ツル
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「鶴」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「つる」をご覧ください。

ツル科
クロヅル Grus grus
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:鳥綱 Aves
:ツル目 Gruiformes
:ツル科 Gruidae

和名
ツル科[1]

ツル(鶴)は、ツル目ツル科(ツルか、Gruidae)に分類される鳥の総称。
分布

アフリカ大陸オーストラリア大陸北アメリカ大陸、アジア、ヨーロッパ[1]
形態

頸部は長い[1]。尾羽は短い[1]。翼は長く、幅広い[1]

頭頂や顔の一部に羽毛がなく、赤い皮膚が裸出する種が多い[1]。嘴は長く直線的で、先端はとがる[1]。後肢は長い[1]。第1趾は小型で、他の趾よりも上方に位置する[1]

雛は灰色や褐色の羽毛で被われる[1]
分類

以下の分類・英名は、IOC World Bird List (v10.2)に従う[2]。和名は森岡(1989)に従う[1]

Antigone

Antigone antigone オオヅル Sarus crane

Antigone canadensis カナダヅル Sandhill crane

Antigone rubicunda オーストラリアヅル Brolga

Antigone vipio マナヅル White-naped crane


カンムリヅル属 Balearica

Balearica pavonina カンムリヅル Black crowned crane

Balearica regulorum ホオジロカンムリヅル Grey crowned crane


ツル属 Grus

Grus americana アメリカシロヅル Whooping crane

Grus carunculata ホオカザリヅル Wattled crane

Grus grus クロヅル Common crane

Grus japonensis タンチョウ Red-crowned crane

Grus monacha ナベヅル Hooded crane

Grus nigricollis オグロヅル Black-necked crane

Grus paradisea ハゴロモヅル Blue crane

Grus virgo アネハヅル Demoiselle crane


Leucogeranus

Leucogeranus leucogeranus ソデグロヅル Siberian crane


生態

湿地草原などに生息する[1]。地表棲で地表で休むが、ホオジロカンムリヅルは樹上で休むこともある[1]。熱帯域に分布する種を除いて、多くの種で渡りを行う[1]。渡りの途中や越冬地では、大規模な群れを形成することもある[1]。頸部と後肢を伸ばしながら飛翔するが、寒い時には後肢を折り曲げて飛翔することもある[1]

食性は植物食傾向の強い雑食で、種子、漿果、葉、地下茎、根、昆虫やその幼虫、甲殻類、貝類、ミミズ、魚類、両生類、爬虫類、鳥類やその雛、小型哺乳類などを食べる[1]。アメリカシロヅル・カンムリヅル・ハゴロモヅルは動物食傾向が強く、カナダヅル・ソデグロヅル・ホオカザリヅルは植物食傾向が強い[1]。一方で動物食・植物食傾向の割合は、地域や季節によっても変異がある[1]

ペアは基本的に生涯解消されない[1]。湿地や草原に植物を積み重ねた巣を作りその上に産卵するが、地面に直接産卵することもある[1]。基本的に同じ場所で繁殖し、巣も毎年同じものを使用する傾向がある[1]。雌雄共に営巣・抱卵を行う[1]。主に2個の卵を、48時間の間隔で産む[1]。まれに1個だけや3個の卵を産むこともあり、カンムリヅルは4個の卵を産んだ例がある[1]。抱卵期間は28 - 36日[1]。雛は孵化した日に、歩行することはできる[1]。約10週間で飛翔し始めるようになり、3 - 4か月で完全に飛翔できるようになる[1]
人間との関係

湿田開発や農地開発・過放牧・泥炭の採取・野火などによる生息地の破壊、狩猟などにより、生息数が減少している種もいる[3]

ツル類の生息地は20世紀に入り湿地の開発や農地の圃場整備、狩猟などで急激に減少した[4]。ツル類の越冬地の集中化が進んでおり、世界的にもナベヅルの8?9割、マナヅルの5割前後が鹿児島県出水地域周辺で越冬している[4]。越冬地の過度な集中化は伝染病発生時の大量死や農業被害の大規模化などのリスクもあり課題になっている[4]
種と呼称
日本語

日本では万葉集には詩歌の雅言として「たづ」(多豆・多頭・多津・多都・田鶴などと表記)がみられるが、「つる」という語も用いられている[5]。平安時代には鶴の単語が用いられていたと考えられており、和名類聚抄に「鶴」の記述がある[5]。江戸時代の本草学でも、現代と同様に鶴といえばタンチョウを指す例が多かったと考えられている[5]。一方で古くは現代よりも広域に分布していたとはいえ日本全体ではタンチョウを見ることはまれであり、実際には鶴はマナヅルを差していたという反論もある[5]。地域差もあり備後国(『福山志料』1809年)、周防国(『周防産物名寄』1737年)、長門国(『舟木産物名寄帳』1739年)の文献では鶴の別名を「マナツル」としており、これらの地域では鶴はマナヅルを指していたと推定されている[5]紀州国(『紀伊国続風土記』1839年)では特徴(頭頂が白く頬が赤い)から鶴(白鶴)はソデグロヅルを指していたと推定され、『紀産禽類尋問誌』(年代不明)では丹頂は飛来しないとする記述がある[5]
英語

英語ではcraneといい、斜柱等の構造物を支点に荷を吊り上げるクレーン(厳密にはジブクレーン)の語源になった[6]
種と文化

ツルは古代中国の伝説では仙界に棲む鳥とされた[7]。ツルは吉祥と長寿の象徴で、古来より高位高官の身に着ける装飾品に用いられた[7]

日本でも鶴は霊鳥とされ、長寿につながる象徴とされてきた[8]

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}よく水墨画でツルがマツ等の樹に止まる構図がある(いわゆる「松上の鶴」。伊藤若冲の『旭日松鶴図』や広渡湖秀の『桃鹿・巌波双鶴図』を始め数作が知られる)が、これは一般にコウノトリとツルとを混同してのことだとされている。なぜなら脚の構造上、鶴は木枝にとまる事が出来ないからである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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