ツイン・ピークス
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この項目では、TVドラマ・映画について説明しています。

地名については「ツインピークス」をご覧ください。

レストランチェーンについては「ツイン・ピークス (レストランチェーン)」をご覧ください。

ツイン・ピークス
(原題:Twin Peaks)
ジャンルミステリー
サスペンス
群集劇
脚本マーク・フロスト
デイヴィッド・リンチ
監督デイヴィッド・リンチ
出演者カイル・マクラクラン
シェリル・リー
製作
制作ABC(オリジナル・シリーズ)
ショウタイム(リミテッド・イベント・シリーズ)

放送
放送国・地域 アメリカ合衆国
公式ウェブサイト

オリジナル・シリーズ
プロデューサーデイヴィッド・J・ラット
グレッグ・フィーンバーグ
ハーリー・ペイトン
放送期間1990年4月8日 - 1991年6月10日
回数30

リミテッド・イベント・シリーズ
放送期間2017年5月21日 - 9月3日
回数18

ローラ・パーマー 最後の7日間
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『ツイン・ピークス』(原題:Twin Peaks)は、1990年 - 1991年2017年に放送された、米国のテレビドラマである。

本項においては便宜上、1990年 - 1991年放送分をオリジナル・シリーズ、2017年放送分をリミテッド・イベント・シリーズと呼称する。
概要

ツイン・ピークスという架空の土地を舞台とする群像劇である。殺人事件の謎を中心に据えつつ、様々な物語が同時進行する。その内容は性道徳の崩壊や違法薬物の氾濫といった現実の社会問題から、メロドラマコメディ、古典の引用、果ては超常現象まで多岐に渡る。しかしながら、あらゆる題材はブラックロッジとホワイトロッジの葛藤へと集約される点で一致している。

オリジナル・シリーズはABCにて、1990年4月8日から1991年6月10日にかけて放送された。序章(試作版にして、実質上の第1話)、ファースト・シーズン7話、セカンド・シーズン22話の全30話からなる。1950年代の古きよき米国を連想させる意匠と茫漠とした自然描写が特徴である。基本として、劇中の1日が1話分に相当する。

リミテッド・イベント・シリーズは、ショウタイムにて2017年5月21日から9月3日にかけて全18話を放送した。オリジナル・シリーズの25年後を舞台とする。その物語はツイン・ピークスに留まらず、全米各地において展開する点に特徴がある。

日本においては、どちらのシリーズもWOWOWが放送している。オリジナル・シリーズは、1991年4月、WOWOWの開局記念番組として本邦初公開となった。1992年10月からは、TBSにおいても地上波放送がなされた。リミテッド・イベント・シリーズは『ツイン・ピークス The Return』の邦題で、2017年7月1日の先行放送を経て7月22日から放送された。本放送直前の7月12日には主演のカイル・マクラクランが来日の上、宣伝活動にあたった。

『ツイン・ピークス』はその革新的作劇をもって、今日に至るまで世界規模の支持を不動としている。オリジナル・シリーズは、放送開始と同時に21.7%の視聴率、33%のチャンネル占拠率を記録して全米の視聴者を釘付けにした。その爆発的人気は世界各国に飛火し、放送終了後の1992年には『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』(原題:Twin Peaks:Fire Walk with Me)として映画化されるほどであった。(実際には視聴率低下による打ち切りのような形であるが、監督の熱意から劇場版制作に至った)以後、リミテッド・イベント・シリーズとしての復活まで『ツイン・ピークス』は沈黙する。にもかかわらずその間もなお、撮影地のワシントン州スノカルミーを見学するツアーや、出演者とファンの交流会が途絶える事はなかった。この根強さは、『ツイン・ピークス』への支持が決して一過性の熱狂にとどまらない事実を証明するものである。加えて、オリジナル・シリーズの再放送などで未だに新世代のファンを開拓している。
オリジナル・シリーズ
あらすじ

