チオ硫酸ナトリウム
IUPAC名
sodium thiosulfate
別称ハイポ
識別情報
CAS登録番号7772-98-7
48.3 °C, 321 K, 119 °F (五水和物)
沸点
100 °C, 373 K, 212 °F (五水和物、分解)
水への溶解度41.2 g/100 mL (20 °C)
危険性
安全データシート(外部リンク)ICSC 1138
EU Index記載なし
NFPA 704010
RフレーズR35
SフレーズS1/2 S26 S37/39 S45
引火点可燃性
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
チオ硫酸ナトリウム(チオりゅうさんナトリウム、英: sodium thiosulfate)は、化学式 Na2S2O3 で表されるナトリウムのチオ硫酸塩である。「チオ硫酸」という呼称は、硫酸が持つ酸素が1つ硫黄に置き換わっていることを示している。 一般にハイポと称される[1]が、この名称は次亜硫酸ナトリウム(sodium hyposulfite)の略称である。次亜硫酸ナトリウムは亜ジチオン酸ナトリウムの別名であり、まったく別の物質の名前の略称が間違ったまま浸透してしまっているだけでなく、かつては「チオ硫酸ナトリウム」を「次亜硫酸ナトリウム」と間違った表記がなされていた。また、製品は「カルキ抜き」と称される場合がある。 医薬品で「ハイポ」「ハイポエタノール」「ハイポアルコール」とはチオ硫酸ナトリウム水和物エタノール溶液の通称・販売名である[2]。 一般に市販されているものは五水和物 Na2S2O3・5H2O で、無色透明のややゆがんだ直方体の結晶である。水や液体アンモニアに溶けやすい。ただし、温かい飽和水溶液を冷やしても、過飽和により結晶が析出しないこともある。 酸と反応させると分解して単体硫黄と有毒な二酸化硫黄(亜硫酸ガス)を発生させるため、チオ硫酸ナトリウムは酸と混合、あるいは接触させないよう取り扱いに注意を要する。 チオ硫酸イオン S 2 O 3 2 − {\displaystyle {\ce {S2O3^{2-}}}} は四面体形のアニオンである。S-S 結合距離は、この結合が単結合であることを示しており、硫黄がかなりの負電荷を帯びていて、また S-O 結合が二重結合性を持っていることを示唆している。チオ硫酸イオンの最初のプロトン化は硫黄上で起こる。チオ硫酸イオンは金属への強い配位性を示し、チオスルファト錯体を形成する。例えば、銀イオンと錯体をつくる(下記参照)ため、本来難溶性である各種ハロゲン化銀を水溶液中に溶解させることが出来る。 工業スケールでは、硫化ナトリウムまたは硫黄染料製造の液体廃棄物から製造される。実験室スケールでは、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムの水溶液に粉末硫黄を加えて煮沸し、ろ過後加熱濃縮することで作られる[3]。 水溶液はハロゲン化銀(銀塩写真の感光剤)の結晶を溶解するので、写真の定着剤として使用される。生成物は銀イオン錯塩のビス(チオスルファト)銀(I)酸ナトリウムである。この性質は、イギリスのジョン・ハーシェルによって発見された。
ハイポ
性質
製法
利用
写真術
Size:31 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef