この項目では、総称としてのテトラサイクリン系抗生物質について説明しています。同名の抗生物質については「テトラサイクリン」をご覧ください。
テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリンけいこうせいぶっしつ、英: tetracycline antibiotics, tetracycline class, tetracyclines、略: TC系, TC類, TCs, TETs)は、一群の広域スペクトラム性抗生物質
(英語版)の総称である。テトラサイクリンという名称は、四つの (tetra-) 炭化水素からなる有機環 (cycl-) の誘導体 (-ine) という意味である。TC系の抗菌スペクトラムは、全ての抗生物質で最も広い部類に属している。抗菌作用のない化学修飾されたCMTs (Chemically Modified Tetracyclines) の研究も進んでいる。薬剤耐性の出現によってかなり有用性が低下している[11]。しかし、他の薬剤にない優れた特性を持つため、現在でも一部の状況では処方される。 TC系は骨や歯牙形成への有害作用が示唆されているため、妊婦や授乳中の母親、8歳未満の小児への投与は可能な限り避けられるべきである[12]。しかし、ラットの試験で骨・歯・腎臓に黄色の紫外線蛍光が認められているドキシサイクリンは[13]、8歳未満が使用した場合でも歯牙黄染やエナメル質形成不全、色の違いなどが全く認められなかったとの報告もある[14]。 なお、組織学(顕微解剖学)、発生学など医学、生物学系のいくつかの研究分野では、この色素沈着(青灰色)作用をうまく使って、生きた研究対象動物の骨組織、歯牙組織などの硬組織を着色することがある。着色するに至らない微量の沈着でも、紫外線の照射によって蛍光を発するため、蛍光顕微鏡下で容易に沈着部位を検出することができる。これによって、骨新生や骨の発育やその変化などを実験的に研究することが可能である。水産学の分野では、魚などの耳石(平衡石 いくつかの薬剤との併用により本来の薬理作用を減じたり、あるいは増強する薬物相互作用が報告されている[15]。 ドキシサイクリン使用による炎症性腸疾患 (IBD) のハザード比は1.63 (95%CI:1.05-2.52)、クローン病 (CD) のハザード比は2.25 (95%CI:1.27-4.00) と示されている。また、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリンも関連を示している[16]。 光感受性
禁忌
相互作用
カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄剤、ビスマス塩
抗凝血剤
カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、バルビツール酸誘導体
スルホニル尿素系血糖降下薬
副作用詳細は「ドキシサイクリン#副作用」、「ミノサイクリン#主な副作用」、「テトラサイクリン#副作用」、「オキシテトラサイクリン#副作用」、および「クロルテトラサイクリン」を参照