テリー・ギリアムのドン・キホーテ
The Man Who Killed Don Quixote
第71回カンヌ国際映画祭での監督と主要キャスト
監督テリー・ギリアム
脚本トニー・グリソーニ
『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(英: The Man Who Killed Don Quixote)は、テリー・ギリアム監督による2018年のファンタジー・アドベンチャー・コメディ映画。ミゲル・デ・セルバンテスの小説『ドン・キホーテ』を題材としている。映画史最大の開発地獄に陥った作品のひとつとして悪名高く、ギリアムは19年間の間に9回映画化に挑戦してその都度失敗した[9][10][11][12][13][14]。この映画の日本語版公式サイトでは「映画史に刻まれる呪われた企画」と銘打たれている[9]。
脚本はギリアムとトニー・グリソーニ(英語版)が担当。原題は直訳すると「ドン・キホーテを殺した男」で、完成して正式な邦題が決まるまでは長らくこの名で呼ばれていた。 CM監督のトビーは小説「ドン・キホーテ」の偏執的なファンで、スペインで同作をモチーフにしたCMを撮っていたが、撮影に行き詰まり、いつまでも完成しなかった。夜にホテルで開かれた、自身の上司(通称:ボス)が主催する企画会議を兼ねた夕食会で、トビーはジプシーの男から海賊版DVDを売りつけられる。それは自身が10年前の学生時代に撮影した卒業制作映画で、やはり「ドン・キホーテ」を題材とした、現地の村人たちを役者に起用したものだった。行き詰まりを打開しようと、インスピレーションを得るべくDVDを観たくなったトビーは、夜更け、ボスの妻・ジャッキの部屋をたずね、映画を観ようとするが、好色なジャッキに誘惑される。さらに出張のはずだったボスの急な帰りに我を失い、変装して部屋を逃げ出す。 翌朝トビーは、卒業制作映画の舞台となった村がCM撮影現場の近くだったことに気付き、バイクを借りて向かう。再訪した村でトビーは、ヒロイン・ドゥルシネア姫
ストーリー
バイクのナンバーを目撃されたために、警察がCM撮影現場に急行し、トビーは護送車へ押し込まれる。護送車にはジャッキの部屋に入った「泥棒」として誤認逮捕されたジプシーの男もいた。道すがら、護送車の前に愛馬ロシナンテに跨がったハビエル(以後、ドン・キホーテ)が立ちふさがり、制止しようとした警官のひとりが誤射で死亡する。ジプシーはこの隙を見てどこかへ逃亡する。警察の追跡を恐れたトビーは、ドン・キホーテとあてのない旅をすることになる。
道中ドン・キホーテは、風車を巨人と見間違え、巨人が女性を襲おうとしていると思い込んで突撃し、怪我を負う。トビーはこの女性の住む村へドン・キホーテを担ぎ込むが、村が壁に囲まれた異様な構造であることや、住人がムスリムであることを知り、過激派のテロリストの巣窟ではないかとおびえ、夜更けを待って脱出を試みる。そこへ突如、中世の異端尋問官が異教徒の取り締まりのために現れる。ひそかに紛れ込んでいたジプシーがおとりとなり、村は救われる。しかしこれらはすべて、眠るトビーが見た夢であった。翌朝には不法滞在者である住人たちの取り締まりのために警察が村に現れ、トビーとドン・キホーテは村を離れる。
旅の途中で金貨を見つけたトビーは、岩場に隠そうとして岩の割れ目に転落する。落ちた先は滝壺で、トビーはそこで行水をしていたアンヘリカと再会する。アンヘリカは女優としてのチャンスをつかむため、「ウォッカ王」ことロシア系(英語版)の実業家・アレクセイの情婦となったことを明かす。そこへ現れたドン・キホーテに対し、アンヘリカは臆することなく当然のようにドゥルシネア姫としてふるまい、騎士であるドン・キホーテに敬意を示す。その後アンヘリカは迎えに来たアレクセイの部下とともに滝壺を離れた。
そんなドン・キホーテとトビーの前に、鏡で覆われた鎧を着た騎士が現れ、「決闘を申し込む。