チュルク祖語(チュルクそご、英: Proto-Turkic、露: Пратюркский、土: Ana Turkce, On Turkce, Proto Turkce、あるいはテュルク祖語)は、チュルク語族の祖語の言語。チュルク語族諸言語から歴史比較言語学的手法により再構された。
かつては、系統関係の研究により、ウラル・アルタイ語族、その後は、アルタイ語族に属するとされていた。しかし近年は、これらの系統関係はどれも通説ではなくなっている。 *e 以外のすべての母音は長母音を持つ(長母音はマクロンで示されている)。 第一音節に弱化母音は現れないが、長母音が出現できる。 第一音節の母音前後 かつてはチュヴァシ語の i に対応する古チュルク語の a に対して後母音系列非円唇の位置に *e が再構されたが、現在では否定されている。 非第一音節には長母音がないが、弱化母音が出現できる。弱化母音はブレーヴェによって示される。古チュルク語では弱化した高母音が失われて、連鎖推移
音韻体系
母音
円唇非円唇円唇非円唇
高母音*u, *?*i, *?*u, *?*i, i?
半高母音(英: half-low vowels)*o, *?*?, *??*o, *?―
低母音*e*a, *?
非第一音節の母音前後 現在知られているすべてのチュルク諸語には、それ以前の段階に二重母音が存在したり、*w や *y のような半母音を伴った母音があったりした証拠はないが、一部の借用語などからこの可能性は排除できない。 正確な音声的特徴は不明だが、チュルク祖語の阻害音には硬音と軟音の対立があったことが分かっている。 唇音歯茎音口蓋化音舌背音 *n, *m, *?, *l, *r, *z は頭子音として現れない。(*? は現れるので注意) チュルク祖語よりも古い段階で *k : *g, *t : *d の対立も中和されていたため、*g と *d はモンゴル語族などとの(借用語の)比較を通じてしか知ることができない。また特に *g はモンゴル語族と接触した時点でもすでに語頭で失われていたらしく、再構の根拠をえることが難しい。 チュルク祖語よりも古い段階の語頭の *p は両唇摩擦音の段階を経たのちに *h(*x とも書かれる)に変化し、*h はウズベク語などをのぞくほとんどの子孫で失われた。*h は古チュルク文字では表記されていないが、チベット語話者・中国語話者による音写から一部の古チュルク語の方言では保存されていたことが分かっている。 語頭の *? はより早い段階の *si- に由来する。 モンゴル語族との(借用語の)比較から、チュルク祖語の語頭の *y は *y-, *d(i)-, *? に由来していることが分かっている。これらはそれぞれモンゴル語の y-, d(i)-, ni- に対応する。*y- は多くのチュルク諸語でその起源に関係なく *? に変化している。 Eva Agnes Csato Johanson & Lars Johanson (1998, eds.).The Turkic Languages, Routledge. ポントス・カスピ諸語
円唇非円唇円唇非円唇
高母音*u, *u?*i, *?*u, *?*i, i?
半高母音*o, *o?*?, *??*o, *?―
低母音*e, *?*a, *?
二重母音の可能性
子音
破裂音硬音(*p)*t*k
軟音*b(*d)(*g)
破擦音硬音*?
軟音なし
摩擦音硬音*s*?*h
軟音*z
鼻音*m*n*?*?
側面音*l
ローティック*r
接近音*y
頭子音
語頭の阻害音
*y-
関連項目
チュルク語族
アルタイ諸語
古チュルク語
ツングース祖語
モンゴル祖語
参考文献
脚註
表
話
編
歴
チュルク語族
祖語
チュルク祖語
共通チュルク語派
ウズベク語
キプチャク語群
クリミア・タタール語
カラチャイ・バルカル語
カライム語
クマン語†
キプチャク語
クリムチャク語
クムク語
ウルム語
アラル・カスピ諸語
シベリア・タタール語
フェルガナ・キプチャク語(英語版)†
カラカルパク語
カザフ語
ノガイ語