ツイン・ピークスは、米国・ワシントン州の田舎町である。その地名はホワイト・テールおよびブルー・パインという、2つの山によって抱かれる地形に由来する。米国/カナダ国境の南方・8キロメートル、ワシントン/モンタナ州境の西方・20キロメートルに位置する山間の別天地である。

しかしながら突如として発生した殺人および暴行事件が、のどかなツイン・ピークスを一転、震撼させる。ローラ・パーマーという地元の高校生が他殺体となって発見されたのである。その上、やはり地元高校に通学するロネット・ポラスキーという少女が錯乱状態のうちに保護される。その肉体には、性的暴行の痕跡が認められた。

FBIフィラデルフィア支局のデイル・クーパー特別捜査官は、問題の殺人・暴行事件を同一犯の仕業とみる。さらに、1年前に発生したテレサ・バンクス殺害事件との間にも共通の犯行手口を発見するに至る。その事件はツイン・ピークスの南西に位置する、ある田舎町にて発生したものの未解決に終わっていた。クーパーは今度こそ事件を解決すべく、ツイン・ピークスに滞在の上、本格的捜査を開始する。

捜査開始の矢先、クーパーは奇妙な幻影を睡眠中に見る。それは何処とも知れない“赤い部屋”が登場する支離滅裂な夢であった。しかしながら、第6感を重視するクーパーはその夢こそが事件解決の手がかりとなる事を直感する。

