ツーウェイ契約
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NBAサラリーキャップ(NBA salary Cap)とは、アメリカ男子プロバスケットボールリーグのNBAにおいて、各チームが保有する個々の選手の契約額および全選手の契約年俸の総額を毎年一定の上限を設けて規定する制度である。金額や条件などに関してはリーグとNBA選手組合との間での取り決めであるCBA(Collective Bargaining Agreement;NBA団体交渉協約)によって定められる。米国のプロスポーツリーグ(NFLNHLMLSなど)がハードキャップを採用しているのに対し、NBAは選手を育成しても年俸の上昇によって制限額を超過してしまい、手放さざるをえなくなるという悪循環から逃れる為、いくつかの例外条項に限ってサラリーキャップの上限を超えることが認められるソフトキャップを採用している。そのため、キャップを超えた総額での契約ができるので、更にその上に超過に応じた課徴金としてラグジュアリータックス(Luxury tax、贅沢税)を設けている。例えば2014-2015シーズンではサラリーキャップが6,306.5万US$であったのに対し、贅沢税は7,680万US$であった[1]。2017年には、NBAとNBA選手会は同年7月1日から2023-24シーズンまで適用される新たなCBAを締結した。[2][3]
用語/凡例



サラリー = 年俸

キャップ = 制限

2011年 CBA = 2011年発効のCorrective Bargaining Agreement(NBA労使協定)2011-2021まで

マキシマム/マックス = 最高/上限

ミニマム = 最低



シーズン = 通常10月にレギュラーシーズンが開幕し、翌年6月のファイナルで終了するNBAの1回の開催期間

BRI,(Basketball Related Income,) = バスケットボール関連収益

ラグジュアリー・タックス = 贅沢税

エクセプション = 例外



歴史

NBAにおけるサラリーキャップの歴史は古く、1940年代半ばに規定されたが、1シーズンのみで廃止された。リーグは1984-1985シーズンに向けて、アメリカ四大メジャースポーツ初となる本格的サラリーキャップ制を導入した1984年まで、サラリーキャップ無しで運営された。2005年発効の CBAで、サラリーは、バスケットボール関連収益(Basketball Related Income,BRI)の57 %に設定され、2011年7月30日まで、6年間継続された[4]。2011年発効のCBAで、サラリー配分は、BRIの51.2 %(30チーム分)で合意され、2011-12シーズンが開催された[5][6]。2011-2012シーズンのBRIは、33.75億ドルで、2012-13シーズンで42.93億ドル、2013-14シーズンで45.22億ドルと増加を続けている。
キャップ額の決定方法

サラリー・キャップ額はオフシーズンのジュライ・モラトリアム期間に決定され、この時点でモラトリアムは終了する。基本的な算出方法は、迎えるシーズンのBRIの予測値から利益予測値を減じ、これをリーグ所属チーム数で除して算出される。予測値は、リーグとNBA選手組合との間で協議され決定する。モラトリアム期間内に協議が整わない場合は、予め準備された方法で設定する。

キャップ導入後のNBAのサラリーキャップと選手の平均サラリーを下図に示した。[7][8][9]

サラリーキャップ

プレーヤー平均サラリー



ハードキャップに対するソフトキャップ詳細は「サラリーキャップ」を参照NBAサラリーキャップ構成

チーム戦力の均等化を最重視し、ハードキャップ制を採用しているNFLNHLは、一切の例外認めず、従って、課徴金制度もない。これらとはと異なり、NBAでは所謂ソフト・キャップ制を採用しており、チームがプレーヤーと契約を結ぶ際にキャップの超過を許容する特徴的な例外事項設けている。これはチームが所属選手に対するファンからの応援を培う事を目的としている。キャップ制度がなく、年俸に制限のないMLBの場合は、チーム戦力に偏りが生じる傾向にあるが、贅沢税を設け、これを原資にリーグ全体の振興を図っている。NBAでは、ソフトキャップ制と並行してラグジュアリー・タックスを設定し、徴収分をリーグ、チームに分配することで、大きな市場を持ち財政が潤沢なチームがフリーエージェント市場を独占できないようにしている。
マキシマム選手契約

