チーム・バチスタの栄光
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チーム・バチスタの栄光
著者海堂尊
発行日2006年2月
発行元宝島社
ジャンル医療・ミステリーサスペンス
日本
言語日本語
形態上製本
ページ数375
次作ナイチンゲールの沈黙
コードISBN 978-4-7966-5079-3

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『チーム・バチスタの栄光』(チーム・バチスタのえいこう)は、2006年(平成18年)に宝島社から刊行された海堂尊長編小説。作者のデビュー作であり、第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した。受賞時のタイトルは『チーム・バチスタの崩壊』。
概要

作中に登場する「東城大学医学部付属病院」を舞台とした『田口・白鳥シリーズ』の第一作にあたり、前述の『このミステリーがすごい!』大賞の選考では委員の満場一致で受賞が決まった。

しかし海堂は、二次選考通過の連絡がなかったため落選だと思い込み、ただちに『螺鈿迷宮』を江戸川乱歩賞に応募したがこちらは一次選考で落選している。その後本作の二次選考通過の知らせが来た。[1]

現役の医師である海堂が描くリアルな医療現場や、大学病院における医局政治や人間関係、バチスタ手術中の謎の死をめぐるミステリーもさることながら、何よりもその強烈で印象的なキャラクターとその語り口が、選考委員の間で評価され、320万部を超えるベストセラーとなった。

執筆時は構想から一週間で200枚書き上げたところで田口公平にこれ以上調査を任せるのは酷だとわかったため筆が止まったことがあるが、田口と正反対の性格のキャラクターが外部から調査に来るアイディアに思い至り、もう一人の探偵役である白鳥圭輔が生み出されたというエピソードがある。海堂は執筆中に決まったJ-POPを「テーマソング」として流す習慣があり、執筆時のBGMは、アンダーグラフツバサ[1]

なお、作中で描かれたバチスタ手術左室形成術一術式)は2006年時点の技術に基づいて描かれている。現在ではこの手術に関する技術などはより進歩している。

海堂が導入を訴えているオートプシー・イメージング(Ai)が事件を解く大きなカギとなっている。
ストーリー

桜宮市の東城大学医学部付属病院は、フロリダのサザンクロス心臓疾患専門病院から心臓外科の権威、桐生恭一を招聘し、心臓移植代替医療であるバチスタ手術を専門に行うチーム、「チーム・バチスタ」を結成、「チーム・バチスタの奇跡」と呼ばれる程の驚異の成功を収めていた。

しかし、成功率100%だったチーム・バチスタが、3例立て続けに謎の術中死に遭遇する。少年ゲリラ兵へのバチスタ手術により世間の注目を集める中、疑念を解明するため、病院長・高階は神経内科学教室の万年講師で、「不定愁訴外来(別名・愚痴外来)」の責任者・田口に内部調査を命じる。

だがチーム・バチスタの調査が難航した時、外部からの調査者、厚生労働省の役人「ロジカル・モンスター」白鳥がやってくる。
登場人物

以下の登場人物一覧は小説に準拠する。
田口公平
東城大学医学部付属病院神経内科学教室講師、不定愁訴外来(通称「愚痴外来」)。その仕事と名前から「グッチー」「行灯」などとあだ名される。外科医としての適正があったが、を見るのがいやだという理由で神経内科医となる。白鳥曰く、「パッシヴ・フェーズ」の純粋な使用者。辛抱強く話を引き出すその手腕から、不定愁訴外来は患者から口コミで評判が広がり、来院する患者が多いが、閑職でのんびりしたかった田口としては当てが外れた形となる。卒業試験の口頭試問で試験官だった高階院長にお目こぼしで卒業させてもらった経緯があり、以来頭が上がらない。病院内では「出世競争から外れながら、大学には居座り続けている」と悪評とも感嘆ともつかない評価がある。40歳。
白鳥圭輔
厚生労働省大臣官房秘書課付技官・医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長。通称「ロジカル・モンスター」、「火喰い鳥」などとも呼ばれる。厚生労働省の問題児。彼が通った後はぺんぺん草も生えないとの評判が「火喰い鳥」の由来となる。田口の第一印象は「ゴキブリ」。省内で追い出し同然の扱いを受けても、まったく懲りた様子がなく、もて余されて医療過誤死の中立的第三者機関設置プロジェクトを押し付けられる。医師免許も持っている。既婚者で2人の娘がいる。名前のみしか登場しないが、「氷姫」と呼ばれる入省首席の姫宮という優秀な女性の部下がいるが、白鳥の評価は低く、「ビービー」泣かせているらしい。「アクティブ・フェーズ」と称する挑発的な言動で人の深層を引きずり出すのを得意とするが、その効果は穏やかな田口、老獪な高階院長や藤原看護師すら動揺・激怒させるほどで、挑発が過ぎて酒井や鳴海からは殴られる。
高階権太
東城大学医学部付属病院院長。消化器腫瘍外科教授。田口にバチスタ・スキャンダルの予備調査を命じる。桐生を招聘し、「チーム・バチスタ」の結成に関わった張本人。会話を誘導し、詰将棋のように相手の逃げ場をなくしたり、院内の実力者の正論を論破するなど、強かな。自分の名前を嫌っている。
藤原真琴
不定愁訴外来のただ一人の専任看護師。体は小柄で動作は緩慢に見えるが、必要なことはいつの間にか終わらせ、安定した印象を与えるベテラン。その気になれば教授の首も飛ばせると噂される影の実力者。看護師達からの信望も厚い。「フジさん」と呼ばれているが「地雷原」という影のあだ名もある。定年退職後再任用を希望していたが、その政治力ゆえもて余されて不定愁訴外来への専任が決まる。61歳。
チーム・バチスタ