“赤い部屋”の夢を暗号とみなすクーパーは、その解読によって事件の謎を明らかにしていくが、その行為はツイン・ピークスの平穏を破壊するものでもあった。別天地の住民と思われたツイン・ピークスの人々は、その実、様々な秘密を抱え込んでいたのである。
主な登場人物
FBIフィラデルフィア支局
デイル・バーソロミュー・クーパー
演:
カイル・マクラクラン 吹替:原康義特別捜査官。オールバックの黒髪に黒一色のスーツという、隙のない出で立ちが特徴である。独身であるものの、左手の小指に金色の指輪を着けている。加えて、懐にはいつも小型のカセット・テープ・レコーダーを携帯している。これは捜査活動などの現状を、逐一記録するためである。録音の際には、必ずと言っていいほど“ダイアン”と呼びかける。捜査活動においては物証に加えて、直感を重視する。睡眠中の夢や、幻影に宿る真理を信じている。ブラックコーヒーが1番の好物。中でも、思わず吐き出してしまうほど熱々のものが“すげえうまい”らしい。その一方で大の甘党でもある。ドーナツやチェリー・パイには目がない。その言動は、FBIの正義を体現するかのように公明正大である。推理力に長けて、人間関係の機微にも精通する。その一方で、私人としてはツイン・ピークスの人情や雄大な自然に対して、去りがたいほどの愛着を覚えている。後述の『クーパーは語る』によれば、1954年4月19日ペンシルヴェニア州フィラデルフィアにて生を受けた。兄にエメットがいる。幼少時代から、睡眠などを介して不可思議な幻視を体験してきた。その性質は、どうやら母親からの遺伝らしい。1969年11月15日、15歳の時に母親が脳動脈瘤の破裂によって死亡。現在着用する指輪は、亡母の遺品にあたる。母親の死後、3年間の放浪生活を経て1973年8月21日、フィラデルフィア郊外のヘイヴァフォード・カレッジに進学する。FBIへの入局は1977年9月1日である。
アルバート・ローゼンフィールド
演:ミゲル・フェラー 吹替:江原正士特別捜査官。鑑識の専門家である。その鑑識能力は申分ないものの、強烈な皮肉屋ゆえに周囲との摩擦が絶えない。しかしながらその実態は、マハトマ・ガンディーや、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアを敬愛する、非暴力主義者である。
ゴードン・コール
演:デイヴィッド・リンチ 吹替:池田勝地方捜査主任。デイル・クーパーおよびアルバート・ローゼンフィールドの上司にあたる。その姓名は『サンセット大通り』の登場人物と同一である。極度の難聴に冒されている。片耳ばかりでなく両耳にまで補聴器を装着するものの、それでもなお用の足りぬ場合がある。会話の際は、響き渡るほどの大声を発する。部下に対して全幅の信頼を置く、よき上司である。その一方で漁色の悪癖がある。
ウィンダム・アール
演:ケネス・ウェルシュ 吹替:原田一夫元・特別捜査官。在職時は3年に渡ってデイル・クーパーの相棒を務めた。同時に、捜査のいろはをクーパーに伝授した指導者でもある。捜査活動に加えて、チェスにおいても天才を発揮した。クーパーとは毎日試合をしたものの、ついに敗北しなかった。4年前に妻のキャロライン(旧姓・パウエル)を亡くして以来、精神病院にある。当時のキャロラインは、ある殺人事件に巻き込まれた重要参考人であった。その警護任務には、相棒のクーパーと共に、ウィンダムが自らあたった。しかし任務の過程において、クーパーとキャロラインが相思相愛となってしまう。その結果警護に隙が生じ、任務は失敗に終わった。キャロライン殺害事件の犯人は現在も逮捕されていない。後述の『ファイナル・ドキュメント』によれば、14歳にしてチェスのグランドマスターとなった。弱冠・16歳にもかかわらずペンシルヴェニア大学に進学し、わずか2年でこれを卒業する。これだけには飽き足らず、ペンシルヴェニア州立大学にて刑事司法の修士号を取得した。FBIへの入局は1960年代中盤、キャロラインとの結婚は1974年8月10日の事であった。
デニス・“デニース”・ブライソン
演:デイヴィッド・ドゥカヴニー 吹替:鈴置洋孝(オリジナル・シリーズ)、てらそままさき(リミテッド・イベント・シリーズ)特別捜査官。現在はDEAに出向している。本来はデイル・クーパーらと同様、ゴードン・コールの部下にあたる。女装癖の持主である。1年前DEAでの潜入捜査にあたり女装の必要に迫られた事がそのきっかけとなった。女装によって思いも寄らない安心感を覚えたのである。とはいえ、その実態はあくまでも異性愛者。捜査活動の必要に応じて服装を使い分け、女装をする際は“デニース”を名乗る。『クーパーは語る』によれば、キャロライン・アール殺害事件後、現場復帰を遂げたクーパーと初めて共同捜査にあたったのがブライソンであった。
ツイン・ピークス保安官事務所
ハリー・S・トルーマン
演:
