旗
印章
国内におけるティグレ州の位置
国 エチオピア
州都メケレ
面積
? 合計41,409.95 km2
[1]
人口(2023年)[2]
? 合計5,838,000人
? 密度140人/km2
等時帯UTC+3 (EAT)
ISO 3166コードET-TI
シミエン山地
ティグレ州 (アムハラ語: ???? ???) は、エチオピア北部の州[3]。日本の外務省や一部報道機関ではティグライ州[4]と表記され、こちらが原語の発音に近い[5][6](表記揺れの事情については後述)。州都はメックエル(メケレとも[7])。2023年の推定人口は538万8000人。
2020年から2022年まで、ティグレ州を根拠地とするティグレ人民解放戦線とアムハラ州やエチオピア政府との間で戦闘が行なわれていた(ティグレ紛争)。 「ティグレ州」表記は英訳Tigray Region
表記について
アクスム王国の故地である。
1995年に民族ごとに州が再編された際、旧ティグライ州をほぼ引き継ぐティグライ人を中心とする地域で作られた。
1998年、州内のバドメの街の帰属を巡ってエチオピア・エリトリア国境紛争が起きた。2000年に停戦が成立し、国際連合エチオピア・エリトリア派遣団(UNMEE)の本部が設置された[9]。2008年、UNMEEは活動を終了した。
2020年8月、ティグレ州で予定されていた総選挙が新型コロナウイルスの感染拡大を理由に延期された。しかし州議会は選挙を9月9日に強行し[10]、エチオピア政府との間の軋轢が増した(2020年ティグレ州議会選挙(英語版))。同年11月、政府側は州議会与党のティグレ人民解放戦線が政府軍の基地を攻撃したとして開戦を宣言[11]。空爆を含めた攻撃が開始され、多数の市民が犠牲になった[12](ティグレ紛争)。隣国のエリトリアもエチオピアを支援するために軍を派遣した[13]。エチオピア政府は同州に6か月間の非常事態宣言を発令し、インターネットや電話など通信インフラの制限が実施された[5]。
戦争が激化すると住民が国境を越えて隣国スーダンのガダーレフ州やカッサラ州に流出、2020年11月15日までに2万人を超える住民が難民化した[14]。戦闘により州内に食料支援などの関係者の立ち入りができなくなったこともあり、2021年には数万人の子供が栄養失調に直面する危機に立たされた[15]。WHOはティグレ州について、人口の約40%が極度の食料不足に陥っていると発表した[16]。2022年11月2日、エチオピア政府とティグレ人民解放戦線は停戦協定に署名した[17]。 6つの県と1つの特別県からなる。県の名称は、州中心部から見た方角を示している。
行政区画
メラケレンノー県
ミスラカウィ県(東県)
セミエン・ミイラバウィ県(北西県)
デブバウィ県(南県)
デブブ・ミスラカウィ県(南東県)
ミイラバウィ県(西県)
メックエル特別県
領土問題
エリトリア「エチオピア・エリトリア国境紛争」を参照
北を接するエリトリアとは、バドメ周辺の国境未画定地域を巡る争いが行なわれていた。 南を接するアムハラ州とは、1995年の州再編を発端とした2ヶ所(ウェルカイト地方、ラヤ地方)の領土問題を抱える[18]。 ウェルカイト地方(ミイラバウィ県)は、それまでアムハラ人が多く住むベゲムデル州
アムハラ州
ラヤ地方はティグレとアムハラに挟まれた地域で、ラヤ・アゼボ郡(英語版)とラヤ・コボ郡(英語版)からなる。1995年以前はアゼボ郡が旧ティグレ州、コボ郡はアムハラ人が多く住む旧ウォロ州(英語版)に属していたが、1995年の州再編でアゼボ郡は全域が新ティグレ州に、コボ郡はティグレとアムハラの両州で分割することになった。旧コボ郡のうち、ティグレ州に帰属した地域は新アゼボ郡、アムハラ州に帰属した地域は新コボ郡となった。この旧コボ郡の分割によって州境は1995年以前よりも南に移動し、アムハラ人は領土を削られた格好になった。ティグレ州のラヤ地方では州政府による強制同化政策が行われたとされ、住民はアムハラ州への帰属を要求するようになった[19][20]。
この2地方はアムハラ人民族主義者によって「ティグレ人が不法に併合した地域」として奪還が呼びかけられた。そして2020年11月にティグレ戦争が始まると、アムハラ州の治安部隊はティグレ州に侵入しこれらの地域を支配下に置いた。占領地ではアムハラ州から来た公務員や治安維持部隊による統治が行われており、ティグレ州旗はアムハラ人の民族主義を表した旗に取り替えられ、県の創設を宣言するなど併合の既成事実化を進めている[21][22][23]。一方で占領地ではティグレ人住民に対して迫害が行なわれており、2021年3月10日にアメリカ合衆国国務長官のアントニー・ブリンケンはこれを「民族浄化」と呼びアムハラ州を非難した[24]。この発言に対して、エチオピア政府は3月13日に「根拠のない嘘」として否定する声明を出した[25]。アビィ・アハメド首相はアムハラ州の事実上の併合を認めた上で、連邦議会で承認されるまでの「暫定統治」としている[26]。