、ヒューレット・パッカード (HP) がコンパックを吸収合併した。2007年時点でもDECの一部製品をHPが製造販売していた。
日本法人

日本 ディジタル イクイップメント株式会社
Digital Equipment Corporation Japan略称日本DEC
本社所在地
日本
東京都豊島区東池袋 サンシャイン60 35階
東京都杉並区上荻1丁目2-1
設立1982年9月24日
業種電気機器
事業内容米国本社で開発・製造されたコンピュータ、ネットワーク製品、周辺装置、ソフトウェアの日本国内における販売・サービス、他社製品を含めたクライアント・サーバーソリューション
従業員数2,715人(1997年9月時点)[1]
特記事項:1998年10月、コンパックコンピュータ株式会社へ吸収合併。
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日本では、コアメモリを輸入販売していた理経(当時、理経産業)がDECのコアメモリ用検査装置を扱うことになり、これが縁になって同社のミニコンピュータの営業も開始した。1964年、日本で最初のDEC製ミニコンピュータとしてPDP-5東京大学原子核研究所へ納入した[2][3]

DECの日本支社は、1968年4月に8人の保守サービス部門からなるディジタル・イクイップメント・コーポレーション・インターナショナル・日本支社(略称:DEC日本支社)として設立され、販売代理店の理経が納入したミニコンピュータの保守サービスのみを手掛けることから始まった。1969年1月に営業部を設置し、理経の営業活動を支援した。1971年9月に大阪サービスセンターを開設、11月にソフトウェアサービス部を設置、1972年8月に製品開発部を設置し、日本での製品開発を本格化した。1973年7月、DEC日本支社が全製品の直接輸入販売を行うことになり、理経はDEC日本支社の代理店という位置づけになった[3]

当時、外資法により外国資本会社が日本で製品を製造するには日本企業との合弁で日本法人を設立する必要があったが、DECは現地法人の設立を全額出資とすることに固執した[3]

1980年に外資法が廃止され、その2年後の1982年、米国DECの100%子会社として日本 ディジタル イクイップメント株式会社(英文社名:Digital Equipment Corporation Japan、略称:日本DEC)が設立された[1]。1976年の売上高は36億円、1981年は190億円、1988年には730億円に急成長した[4]。1987年9月には千葉県市川市行徳の検査工場にVAXの組立ラインを設置し、日本での生産を開始した[5][6]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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