マイケル・オントキーン 吹替:銀河万丈保安官。地元の自警組織、ブックハウス・ボーイズの中心人物でもある。ツイン・ピークスの自然を愛する一方で、その深奥部に得体の知れない邪悪を感じ取っている。公私に渡ってツイン・ピークスの治安維持に尽力するのは、そうした実感ゆえである。誠実そのものの人柄ゆえに人望が厚い。デイル・クーパーとの初対面においては、一見するなりその人徳を看取した。以来、クーパーとは尊敬と友情によって結ばれる事となる。クーパーが採用する奇想天外な捜査手法に対しても協力を惜しまない。後述の『シークレット・ヒストリー』および『ファイナル・ドキュメント』によれば、その名前はハリー・S・トルーマン大統領に由来する。ツイン・ピークス高校においてはフットボール部に所属した。チーム名は、ランバージャックス(“樵”の意)である。父親のフレデリックもまた、ツイン・ピークス保安官事務所の保安官であった。ブックハウス・ボーイズの創立者としても活躍した。
トミー・“ホーク”・ヒル
演:マイケル・ホース 吹替:中田和宏(オリジナル・シリーズ)、仲野裕(リミテッド・イベント・シリーズ)保安官補。先住民にして、ブックハウス・ボーイズの一員。先祖代々の神話・伝承に精通する。それゆえハリー・トルーマンと同様、ツイン・ピークスに潜伏する邪悪の存在を確信している。特技は追跡。武骨な言動の一方で、文才にも恵まれる。ダイアン・シャピロなる博士と交際しているらしい。『シークレット・ヒストリー』によれば、ネズ・パース族の出身である。高校時代はランバージャックスの一員にして、ハリーのチームメイトであった。
アンディ・ブレナン
演:ハリー・ゴアス 吹替:幹本雄之保安官補。凄惨な事件現場に遭遇すると思わず泣き出してしまうが、一方で思わぬ手柄を挙げる事もある。特技である描画を生かして、被疑者の似顔絵作成を担当する。気弱にして優柔不断の性質である。
ルーシー・モラン
演:キミー・ロバートソン 吹替:安達忍事務員。受付からコーヒーおよびドーナツの準備まで、様々な雑務を担当する。アンディ・ブレナンとは恋愛関係にある。ブレナンに対しては颯爽とした言動を期待するものの、事あるごとに裏切られてしまう。その結果、地元のホーンズ・デパートにて紳士服売場を担当するリチャード・“ディック”・トレメインとの間で揺れ動く羽目となる。グウェンという姉がいる。こちらはすでに結婚している。悪気はないものの、瑣末な事柄にこだわるあまり会話がどんどん脱線してしまう。
パーマー家
ローラ・パーマー
演:
シェリル・リー 吹替:高島雅羅殺人事件の被害者。ツイン・ピークス高校に通学する17歳の少女である。学園祭においては女王に選出された。校内ばかりでなく、地元住民の誰からも愛される存在であった。1989年2月23日の深夜に殺害された。死因は大量出血である。その死体は、翌・24日の早朝、ブラック・レイクの湖畔へと漂着したところを発見された。発見当時は透明のプラスティック・シートに全裸の死体が覆われており、左手・薬指の爪には、“R”の印字がある小型の紙片を挿入されていた。検死解剖の結果、コカインの常習者であった事実が判明する。さらに殺害の直前、少なくとも3名との間に性交渉を行っていた。家宅捜索によって押収された日記帳は、事件発生直前の2月23日が最後の記入となっていた。その内容は、“今夜、Jに会うのが心配”というものであった。後述の『ローラの日記』によれば、生年月日は1972年7月22日である。
リーランド・パーマー
演:レイ・ワイズ 吹替:沢木郁也ローラ・パーマーの父親。弁護士として地元企業・ホーン産業の顧問を務める。祖父の代から3世代に渡ってツイン・ピークスに居住する。趣味はダンス。ダンス・パーティーへと出かけるばかりでなく、自宅の居間においてもレコードに合わせて踊る事がある。事件発生直後こそ気丈に振舞っていたものの、徐々に情緒不安定が顕在化していく。それに伴って、ダンスおよび歌に対して異常なまでの執着を示す事となる。『シークレット・ヒストリー』によれば、45歳である。資産家の1人息子として生を受けた。1966年ワシントン大学を首席の成績で卒業した。ホーン産業への勤務は8年に及ぶ。
セーラ・ジュディス・パーマー
演:グレイス・ザブリスキー 吹替:竹口安芸子ローラ・パーマーの母親。幻視体験の持主である。とはいえ、妄想の産物というよりは一種の遠隔透視らしい。その傾向は1人娘のローラにも遺伝していたという。かなりの愛煙家である。その喫煙量ゆえに、健康を心配される事がある。ローラの死後、情緒不安定に陥る。それに伴って、従来の幻視体験が顕著となる。『シークレット・ヒストリー』および『ファイナル・ドキュメント』によれば、旧姓はノヴァクである。ワシントン州ベルヒュー にて生を受けた。事件発生当時は44歳である。1943年、一家揃ってニュー・メキシコ州ロスアラモスに移住する。国防総省の下請業者としてマンハッタン計画に従事する父親の都合であった。1956年8月6日、自宅の寝室にて突然意識不明に陥る。


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