ツアーバスとは、日本において旅行代理店が貸切バスを借り上げて催行する、人員の移動のみを目的とする募集型企画旅行商品、またはその目的で用いられる貸切バスをいう。
国土交通省による定義では、高速道路(高速自動車国道または自動車専用道路)を経由する「2地点間の移動のみを主たる目的とする募集型企画旅行」として運行される貸切バスを「高速ツアーバス」としていた[1]。
この項目においては、貸切バスを用いた募集型企画旅行商品のうち、旅行参加者の移動のみを提供する「高速ツアーバス」または「都市間ツアーバス」と呼ばれる商品について記述する。貸切バスで移動しながら観光地への入場や食事・買物・宿泊等を伴うパッケージツアーとしての「バスツアー」や、バス以外の交通機関を経路の一部に組み込んだ旅行商品については原則として取り扱わない。目次
1 概要
2 歴史
2.1 帰省バスの誕生
2.2 スキーバスの隆盛
2.3 会員制バスの誕生
2.4 ディズニーランドツアーバス
2.5 2000年以降の規制緩和
2.6 ツアーバス拡大に対する国土交通省の対応
2.7 総務省による行政評価の実施とその影響
2.8 国土交通省による高速バス一本化への報告書
2.9 関越自動車道高速バス事故の影響
2.10 新高速乗合バス制度の施行
2.11 都市間ツアーバスの終焉
3 ツアーバスを催行していた旅行代理店
3.1 高速乗合バスへ移行したツアーバス
3.2 運行終了したツアーバス
3.3 車両ギャラリー
4 その他の運行形態
4.1 観光地周遊型
4.2 会員制高速バス
5 ツアーバスの車両
6 バスのりば
7 メリットとデメリット
7.1 安価な移動手段
7.2 観光バス事業者へのしわ寄せと安全性
8 高速乗合バスとの関係
8.1 競争による利便性向上
8.2 高速乗合バス減収による生活路線廃止
8.3 高速ツアーバスと高速乗合バスの比較
9 脚注
9.1 注釈
9.2 出典
10 参考文献
11 関連項目
12 外部リンク
概要 バスのドア付近に貼られたツアー主催者と運行会社名の表示
道路運送法に基づき乗合バス事業者が運行する長距離路線バス(高速乗合バス、いわゆる「高速バス」)とは異なり、旅行業法に基づき旅行代理店等の主催者が貸切バス事業者が運行する観光バスを借り上げて、募集型企画旅行の形態で旅行参加者(=乗客)を募集する形態をとる。
道路運送法第21条では、貸切バス事業者(一般貸切旅客自動車運送事業者)が乗合旅客運送を行えるのは、災害時など特別な場合に限られることを定めている。このためツアーバスにおいては、代金はあくまでも「運賃」ではなく「旅行代金」として収受され、貸切バス事業者自らが旅行代理店として募集型企画旅行の主催者(または受託者)となる場合以外は、参加者がバス事業者に代金を直接支払う事はなく、主催する旅行代理店の営業窓口または、集合場所等に駐在する証明書(外務員証)を携帯した旅行代理店の外務員[注釈 1]に支払うことになる。
貸切バスで観光地などを巡る一般的な団体旅行(バスツアー)と大きく異なる点として、貸切バス事業者の職員である車掌・バスガイドや、旅行代理店の職員である添乗員は同乗しない、出発から到着までの間は運送(輸送)以外の役務提供は行われない[注釈 2]。食事の提供、観光施設の入場料や宿泊・休憩にかかる料金は旅行代金に含まれない。
2000年のバス事業に関する規制緩和により急速に普及し数多く運行されていたのが、高速ツアーバス(こうそくツアーバス)あるいは都市間ツアーバス(としかんツアーバス)と称される、特定の都市(例:東京 - 大阪)間を高速道路経由の夜行便(一部は昼行便)で結ぶ形態のものである。