テロメア
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テレビ朝日系列の深夜枠で放映されていたテレビドラマについては「サイバー美少女テロメア」をご覧ください。
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2011年8月)
染色体(左)とテロメア(右・拡大):詳細は本文を参照

テロメア (telomere) は真核生物染色体の末端部にある構造。染色体末端を保護する役目をもつ[1]。telomere はギリシア語で「末端」を意味する τ?λο? (telos) と「部分」を意味する μ?ρο? (meros) から作られた語である。末端小粒(まったんしょうりゅう)とも訳される。
概要

テロメアは特徴的な繰り返し配列をもつDNAと、様々なタンパク質からなる構造である。DNAは5'末端から3'末端に向かって複製される(DNA複製参照)。したがって、鋳型DNAの片方はDNA二重鎖がほどけると同時に複製されるが、もう片方は何度もDNAポリメラーゼ(DNAを複製)が働くこととなり、どうしても複製できない部分が残ってしまう。それを補うために無意味な繰り返し配列=テロメアがある。

真核生物染色体は直線状であり、DNAには末端が存在する。細胞内に存在するテロメア以外のDNA末端は、感染したウイルスに由来するものや、DNA損傷による切断によって生じたものである。これらの末端は細胞がもつDNA分解酵素DNA修復機構の標的となるが、テロメアのDNA末端は正常なものであり、このような分解や修復を受けてはならない。そのためテロメアはその特異な構造により、DNAの分解や修復から染色体を保護し、物理的および遺伝的な安定性を保つ働きをする。テロメアを欠いた染色体は、細胞によって異常なDNA末端と見なされ、酵素による分解や、修復機構による染色体末端どうしの異常な融合が起こる。このような染色体の不安定化は細胞死や発ガンの原因となる。また、テロメアは細胞分裂における染色体の正常な分配に必要とされる。

テロメアの伸長はテロメラーゼと呼ばれる酵素によって行われる。この酵素がない細胞では、細胞分裂のたびにテロメアが短くなる。テロメラーゼはヒト体細胞では発現していないか、弱い活性しかもたない。そのため、ヒトの体細胞を取り出して培養すると、テロメアの短縮が起こる。テロメアが一定長より短くなると不可逆的に増殖を止め、細胞老化と呼ばれる状態になる。細胞老化は細胞分裂を止めることで、前述のようなテロメア欠失による染色体の不安定化が起こることを阻止し、発ガンなどから細胞を守る働きがあると考えられている。

テロメアの短縮は細胞老化の十分条件ではあるものの必要条件ではない。また老化した動物やクローン羊ドリーではテロメアが短かったことが報告されており、テロメア短縮による細胞の老化が、個体の老化の原因となることが示唆された。
その後の研究例では、メダカではテロメラーゼの活性が、成長過程にある若齢では極めて高く体細胞分裂後もテロメアを延伸し長さを維持しているが、成長期が終わりほとんど体重増加が認められなくなる1歳齢以降は、加齢に従い活性が低下し維持されるテロメア長も徐々に短くなる[2][3]ことが判明した。ある齢以降に体細胞のテロメラーゼ活性が低下することがテロメア短縮を引き起こし、その結果、老化し死に至るのではないか思われる。つまり、メダカではテロメラーゼ活性を制御することでテロメアの長さを制御し、体細胞=個体を老化させ老衰死に導いているのであろう。
なお、テロメアの構造・長さ・配列・維持機構などは生物種によって多様であり、本項目では主にヒトマウス出芽酵母について述べる。また、原核生物ミトコンドリアなどの染色体は環状で末端がないため、テロメアも存在しない。
テロメア研究の略史

テロメアは1930年代に細胞遺伝学的研究から発見、定義された。分子生物学の発展によりDNAの複製機構が明らかになると、直鎖状DNAの複製問題が浮上したが、これはテロメア合成酵素であるテロメラーゼの発見によって1985年に解決をみた。現在ではより詳細な分子機構の研究が行われている。
細胞遺伝学による定義

テロメアはハーマン・J・マラー(1938年)とバーバラ・マクリントック(1939年)によって報告された。マラーはショウジョウバエに対するX線照射によって生じる染色体逆位の細胞学的研究から、染色体は末端を欠くと末端同士の融合などがおこることを発見し、テロメアを「染色体の末端を保護する染色体の要素」と定義した。マクリントックはトウモロコシを用いた遺伝学的研究から、染色体の末端にはキャップ構造があることを推測した。当時はモーガンらの研究により染色体が遺伝子の担体であることは分かっていたが、DNAが遺伝物質であることはまだ明らかにされていなかった。
末端複製問題と細胞老化末端複製問題とテロメア:左)DNAはDNAポリメラーゼ(青丸)によって複製されるが、最末端のプライマー(赤線)部分は複製されない。このため、複製のたびにDNAは短縮し、最後にはなくなってしまうはず。これが「末端複製問題」である。右)生殖細胞やがん細胞ではテロメラーゼによって末端部分の複製が行われる。テロメラーゼ活性がない体細胞では分裂ごとに短縮がおこり、一定以上短くなると分裂を停止し細胞老化が起こる。

1970年代初期になると、分子生物学の発展とともにDNA複製の分子機構が明らかになりはじめる。DNAの合成はDNAポリメラーゼによって行われるが、この酵素によるDNAの生合成には方向性があり、複製を開始するために核酸の断片(プライマー)を必要とすることがわかった。つまり、この酵素は既にある核酸断片を一方向に延長することしかできない。生体内ではプライマーは別の酵素(DNAプライマーゼ)によって作られるRNA断片が用いられ、この断片は複製後に除去されるため、真核生物の直鎖状染色体DNAの末端は一度複製される毎にプライマーの長さだけ短くなると推測された。したがって世代を経るうちに染色体はなくなってしまうことになるが、これまで実際に染色体は維持され続けてきたのであり、矛盾が生じる。このことはアレクセイ・オロヴニコフ(1973年)[4]ジェームズ・ワトソン(1973年)によって提示され、「テロメア問題」や「末端複製問題」と呼ばれた。なお、真正細菌のゲノムやプラスミドなど、末端のない環状DNAではこの問題は起こらない。一部のウイルスも直鎖状ゲノムをもつが、ゲノムDNAを直線的に連結させたり、感染したのちに環状構造をとることで末端複製問題を回避している。

一方、1960年代にはヒトの培養細胞を用いた研究で、体細胞組織から取り出した細胞には分裂回数に制限があり、それを越えると細胞は増殖を停止することが報告された[5]。この現象は発見者の名前をとって「ヘイフリック限界」と呼ばれる。また、細胞分裂が停止したこの状態を、個体の老化になぞらえ「細胞老化」と呼ぶようになった。その後の研究で、細胞老化状態にある細胞ではテロメアが短くなっていることが観察され、テロメアの長さが細胞の分裂回数を制限している可能性が示唆されていた。
テロメア配列とテロメラーゼの同定

テロメアの塩基配列は、1978年にエリザベス・H・ブラックバーンとジョゼフ・ゴール(英語版)により、単細胞真核生物のテトラヒメナを用いた研究で最初に明らかにされた。ブラックバーン、キャロル・W・グライダージャック・W・ショスタクは、テロメアとテロメラーゼ機能の研究[6][7][8][9]から、2006年にアルバート・ラスカー医学研究賞2009年ノーベル生理学・医学賞を共同受賞している。


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