テオドシウス法典
[Wikipedia|▼Menu]

テオドシウス法典(テオドシウスほうてん、ラテン語:Codex Theodosianus)は、東ローマ皇帝テオドシウス2世が編纂させたローマ法法典である[1][2][3]438年東ローマ帝国において公布され、少し遅れてウァレンティニアヌス3世によって西ローマ帝国でも公布された[4]。この法典は古典期からユスティニアヌス1世期までのローマ帝国の法律について知るための貴重な資料となっている[1][2]
概要

テオドシウス法典は東ローマ皇帝テオドシウス2世が編纂させたローマ法法典である[1][2][3]。東ローマ帝国の法制度の多くは古代ローマ帝国より引き継いだものであったが、古代ローマの法律は極めて複雑なものであり、全く整理されていなかった。この法典は混乱していた法源を整理しようとしてテオドシウス2世が編纂させたものである[4][1]。これ以前にも3世紀末に『グレゴリウス法典(英語版)』や『ヘルモゲニウス法典(英語版)』などの勅法集があったが、それらは私撰の勅法集で、『テオドシウス法典』は初めての官撰勅法集だった[1][3]。『テオドシウス法典』は先行する2つの法典に倣って編纂された[4][2]

テオドシウス2世は429年に高官のアンティオクス(英語版)を長とした法学者たちの委員会を組織し[4][3]、彼らに321年以後に出された勅法をまとめ上げることを命じた[4][2]。委員会は8年かけて438年[4]、約2500の勅法からなる全16巻の法典を完成させた。勅法は主題別に16巻に分けられ、各巻がさらに章別され、各章が年代順に収録されている[4][1][2][3]

この法典は東帝テオドシウス2世と西帝ウァレンティニアヌス3世との連名で発布され、理念上はローマ帝国の東西が一体であることを強調するものであったが、『テオドシオス法典』の発布後、実際にはローマ法はローマ帝国の東西で徐々に分裂を始めた[5]。現実問題として、東方ではローマの法が実施されなくなり、同様に西方でもコンスタンティノープルの法が実施されなくなっていった。6世紀に東ローマ帝国で『ユスティニアヌス法典』が使われるようになって以降も、西ローマ帝国では長く『テオドシウス法典』が用いられ続けた[1]。『テオドシウス法典』は後の『ユスティニアヌス法典』の基礎となっただけではなく[4]テオドリック2世の『テオデリクス法典(英語版)』やアラリック2世の『アラリック王抄典(英語版)』 (『西ゴート人のためのローマ法』) などにも取り入れられ[4][1][2]ゲルマン諸民族へのローマ法の伝播にも大きく貢献した[4]
日本語訳

吉野悟(訳)「テオドシウス法典」(抄訳)、久保正幡先生還暦記念出版準備会(編)『西洋法制史料選I 古代』
創文社、1981年、233‐252所収。

テオドシウス法典研究会によって、コンスタンティヌス帝が発布したとされる法令(313年 - 337年)の全訳および注釈がなされている。全21回。

『専修法学論集』掲載分(第1-4回):59号(1993年、151?170頁)、60号(1994年、239?254頁)、61号(1994年、165?191頁)、63号(1995年、107?131頁)。

『立教法学』掲載分(第5-11回):43号(1996年、195?217頁)、45号(1996年、227?249頁)、47号(1997年、229?246頁)、50号(1998年、336?353頁)、53号(1999年、179?204頁)、56号(2000年、127?159頁)、58号(2001年、240?263頁)。

『法政史学』掲載分(第12-21回):57号(2002年、45?61頁)、59号(2003年、23?40頁)、62号(2004年、81?109頁)、64号(2005年、39?57頁)、66号(2006年、34?54頁)、68号(2007年、78?97頁)、70号(2008年、72?88頁)、72号(2009年、77?97頁)、77号(2012年、59?72頁)、78号(2012年、56?74頁)。

脚注^ a b c d e f g h [テオドシウス法典]『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典TBSブリタニカ
^ a b c d e f g [テオドシウス法典]『世界大百科事典平凡社
^ a b c d e [テオドシウス法典]『日本大百科全書小学館
^ a b c d e f g h i j 尚樹1999、pp.98-99。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:23 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef