チュウゴクモクズガニ
チュウゴクモクズガニ
分類
チュウゴクモクズガニ(中国藻屑蟹、学名Eriocheir sinensis H. Milne-Edwards, 1853、中国名:中華絨螯蟹(?音: Zh?nghua rong'aoxie)、英名:Chinese mitten crab)は、中国および朝鮮半島東岸部原産のイワガニ科のカニの一種。「シナモクズガニ」(支那藻屑蟹)の方が、一般的な呼称。日本では一般に「上海蟹(シャンハイガニ)」の名で知られる[1]。上海、香港などで、秋が旬とされる、重要な食用種である[2]。
中国で最も知られている呼び名は「大閘蟹」(ダージャーシエ dazhaxie、上海語 ドゥザッハ)であり、上海でも香港でも台湾でも、この名で呼ばれている。語源は、産卵のために下ってくるところを閘(水門)で堰止めて取るためとも、「閘」は煮るという意味の「?」の訛とも言われるが定かでない。
アメリカ、ヨーロッパでは外来種として問題となっている[3]。侵略的外来種として古くから有名な種であり、世界の侵略的外来種ワースト100のうち1種にも選定されている。目次 チュウゴクモクズガニは、中国語では「中華絨螯蟹」(?音: Zh?nghua rong'aoxie)と呼ばれる。「中国の絨毛のあるはさみを持つ蟹」という意味で、その名の通り、大きく発達した一対のはさみ状の爪を持ち、その回りにはびっしりと絨毛が生えている。和名はこの絨毛を藻屑に例えている。「毛蟹 maoxie」、「老毛蟹 l?omaoxie」と呼ぶ地域もある。同属異種の日本のモクズガニも、絨毛によって「ケガニ」と呼ぶ地域があるが、同じ発想である。はさみの先端には掻きとる動作に適した黒い蹄状の爪がついている。 主産地の長江沿いでは、はさみは金色、毛は黄色い色をしているが、四角い形の甲羅の色は青緑色をしている。調理のために、蒸したり煮たりすると、鮮やかな柿色に変わる。甲羅の前から横にかけて、ノコギリの歯のようなとげが4対ある。大型のカニであり、大きい個体では甲幅(甲羅の幅)が8cm程度になる。 淡水性のため、中国では「河蟹 hexie」、「清水蟹 q?ngshu?xie」とも呼ばれ。幼生は海水から汽水域で育つため、親蟹は雄、雌とも産卵のために河口や海岸に移動する必要がある。主に秋に、河口で生殖したのち、雌が海水域に移動して産卵する。腹部は薄い灰色で、7節に分かれており、雄は三角形、雌は俵型をしている。 海の蟹と比べると小さいため、脚の肉などは食べにくく、量も少ないが、甲羅の中の内子や蟹味噌は珍重される。栄養価としては、タンパク質、ビタミンB12を豊富に含む。 食性は植物食に偏った雑食性であり、甲殻類、貝類、小魚、水生昆虫、水草、稲の苗などを好んで食べる。 産卵は海水中で行われるため、産卵時期の秋になると、海辺に移動する。交尾の後にメスは海水中で産卵し、0.4mm足らずの小さな卵を腹脚にたくさん抱え、孵化するまで保護する。孵化した幼生を海に放出した成体は一冬に2-3回交尾と産卵を繰り返したあと、疲弊して死亡するため二度と川には戻らない。 孵化したゾエア幼生は0.4mmたらずで、遊泳能力の乏しいゾエア幼生はプランクトン生活を送るが、この間に魚などに捕食されるので、生き残るのはごくわずかである。人工孵化する場合でも、4分の1程度しか生き残らないと言われる。 脱皮を繰り返して、メガロパ幼生へと変態し、エビのように腹肢を用いて積極的に遊泳して河口から河川の汽水域を遡上する。変態した稚ガニは泥地で生活をし、泥の中に穴を掘って棲むようになる。養殖の場合、中国で鈕釦蟹とも呼ばれるサワガニより少し小さい大きさになると、泥から掘り出して、養殖池に移される。 養殖の場合、成長促進ホルモンや、病気を予防するために、クロラムフェニコールやオキシテトラサイクリンなどの抗生物質が与えられることが多い。
1 概要
2 生態
3 生息地・流通
3.1 日本
3.2 海外
4 食べ方
5 伝説
6 慣用句
7 近縁種
8 脚注
8.1 注釈
8.2 出典
9 参考文献
概要
生態
生息地・流通 有名な産地である陽澄湖
陽澄湖産のものは海外でも有名であり、高値で取り引きされるため、別の産地で育ったものを、陽澄湖の養殖池の水に浸けただけなどという偽物も出回ることがある。本当に陽澄湖で育てたものには、はさみにタグを付けたり、甲羅にレーザー光線でマークを焼いたりして、区別をすることが行われている。本物の陽澄湖産は、香港や台湾などの業者から予約が入っていて、主に輸出に回されており、上海などに出回る比率はかなり低いという。上海では市内の銅川市場という所で多くが取り引きされている。崇明島から船が着く、上海市宝山区の呉淞港周辺には、崇明島産のものを扱う業者が多い。
輸送中に動き回ると、はさみで傷つけあったり足が取れたりして傷が付くため、藁や紐で十文字に縛って生きたまま売られる。
蟹券
2011年「蟹券」と呼ばれる「上海ガニの引き替えクーポン」が贈答用として贈られるようになった。贈られた側は、好きな時に新鮮な蟹を引き換えられる。ただ、配布している会社が夜逃げしたり、産地が偽装されていたり、サイズ指定のクーポンでもサイズが下回った蟹も扱われている。金券ショップで換金も可能であるため利用されているが、配布した会社が金券ショップで購入し蟹を送らず差額を得ているという話もある[4]。