この項目では、テッポウエビ科テッポウエビ属の一種について説明しています。より広義の、本種を含む分類群については「テッポウエビ科」をご覧ください。
テッポウエビ
極東連邦大学科学博物館所蔵標本。鉗脚(はさみ)が左右非相称。生時の体色は失われている。
分類(De Grave et al. 2009)
テッポウエビ(鉄砲蝦)、学名 Alpheus brevicristatus は、十脚目テッポウエビ科に分類されるエビの一種。日本を含む東アジア沿岸海域に分布し、内湾・浅海の砂泥底に生息する。日本各地の干潟で見られるテッポウエビ科の中では最大級であり、よく知られた種類でもある[1][2][3][4][5]。 成体は体長50-70mmほど[1][2][3][4]、さらに第一歩脚は大きな鉗脚(かんきゃく : はさみ)として発達し、これを含めると大型個体は100mmを超える。 額角は棘状で短く、その両端に小さな複眼が黒点として確認できるが、これは頭胸甲に覆われている。第一歩脚は左右で太さと形態が異なる。大きい方は掌部(中ほどの関節からはさみのつけ根まで)は指部(はさみ)の3倍ほど長くて重厚、指部は短いが太くて鋭い。小さい方は逆に指部が掌部の3倍あり、咬み合わせ部分に隙間がある細長いはさみとなる[1][2]。大きい方のはさみを一旦開いてかち合わせ、「パチン!」という大きな破裂音を出すことができる。これはキャビテーションの原理を利用したもので、敵に遭遇した時の威嚇や、獲物を気絶させる時にこの行動を行う[2][4]。第二歩脚も鉗脚だが、第一歩脚より細く、はさみも小さい。生時の体色は淡緑褐色で、背面には淡い白斑が散らばる[3]。頭胸甲上には斜めの細い帯模様が2-3本あるが背面で途切れる。またこのキャビテーション時に生じるバブルパルスによって水分子が水電解反応しイオン化した酸素と水素から再び水分子合成反応熱により4400℃のプラズマ状態に達するソノルミネッセンスが観測される。[6][7]また、これによって発生した気泡は時速100キロ以上の速さで獲物に向けて放出され、約218デシベル(至近で聞く落雷の音量約140デシベルより大きく耳に危険な音量[8])の音が1秒程度鳴る[9]。 類似種はオニテッポウエビ
形態
生態