選手が契約できるマキシマム(上限)・契約、いわゆるマックス契約は、リーグ在籍年数と総サラリーキャップに基づいて算定され、6年以下の選手では、900万ドル或いはサラリーキャップの25%(サラリーキャップが5,867.9万ドルの2013-14シーズンで14,670,000ドル)、7年から9年の選手では、上限は1,100万ドル或いはサラリーキャップの30%(2013-14シーズンで17,603,700ドル)、10年以上の選手の上限は1,400万ドル或いは総サラリーキャップの35%(2013-14シーズンで20,537,650ドル)で、いずれもどちらか多い方である。[10] NBAの上限の制限に関する例外として、選手は前回の契約の105%の金額で上限を超えても契約ができる。[11]

NBAマキシマム・サラリー/2011年CBA[12]経験年数算定基準2011-20122012-20132013-20142014-20152015-20162016-2017
0 - 6キャップの25%$12,922,194$13,668,750$13,701,250$14,746,000$17,500,000
7 - 9キャップの30%$15,506,632$16,402,500$16,441,500$17,695,200$21,000,000
10+キャップの35%$18,091,071$19,136,250$19,181,750$20,644,400$24,500,000

特定選手契約

NBAの各チームはルーキー契約に引き続く契約時に、延長契約する特定選手(Designated Player)を指名することができる。デシグネイテッド・プレーヤー(特定選手)とは4年契約に替えて5年延長契約が可能となる。[6] チームは常に1名だけの特定選手を保持することができる。(既に特定選手制を使って延長契約した選手がいる場合は、更に 特定選手制を使うことは、既存の契約が終了するか、特定選手が他チームへ移籍するまでできない。)しかしながら、CBAルールで、既に特定選手を保有していても、加えて、他のチームから移籍する第2の特定選手との契約を許容している。この場合、最大2名の保有まで許されている。(1名は自チームのルーキー、1名は他チームからの獲得)[13]
デリック・ローズ・ルール

デシグネイテッド・プレーヤー(特定選手)は、サラリーキャップの30%(通常は25%まで)での契約ができる場合がある。そのためには、契約更新年か過去3年以内にオールNBAチームに選出される(1st.?3rd.どのレベルでも良い)、或いは更新年を含む3年以内にMVPを受賞するか、NBA最優秀守備選手賞を契約更新年に受賞もしくは過去3年以内に2度受賞しなければならない。公式には5th Year 30% Max Criteria(5年30%マックス基準)と呼ばれる。[14] 別の言い方ではデリック・ローズがMVPを獲得した後の、(更に一般的に、より知られている)デリック・ローズ・ルールと呼ばれる[15] これは、条件が設定されてから、MVP受賞によりローズがマックス延長契約の資格を得たNBA唯一のプレーヤーであったことによるものである。[16] このルールの設定理由は、受賞プレーヤーが、同世代の中でも、より高い潜在価値を持っているとの判断から、ルーキー契約からの延長契約で、30%を設定することで、通常のMAX25%以上に価値を認めたものである。.[17] プレーヤーはルーキー契約最終年に引き続き"5th Year, 30% Max"契約の条件を満たしていれば、30%サラリーを獲得できる。特定選手契約可能な時点で条件満たしていなければ、通常の5年25%の特定選手契約となる。ヒューストン・ロケッツジェームズ・ハーデン は、条件を満たすことができなかった。[18]2013?14シーズンに30%マックスの条件をクリアしたのは、インディアナ・ペイサーズポール・ジョージだけで、2013年に、5年30%のデリック・ローズ・ルール適用契約を結んだ。ジョージは2012-13シーズンと、2011-12シーズンにオールNBAサードチーム入りを果たし条件を満たした。[19] 2013-14シーズンもオールNBAチーム入りしている[20]。しかしながらローズ、ジョージともに契約期間中に特定選手の条件を満たすことが出来ず、特定選手でのベテラン延長はできない[21]

デリック・ローズのサラリー[22]シーズンサラリー備考
2008-09$4,822,800ルーキー・スケール4年契約 1位
2009-10$5,184,480
2010-11$5,546,160MVP / デリック・ローズ・ルール成立
2011-12$6,993708小計:$22,547,148
2012-13$16,402,5005年30%MAX契約 デリック・ローズ・ルール
2013-14$17,632,688
2014-15$18,862,875
2015-16$20,093,063
2016-17$21,323,250小計:$94,314,376

ポール・ジョージのサラリー[22]シーズンサラリー備考
2010-11$2,238,360ルーキー・スケール4年契約 10位
2011-12$2,406,240All NBA team
2012-13$2,574,120All NBA team /デリック・ローズ・ルール成立


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