桐生が選抜した人材で構成された東城大学医学部付属病院が誇るバチスタ手術専門の外科チーム。「グロリアス・セブン(栄光の七人)」とも称される。一般的なバチスタ手術の成功率は60%なのに対し、桐生のチームの成績は第一例目から手術を成功させる為、100%の成功率を誇りその勇名を内外に轟かせる。
桐生恭一
臓器統御外科助教授。「チーム・バチスタ」のリーダー、執刀医。高階の意向によって、フロリダ・サザンクロス心臓疾患専門病院から招聘される。自身の失敗や反省から論理的に構築した手術を行い、その手腕から「ミスター・パーフェクト」と称される。理路整然とした思考、患者を救うことへの清廉な志を持った非の打ち所の無い性格で、周囲を引き付ける魅力を持つ。田口の第一印象は「」。42歳。
鳴海涼
基礎病理学教室助教授、病理医。桐生の義弟で考えも桐生と似通る部分もある。かつて桐生とアメリカで外科医をしていたが、病理に興味を移し病理医に転進。「ダブル・ステイン法」という術中診断法を確立させ、「診断と治療は分けるべき」という考えから、会議には参加しないが病理医ながらも桐生と切除範囲を決める形で手術に参加している。気高さを感じさせる風貌や言動、言葉の端々に英語を交える語り口が特徴。白鳥曰く、パッシブフェーズとアクティブフェーズ両方を使いこなせるらしい。田口の第一印象は「シャム猫」。37歳。
垣谷雄次
臓器統御外科講師、医局長、「チーム・バチスタ」第一助手。胸部大動脈瘤バイパス手術の専門家。桐生招聘以前は次期助教授になる予定だった。軽口を叩きつつもやや横柄に振る舞い、相手に威圧感を与えるタイプ。田口の第一印象は「カバ」。49歳。
酒井利樹
臓器統御外科助手、「チーム・バチスタ」第二助手。チームに自ら志願して加入。以前執刀した患者が愚痴外来送りとなり、田口とは因縁がある。血気盛んだが自尊心が高く、桐生に敬服しているのに対し、垣谷の事は軽視している。田口の第一印象は「スピッツ」。実家は神経内科医院を開業している。30歳。
氷室貢一郎
麻酔科講師、「チーム・バチスタ」麻酔科医。物静かだが、感情を感じさせないような振る舞いで、田口には「死体のような男」と評される。喘息持ち。田口の第一印象は「紋白蝶」。37歳。
羽場貴之
臨床工学技士、「チーム・バチスタ」リスクマネジャーでもある。チーム最年長。人工心肺のスペシャリスト。コ・メディカルという職業柄、時間厳守を徹底する感覚の持ち主。田口の第一印象は「」。53歳。
大友直美
手術室看護師主任。後輩の星野響子の後任として「チーム・バチスタ」に参加。彼女の加入以後、術死が始まる。星野が抜擢された時の自分への心無い噂や、加入後に始まった術死で自分が要因だと考えることもあり思い詰めている。田口の第一印象は「巻き貝」。思いつめ、泣き出す弱さを見せながらも、気が強く、強かな一面もある。33歳。
星野響子
2年目の手術室看護師。反射神経の良さを桐生に見込まれチームに参加するが、結婚を理由に寿退社する。24歳。
その他
黒崎誠一郎
臓器統御外科教授。


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