テウクロス
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テラモーンの子のテウクロス。ウィリアム・ヘイモ・ソーニクロフト(英語版)の彫刻。ロサンゼルス・カウンティ美術館所蔵。

テウクロス(古希: Τε?κρο?, Teukros, ラテン語: Teucer)は、ギリシア神話の人物である。ラテン語からテウケル、テウセルとも表記される。主に、

スカマンドロスの子

テラモーンの子

が知られている。以下に説明する。
スカマンドロスの子

このテウクロスは、トローアス地方の河神スカマンドロスニュムペーイーダイアーの子で[1]カリロエーと兄弟[2]。娘バテイアの父。トローアス地方の最初の王で、トロイア人はテウクロスにちなんでテウクロイともいわれる。娘のバテイアはサモトラケー島から渡ってきたダルダノスの妻となった[1]

ウェルギリウスによれば、テウクロスはクレーテー島の出身で、トローアス地方にやって来て最初の王となったといわれ、またトローアス地方のイーダー山の名はクレーテー島のイーダー山に由来するという[3]地理学者ストラボーンによれば、クレーテー島からトローアス地方にやって来たテウクロイたちは、神託で大地の子らに襲われた場所に住めと告げられた。すると彼らは夜にハマクシトスでネズミの大群に襲われたので、このネズミを大地の子と解釈してその地に住み、また山にクレーテー島の山にちなんでイーダー山と名づけた。しかしストラボーンはアテーナイ人とする説についても紹介しており、それによるとアテーナイ人はテウクロスがアッティカ地方の出身だったと主張し、その根拠にトロイアにはアテーナイの神話的な王と同じ名前のエリクトニオス王がいたことを挙げたと述べている[4]
テラモーンの子

このテウクロスは、サラミース島の王テラモーンとトロイアの王ラーオメドーンの娘ヘーシオネーの子で、大アイアース[5][6]、トラムベーロスと異母兄弟[7]

かつて父テラモーンはヘーラクレースのトロイア遠征に参加して活躍し、褒美として捕虜となったトロイアの王女ヘーシオネーを贈られた。テウクロスはこの2人の間に生まれた[5]ヘレネーの求婚者の1人で[8]トロイア戦争のさいにはサラミース島の武将の1人として大アイアースに従って参加し、一説にはサラミース島の軍勢12隻を率いたといわれる[6]木馬作戦にも参加した[9]
トロイア戦争

テウクロスは弓術の名手だったが、また近接戦闘でも一流の戦士として高く評価されていた[10][注釈 1]。テウクロスは常に大アイアースと行動し、特に2日目の戦闘では大アイアースの大きな楯に隠れ、大アイアースが楯をずらすたびに矢を放ち、再び楯に隠れるという戦法をとって大きな戦果をあげた。このときテウクロスはさらにヘクトールに矢を放ったが外れ、プリアモスの子ゴルギュティオーンを射倒し、続けて放った矢はアポローンが逸らせたためにヘクトールの御者アルケプトレモスを射倒した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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