ディオネ_(衛星)
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ディオネ
Dione

仮符号・別名別名 Saturn IV
分類土星の衛星
発見
発見年1684年3月21日[1]
発見者ジョヴァンニ・カッシーニ
軌道要素と性質
軌道長半径 (a)377,415 km[2]
離心率 (e)0.0022[2]
公転周期 (P)2.737 日[2]
(65時間 41分 5秒)
軌道傾斜角 (i)0.028°[2]
近日点引数 (ω)284.315°[2]
昇交点黄経 (Ω)290.415°[2]
平均近点角 (M)322.232°[2]
土星の衛星
物理的性質
三軸径1128.8?×?1122.6?×?1119.2 km[3]
平均直径1122.8±0.8 km[3]
表面積3,964,776.51 km2[1]
質量(1.095452±0.000168)×1021 kg[4]
平均密度1.478±0.003 g/cm3[3]
表面重力0.24 m/s2
脱出速度0.51 km/s
自転周期65時間 41分 5秒
(同期回転)
アルベド(反射能)0.998±0.004[5]
(幾何アルベド)
赤道傾斜角0
表面温度87 K
大気の性質
大気圧2.9×10?7 Pa
酸素100%
Template (ノート 解説) ■Project

ディオネ[6]またはディオーネ[7] (Saturn IV Dione) は、土星の第4衛星である。1684年3月21日にジョヴァンニ・カッシーニによってテティスと共に発見された[8]
概要 ディオネの表面。色の違いを分かりやすくするために色彩を強調している。

ディオネは土星の衛星では4番目に大きく、密度はタイタンフェーベに次ぐ。岩石を含むが主成分であると見られている。公転方向前側の半球はクレーターが多く明るい表面を持つ。一方で後側の半球は暗く、クレーターは少ない。後行半球には網目状の線があり、これは形成直後の内部活動で生じたと考えられている。これらの性質はレアに似ている。

2011年の無人探査機カッシーニの観測により、極めて薄いながら、酸素を主成分とする大気が存在することが分かった[9]。これは土星の荷電粒子が表面の氷を分解して生じさせていると考えられている。気圧は2.9×10?7 Paという極めて低いものであり、この気圧は地球の483 kmの高度に相当する。

また、同じくカッシーニのデータから、ディオネの北半球に存在する長さ約800 km の隆起地形である Janiculum Dorsa を調べた結果、氷の湾曲の度合いから、その場所が過去に高温になっていることが推定された。このことから、氷を主体とする他の衛星と同様、地下に海が存在することが示唆されている[10]

ディオネの公転軌道上にはトロヤ衛星がある。ラグランジュ点 L4 にはヘレネ、L5 にはポリデウケスが存在する。
発見と命名

ディオネは1684年3月21日に、ジョヴァンニ・カッシーニによってテティスと共に発見された。カッシーニはそれ以前にもレアイアペトゥスを発見している[11]。これらの衛星は、カッシーニがパリ天文台に設置した大型の空気望遠鏡を用いて観測された[12]

カッシーニは自らが発見した4つの衛星に対して、ルイ14世を讃えて Sidera Lodoicea と名付けた。これは「ルイの星」という意味である[13]。17世紀の終わりになると、天文学者はこれらの4衛星とタイタンをあわせ、Saturn I から Saturn V というように番号で呼ぶようになった。1789年にミマスエンケラドゥスが発見されるとこの命名方法は Saturn VII まで拡張され、古い5衛星の番号を押し上げる形で番号が振り直された。この方式が続いたのは1848年にヒペリオンが発見されるまでであり、この時はイアペトゥスの番号が Saturn VIII に変更された。

これらの7つの衛星に現在知られている名前を与えたのは、天文学者のジョン・ハーシェルである。彼はミマスとエンケラドゥスの発見者であるウィリアム・ハーシェルの息子である。1847年に発表した『Results of Astronomical Observations made at the Cape of Good Hope』の中で、7つの衛星に対して命名した。ディオネの名前は他の土星の衛星と同じく、ギリシア神話の巨人族(ティーターン)の1人ディオーネーに因む。ディオーネーはクロノスの姉で、またゼウスとの間にアプロディーテーをもうけたとされる[8]
軌道

ディオネの軌道長半径は 377,415 km であり[2]、これは地球の軌道長半径より 2% ほど小さい。しかし土星の質量は地球のおよそ95倍と大きいため、ディオネの軌道周期は月の10分の1程度である。

現在のディオネはエンケラドゥスと1:2の平均運動共鳴を起こしており、エンケラドゥスが土星を2周する間にディオネは土星を1周する。この共鳴は両衛星の軌道離心率を一定の値 (ディオネ:0.0022、エンケラドゥス:0.0047) に維持しており、その結果として両衛星内部での潮汐加熱を生じさせる[14]。この潮汐加熱は、特に活発な噴出活動を行っていることが知られるエンケラドゥスの地質活動を考える上で重要となる。同様に、ディオネ内部での潮汐加熱に対しても重要である[15]

ディオネは自身の軌道上に共回転するトロヤ衛星であるヘレネポリデウケスを持っている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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