テオフィリン
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
1,3-Dimethyl-7H-purine-2,6-dione
臨床データ
Drugs.com
テオフィリン(英語: Theophylline)は、茶葉に含まれる苦味成分であり、アルカロイドの一種で、カフェインやテオブロミンと同じキサンチン誘導体に分類される。強力な気管支拡張作用があり、医薬品として、気管支喘息や慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器系疾患の治療に用いられる。しかしその際に、副作用で痙攣を起こすことがあり問題になっている。茶葉に含まれる量は、医薬品として用いられる量に比べて非常に少ない。カフェインが肝臓で代謝される際の産生物の一部である[1]。テオフィリンの作用は主として、ホスホジエステラーゼの阻害によるセカンドメッセンジャーとしての細胞内cAMP濃度の増大によるものである。
日本における商品名はテオロング(エーザイ)、テオドール(田辺三菱製薬)、ユニフィル(大塚製薬)などがあるが、この他に現在は後発医薬品が各社から販売されている。徐放錠剤、徐放顆粒剤、内用液、シロップ剤等が存在する。
効能・効果テオドール錠100mg
(田辺三菱製薬)
非徐放性の経口液は早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)に使用される。
薬理学的なテオフィリンの作用を列挙すると、
気管支平滑筋の弛緩
心筋の収縮力の増強(正の変力作用(英語版))
心拍数の増加(正の変時作用(英語版))[2]
血圧の上昇
腎血流量の増加
抗炎症作用
中枢神経系の刺激作用(主に延髄の呼吸中枢)
アデノシン作用(睡眠誘導、気管支平滑筋収縮、心筋弛緩)の遮断
である。 2008年に報告された臨床研究では、無臭覚症 重大な副作用には、 が挙げられている[4]。 テオフィリンは様々な薬剤と相互作用を起こし、血中濃度上昇することが知られている。シメチジンやフェニトインはその筆頭である。 テオフィリンは気管支喘息によく使われ有用性が極めて高いが、治療域が狭いので中毒症状が出易く、しばしば血中濃度のモニタリング(TDM)が必要となる。脱水・心不全・肝障害・薬剤相互作用等の影響を受け易く、安易に使うと中毒域に容易に陥ってしまうために、使い慣れていないとリスクもある。石崎高志らが臨床薬理学的な検討を1970年代に既に詳細に行っている(https://doi.org/10.11477/mf.1402218985
研究中の用途
副作用
ショック、アナフィラキシーショック、痙攣、意識障害、急性脳症、
横紋筋融解症、消化管出血、赤芽球癆、肝機能障害、黄疸、頻呼吸、高血糖症
上記以外にも、嘔気、下痢、心拍数増加、不整脈、中枢刺激症状(頭痛、不眠、易刺激性、眩暈、立ちくらみ)を引き起こす[5][6]。重篤な副作用として痙攣があり、(神経学的に)非常事態と考えるべきである[7]。これらの毒性はエリスロマイシン、シメチジン、フルオロキノロン(シプロフロキサシン等)で増強される。また、脂肪食摂取後に服用すると血中濃度が増加して中毒域に達しやすい。これは徐放性であるべき製剤が脂質に溶解して過量放出(英語版)[8]されるからである。テオフィリンの過量毒性はβ遮断薬で治療できるが、喘息患者にはβ遮断薬は禁忌である。痙攣のほか、心拍数の増加が問題となり易い[9]。胃洗浄、活性炭による血液透析等により、血中濃度を下げる必要がある。 他のメチル化キサンチンと同様に、テオフィリンは、
作用機序
競合的非選択的ホスホジエステラーゼ阻害薬であり[10]、細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP)を増加させ、cAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)を活性化させ、腫瘍壊死因子(TNF-α)を阻害し[11][12]、ロイコトリエン合成を阻害し[13]、炎症を低減させて自然免疫を抑制する[13]。